Ghosts

なるほど高校は今日卒業式だったわけである。

まあ職業柄身近なものではあるのだけれども思えば自分の時はどんな卒業式だったか、と今年初めて思った。何かとしとるとねー、振り返るわけですよ。

なんかいろいろ思い返してじーんとか泣きそうになってたっけかなあ、18の俺、とか頑張ってバイアスかけて思い出そうとしたのだが、その日はフツーに学校近くの、たまに行ってたラーメン屋で焼きそば食べて、近くの本屋でロキノン買って(Mick Jagger表紙)、今月の新譜はDepeche ModeとBryan FerryとMiranda Sex Gardenが楽しみだなー、とわくわくして家に帰ってSpacemen 3聴いて昼寝してたな・・・。

笑っちゃうくらいドラマも何もなく(男子校だったしさ)、また笑っちゃうくらい今と変わらなさすぎる。というか高校時代全般的にもっと良い感じに高校生らしくわしゃわしゃやってりゃ良かったかな、と思うのだが、果たして高校生らしい、とは?

思うにその「らしい」とかいうものは完璧に外部からの刷り込みと、あと歳取ってからの雑感に過ぎないのだから、結局のところ高校生の頃の私は私で私なりに私の考える「高校生らしい」感じでなんとか生きていたんだろうな、と思う。

しかし高校の頃の記憶って言っても大体食べたものとか聴いてた音楽くらいしか思い出せないもんだが、まあ高校生ってそういうもんだよね、男子校だったし!

David Sylvianの「A Victim Of Stars」を聴く。1982年から2012年の彼の30年間を振り返るベスト盤2枚組+新曲1曲である。あれ、前もベスト盤みたいなの出てたし持ってるよな、と思うのだが重複はあれど更にリマスターされてるっぽくてかなり音が分離よく、立ち上がり良くなっている。となると前の「Everything And Nothing」Everything & Nothingの意義は、となってくるのだがあれはあれで未発表ヴァージョンとかのレアトラックが入っているからちゃんと意義があるのだ。今回のベストは古巣Virginからのリリースで、現在のSamadhisoundの音源も入っている。そしてこの80年代初頭の彼をフィーチャーしたジャケも何だかこう、盛り上がるものだがこうしてJapan末期からずーっとキャリアを辿ってみると全くもって独特のメロディのセンスと彼のヴォーカルが不変すぎる、ということがよくわかる。Japanでも坂本龍一との共演でもソロ名義でもRain Tree CrowでもRobert Frippとの共演でもNine Horsesでも、結局のところどこをどう切ってもDavid Sylvian、ということになってしまうのは当たり前と言えば当たり前なのだが、それが強烈故にこうして30年分まとめて聴いてもあまりそれぞれで大きく印象が違わないのは凄いというか不気味というか。もしかしたら多種多様な共演者たちというのは彼のヴォーカルとメロディに拮抗する「音」を求めての必然的なものだったのかも知れない。まあ、インストになってくれば話は別なのだろうけれども。それにしても今回のベストを聴いて再確認したのだがDavid Sylvianは実にソウルフルなシンガーなのである。それでいて出てくる音楽がソウル、という言葉がイマイチ当てはまらないようなものになってしまうのはまた面白いところなのだけれども兎に角実に情感豊かな歌い上げ方をしているのである。それは最近の、インプロに乗っかるヴォーカル、みたいな作りの曲であってもなのだから80年代の叙情的に大きく振れていた頃の曲ではそれはもう、何だか感動してしまった。何回となく聴いているのに・・・。それにしても89年の「Pop Song」は当時もすげえな、と思ったけど今聴いてもめちゃくちゃスリリングである。