There Is A Light That Never Goes Out

ご無沙汰しております。前エントリのコメント欄にも記しましたが、私は無事です。電波が激烈に悪く、且つ充電も切れて完全に行方不明状態になってしまっていてご心配をおかけいたしましたが、私も家族の者も皆無事です。唯一石巻に住まう我が叔母や祖母と連絡が取れないのですが、いずれ落ち着けば連絡も取れるようになると希望を持っています。そして何よりも突然のことで日常が様々な形で分断されてしまった、場合によっては永遠に分断されてしまった方々には心からお悔みを申しあげます。そしていまだ安否がわからない方々とは、いずれ落ち着いたら必ず出会えることを祈っています。

私自身は職場で地震に遭遇してからその後ずーっと職場での対応をし、夜遅くに家内とぎりぎりのところで連絡が取れて合流し、私の実家で一夜を明かしてから今の家に戻ってきたのだった。まず大渋滞だったし、津波が我が家の方面に来ていた、との情報がばんばん入ってきていたので実家が賢明だろう、と判断したのだった。何せ現地では何がどんなことになっているのか、情報がイマイチわからなかったもので。で、次の日覚悟を決めて戻ったのだった。我が家は結構海に近いし、何せ川沿いなもので、いやこりゃあるかないかわからん、あっても1階の我が家は浸水しているんじゃないか、とか思っていたがそれはなくて100%安心して倒れそうになった。

お茶の間に入ってみたら、部屋の中は隣の部屋との仕切りの引き戸が外れていた。それは何故かというと隣の部屋のレコードが収納しているレコードボックスごとふっとんで衝突していたからである。いや、あれは凄い光景だった。足の踏み場もない、という経験は今まで何度もしていたものだが、本気で踏み場がなくなっていた。まず命と家はあったから次の心配は財産になってくるわけである。さてこれは割れてんじゃないかなあ、と結構上の棚に入れていて吹っ飛んできたのであろう目の前のDexys Midnight Runners「Come On Eileen」12インチを見ながら思ったものだが、ぎっちりと詰め込んでいたおかげでレコードは箱からあまり出ず、端が曲がった程度だったので希望を得た。棚の一番上に置いていた7インチの箱は東西南北に飛んで行ったみたいだが中身が全部出ていた箱もあったにも関わらずレコードは割れていなかった。

ただ、CDは高いところから豪快に雪崩を起こしていて、一番上に置いていたThe Theの「Soul Mining」Soul Miningなぞ、紙とディスクのみ、な勢いでプラケースがぶっ壊れていた。でもディスク自体はどれも無事だったようである。つまり、我が家に於ける、修復不可能な「破損」はティーポットと小鉢2,3個のみ、という奇跡的な状態だったのである。

だから一応私も被災者と言えば被災者ではあるのだが、本当にプチ被災者、というようなものである。命もあった。家族もいた。家もあった。食べ物もあった。車も2台あった。水も来た。電気も来た。そして何より自分の宝物である最高にイカした近くの、そして遠くの友達も皆生きていた。家内と毎日の食料に関して検討して、1週間以上買い足さずに行けることもわかった。だからこうして今安否を知らせるついでに色々記すことができている。で、そうなれば色々発信できるはずなのだけれど、ここにいるとやはりアパートの他の住人のお手伝いや(実家が流された人もいるし、車が流された人もいる)、自分の自転車を乗れるように整備する、とか本当にそういうことが自分の周りの100%になってくる。まずその100%が自分の中でパーセンテージ低くなったらもっと外へ出よう、と思う。だからもう少し、日常に戻るには時間がかかるけれども負けずに生きたいところである。

(ちょっとここからは「日常」の欠片を記す)
節電、ということでレイディオを聞いて情報得たり、音楽聴いたりしているが、そろそろゆずとコブクロEXILEいきものがかりと、というオンパレードには疲れてきて逆に滅入ってきたので(さっきKylie Minogueかかったり、こないだは佐野元春「Young Bloods」かかったりしてガっと昂る瞬間はあったけれども)ちょっと電気使わせてもらってレコード聴かせてもらう。Dum Dum Girlsの「He Gets Me High」は地震の前の日に届いたんだっけ。これだったら4曲入りだし。そんなに長い時間でもないし。ということであんまり今回は長々とは書かないけれども、これはデビューアルバム未収曲ばかりだし、曲もタイトにまとまっていて何よりもしゃきっとさせられる。その上The Smithsの「There Is A Light That Never Goes Out」のめっちゃくちゃクールにキまったカヴァーが超最高だ。Love Is AllによるThe Pastels「Nothing To Be Done」カヴァーでの大興奮に匹敵する心への切り込み具合である。こんな感じでまた生きて行きたいのでよろしく。

ところで、曲の中身考えずにタイトルだけ取り出す、ってどうかと思うし、日頃だったら絶対しないんだけれども今日は敢えて。

決して消えない灯り、ってのがあるんだ。