Many Jewels Surround The Crown

日曜日のAOBA NU NOISEにお越しの皆さま、まことにありがとうございました。我々含め、DJの持ち時間増加に伴い更に何だかディープな感じ、且つ爆発的な感じのイヴェントになりつつあるのではないかと。

私たちEVOLは2人それぞれの時間もあって、かなり面白かったです。私のなんちゃってヒップホップ大会は置いておいて、相棒大久氏がまさかのLed Zeppelinとか、今回キレッキレだったのでまた次回もこんな感じでできたらなあ、と思っております。Aztec Cameraのリクエストが来るイヴェントって良いなあ・・・、としみじみ思いましたよ。

ところで今我が家のお2階さんがゲームをやってるらしく、階上からリズミカルにどすどす聞こえてきてなんだかちょっと落ち着かない。私はPSPWiiもDSもX-BOXドリームキャストスーパーファミコンも全く何が何だか区別がつかないくらいゲーム関係には疎いのだが、最近(?)あれですよね、身体使ってやるゲームあるじゃないですか(CMで見た程度)、多分あれだと思うんだけど。まあ、別にそんな気にならない、と言えば気にならないのだけれども、気になる、と言えば気になる。

でもまあ、震災時助け合った仲だし別に文句を言う気もさらさらないのだけれども、世の中階下の住人が皆私みたいに、羊のように大人しい人間とは限らないので、集合住宅の2階以上に住んでいる方々は皆さん気をつけた方が良いかも知れない。とか言ってるうちにメゾネットタイプの部屋のお隣さんからはけたたましく階段を上り下りする音が響き、何だかもう、世の人々は自分(達)の部屋は外界と関係のない独立した存在、という認識で生きていらっしゃるのだろうか、という気がしてきた。

だから私もPrurientの「Bermuda Drain」を爆音で聴く。これ、以前のPrurient作品だったらかなり周囲に爆撃するような勢いで警鐘を鳴らすことができたのかも知れないけれども、この新作はなかなかどうして、以前とは結構趣が違う作品なのである。それまでのパワーエレクトロニクス的な、ハーシュな、どぶぁざー、というノイズの壁は姿を消し、どちらかと言うと若干エレクトリック・ボディ・ミュージックというか、Soft Balletに於ける藤井麻輝氏ソロ的テイスト、というか、悪く言えば若干そういう「現在」を切り取らない感じのシンセが鳴り響き、打ちこみのビートが疾走する、という展開を見せていてちょっと驚く。Dominick Fernowの叫びは以前と変わらないように思えるのだが、それも以前のようなノイズの一部的叫びではなくヴォーカリスト然とした生々しい響きなのであった(語りもあり)。加えて、勿論まだまだ通常の曲のように展開があってメロディがあって、という感じではないのだけれども若干曲としての構造を持ち始めた部分も感じられるし、そして静謐な感じまでもするのだから面白い。これは軟弱になった、とかいう感じではなくこれまでの強度を保ちながら新しい方向性を切り拓いているようでかなり頼もしいアルバムである。「夜にヨーロッパのトンネルを車で通っている時にヘッドフォンで聴け」というような但し書きまで付いているのだが、確かにそのシチュエーションでもずっぱまりかも知れないが、お隣さんとお2階さんに負けぬ磁場を作り出さねばならない夜のサントラとしても最適である。しかし思えばこのシンセ主導な感じは、Dominick氏がサポートで入ったり色々関わりのあるCold Cave辺りの具合にも通じる感じでもあって、そういう今様のシンセポップ群とのコネクションも見えるような気がしないでもないが、この重さ暗さはまた異色である。このズブズブはまり込むような感じは、曲間がほとんどないことも関係しているのだろうが、いずれにせよここ最近の愛聴盤である。