A Hundred Words

昨夜のcsgbの配信ありイヴェント、ご来場の皆様、ご覧になってくださった皆様、ありがとうございました!昨日はTシャツでブリュッセルより愛をこめてみたのですが、結局Crepusculeレーベルのものはかからず(関係者としてThe Durutti Columnくらいですか時代も全然違いますが)、相変わらずの感じ、でしたが楽しんでいただけましたでしょうか。何か思いついた曲の並びがBPMを媒介してつながったりすると面白いな、とこの3回の配信を通して思いました。まあなかなか我が家のようなタンテ1台の環境では準備も大変(ネットの情報、iPhoneBPMアプリ、妄想、あらゆるものを駆使して選曲)ではありますがまた機会ありましたらよろしくお願いいたします。

 

さて別に夏だからと言って祭、とかフェス、とか旅行、とかいうことをとくには楽しみにはしてこなかった人間としては何ら苦はない今年の夏、ではあるが、これらを楽しみにしていた人にとってみれば今年の夏は想像を絶する辛さだろうなあ、ということは想像に難くない。

 

まあそんな私だけれども「なんか違うだろ」というままに今年過ごしている感じはある。2020年早送りしたいですね、そんで気づくと2022年とかそこらへんとかで、まあ私がその時点で元気に生存しているならそっからまた生活したい、とか思ったりもする。何だっけ、アメリカの・・・、バーガーキング、だっけ・・・、まあそんな感じのハンバーガーチェーン店が、もう2020年を早く終わらせよう、とか言って7月の時点でもうクリスマスの飾りつけとか店舗に施して、Bye Bye 2020、とかやってたらしいが、めっちゃその気持ちわかる。

 

でもそんな2020年でも、まあ良かったことはあって、一つは配信で自分のDJとかをなかなか会えない友達のところにまで届けることができたこと(内容はさておき・・・)。もう一つはくどうれいんさんの文章や発言がたくさん読めるようになっていること、かと思う。今日本屋でちょっと立ち読みして彼女のエッセーを読んで、それを確信したのであった。

 

本当に面白い文章を書く人である。ショート、シャープ、って感じなのに微笑ましくてでも同時に物凄く何か触れてはいけないような冷たい何かが渦巻いているような、そういう文章。でもとにかく、とんとんとん、と読みやすい。読みやすいけど抉られる。結局どういう感じなのか、と言われてもまあとにかく最高ですよ、ってあんまり語らないでも済むような文章。やはり言葉の紡ぎ方が非凡なのだろうな、っていうことなのかも知れないけれども。

 

私は大体6、7冊同時進行でのんびりのんびりと本を読むのだが、彼女の

うたうおばけ

うたうおばけ

  • 作者:くどうれいん
  • 発売日: 2020/04/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

は、リズムに乗せて軽快に、でも冷たい何かを感じながら、そして粘つく何かも感じながらあっという間に読んでしまって驚いた。思えば前のこちら

booknerd.stores.jp

もそうだったなそういや。多分これからもたくさん文章を読める機会ありそうなので、それだけだな、2020年の良かったことは。

 

・・・って8月になったばかりなのに総括するのはおかしい。大体今年はMarc Almond様のライヴだってあったし、ってこれはもうなんか別格過ぎて生涯の良かったことレヴェルになりつつあるな。

 

でも2020年、最近まで知らなかったけどとんでもなく良いことが起きていて、それは何かと言うとThe Belovedの「Where It Is」がリマスター拡張されてCD2枚組になって再発されていたことである。 

Where It Is -Spec-

Where It Is -Spec-

  • アーティスト:Beloved
  • 発売日: 2020/02/07
  • メディア: CD
 

大体The Beloved、と言ってこの2020年に喜んでいる人が果たしているのかどうなのか怪しいのだが、私は90年くらいに、もうその時にはダンスエレクトロニックポップバンド(デュオ)になってしまっていたけど、出会ってからずーっと愛しているのである。たとえ96年以降アルバムが出ていなくても、である。で、今回の再発になったアルバム、これはそのダンスポップバンドになってメジャーに行くまでにリリースされていたシングル4枚を集めたコンピ、である。そういえばこのアルバム、今までの人生で出会った中でThe Belovedが好き、と言っている人は1人しかいなかったけれども、その彼が20年くらい前にCDを焼いてくれてそれを聴いていたなあ。その後中古でここに収められているシングルは全部入手出来たし(信じられないほど全て安かった)、このコンピ自体もある日盛岡の厨川ブックオフに行った当時盛岡在住だった友人(というか高校時代の同級生の例のMurder Most Foulな彼)から「なんかレコード一杯置いてるんだけど」という電話をもらい、その場で1枚ずつ電話で「あ、それはいる」とか「それは持ってるからいらない」とリモート買い付けを行った際に入手できたし、何ならそれから数年後自らまさにその厨川ブックオフに行った際にまさかのCDで発見、とかしたので我が家には既にもうたくさん、というくらい、ここに収められている音源はある。でもね、やはりここに収められた瑞々しいメロディのバンドサウンド、そしてインディ時代最後のまさかの打ち込みダンスナンバー、とか通して聴くだけで80年代後半のイギリスの音楽シーンを追体験できてしまうような歩みをしたバンドのアンソロジーだったら、しかもレアトラックまで付いてるんだから、って買ってしまうのである。なんかディスク2のデモトラックとか聴くとベースのエフェクターのせいかも知れないけれどもSiouxsie And The Bansheesみたいに聞こえたり、Joy Divisionみたいに聞こえたり、という瞬間があって80年代前半にバンドを結成する、ってこういうことなのかな、って見えて面白かったし、更にそっから進化した時点でディスク1のシングル集を聴くと今度はNew OrderっぽかったりWild Swansっぽかったり、ということでもしかしたらやっぱりインディヒーローにはなれなかったバンドなのかも知れないけれどもそこそこ地道にギターバンドとして開花したかも知れないバンドをいきなり方向転換させてしまったアシッドハウス、というムーヴメントは本当にとんでもないショックウェーヴだったんだな80年代後半のイギリスでは、と本気で思うのであった。ちなみにThanks欄にはNew Order等のマネージャーだった故Rob Grettonの名前もあって、あーやっぱりね、と何となく感じていた初期New Orderっぽさに合点が行ったのであった、ってあー思いが強すぎて書き過ぎた・・・。