Hyakki Yagyo Part 1

ううう、明日からまた仕事になってしまう・・・。

 

あるだけマシだ、と何度も何度も自分に言い聞かせてもやはり辛いものは辛い。私の場合昔から、「したいこと」よりも「したくないこと」の多かった人生なので、こうなってしまうのだろうか。なんせ話によると幼稚園の入園試験(そんなものあるってどうかしていると思うが)の際には「服のボタンをかけてみて」という面接官に対して「かけて」と言い放ち、「あっちの積み木を持ってきて」という面接官に対して「持ってきて」と言うような、そういう子供だったらしいから、もう今さらああだこうだ言っても手遅れなのかも知れないけれども。

 

と言うか上記入園試験の際のエピソードは母から聞いているだけなので、もしかしたら大分誇張されている可能性もあるのだが、いかんせん自分でも、さもありなん、と思ってしまっているから私という人間を表現するのにはこの上ないエピソード、と思っている。

 

だから、明日からは「〇〇したい」ということを前面に押し出して生きていけば例えばこのように休みが終わる日の憂鬱すぎる気分も解消し、より生きやすい生活が待っている、のかも知れないけれどもこんな年齢になってから急にドラスティックにマインドセットを変えていくこと、なんてできるのだろうか。いや、多分そうそう簡単に私には、否、ひいては人間にはそんなことできないだろうから、だから本屋に行けば何か「△△生き方入門」とか「〇〇な暮らし」と言ったガイド本が跋扈し、宗教は繁栄し、若者に対しては内向きにならずに世界に飛び出して、みたいな何かにすがるような、大人たちのみじめな思いからのメッセージが矢継ぎ早に浴びせられ、若干私もそれに加担しないといけなくなっているのは隠れキリシタンが踏み絵を踏んでいるような気持ちにさせられ、時折、何だかやっていけないな、と言う気持ちにさせられたりするのである。

 

まあ何が言いたいか、と言うと明日からまただりいな、暑いしな、ということと石橋英子の「Hyakki Yagyo」

Hyakki Yagyo [Analog]

Hyakki Yagyo [Analog]

  • アーティスト:Eiko Ishibashi
  • 発売日: 2020/08/14
  • メディア: LP Record
 

 が素晴らしいな、ということである。前のエントリのJim O'Rourkeの作品でも重要な役割を果たしている(ジャケ写まで!ちなみにこちらの石橋さんのアルバムのアー写はJimさんが撮っている)彼女の、オーストラリアでの「Japan Supernatural」展のために制作された音源がベースとなっているようである。それがまあ幽霊とか妖怪とかの話をテーマにしたものだったらしいので「百鬼夜行」というのは実にストレートに合点が行く。一休宗純狂歌のリーディングやらエレクトロニクス、ドラムス、ベース、ヴォイス、シンセなどがドローンっぽく持続し、メロディが現れては消え、何かの気配がぞわぞわと立ち上り、そんな中時折(とくにB面)ハッとさせられるような音が炸裂する、所謂この季節の納涼な感じの「ひゅーどろどろ」という音が、実際には鳴ってはいないけれどもそれに近い空気を全体で醸し出す、納涼サウンドトラックにもなっている。が、それ以上に絶妙なコラージュのセンスが爆発した、純度の高いエレクトロニクスコラージュ音楽になっているから、絶対オールシーズン楽しめる作品でもある。でも、石橋さん本人のライナーとか読むと(2020年4月に書かれている)、このパンデミック下の今年の夏にこそ最もふさわしい音楽、なのかも知れないし、そういうコンテクストから早く解放されて、また純粋にこういうのを楽しめる日が来たら良いな、という思いにもさせられる。この2020年跋扈する「百鬼」とは一体何なのだろうか・・・、ってつい考えてしまいますよね・・・。。