今年もTシャツの年!
さて、なんとなく備忘録的に2020年に良かった音楽の話をしたい、と思うのだった。20連発で行きます(と思ったら21枚だったので21連発、で!)
Cindy Lee 「What's Tonight To Eternity」
これが2020年一番良かったアルバムかなあ。2020年は以前の音源も初アナログ化
されて、年間通じてずーっと彼(彼女)の音楽を聴いていたように思える。ノイズと甘美なメロディと胸を締め付けるメランコリックな感じは上記2枚とも共通しているけれども、「What's Tonight~」はそこにエレクトロビートの乱入まであったりしてぶっちぎり。大体影響を与えた人、に美輪明宏って答えるカナダ人のミュージシャンって相当何だか凄い。
Ben Watt「Storm Damage」
EBTGの(と言わなくてももう良いのか)彼の4枚目のソロアルバム。とは言えファーストとセカンドの間が32年開いたりしているのでここ数年での3枚目、的な捉え方で良いのかも。シンプルなバンドサウンドなのだけれども時折するっとエレクトロニカな音が入ってきたり、何かジャズっぽくも聴こえるけどブルージーだったり、はたまたトラップ的になっていたり、一見そう見えないのに物凄く独特なアルバム。でもやっぱり彼の歌心が前面に炸裂していて泣ける1枚。
石原洋「Formula」
もうこちらは私がどうこう言うよりも、こちらのブログを是非お読みになってください。私はこれアナログで買ったのだけれども、針音+雑踏の音の後ろのバンド演奏、ってもう何を聴いているのか、聴くって何なのか、と考えました。
Tycho「Simulcast」
これの前作
と対になっているアルバムなのだけれども、Ninja Tuneからリリースされたこの2枚から聴き始めた私のような門外漢でも凄く楽しめる、柔らかく優しいエレクトロニカ的なアルバム。前作ではヴォーカルがフィーチャーされていたけれども今作は同じ音源を利用しながらも全部インストで、なんだろう、郷愁、なんだなあ・・・。
Tops「I Feel Alive」
こんなにすごい名曲しか入っていないアルバム、ってなかなかこの世に存在しないんじゃないか、という怒涛の傑作。80年代のブルーアイドソウル的世界がここまでしっくりくるとは。
井手健介と母船「エクスネ・ケディと騒がしい幽霊からのコンタクト」
Contact From Exne Kedy And The Poltergeists(エクスネ・ケディと騒がしい幽霊からのコンタクト)
- アーティスト:井手健介と母船
- 発売日: 2020/04/29
- メディア: CD
こんなにギラッギラのロックンロール(広義の)アルバムになるとは思いもしなかったセカンドアルバム。
Mei Ehara「Ampersands」
その井手健介アルバムの写真撮影したりヴォーカルでも参加している彼女のセカンドアルバム。良い意味でさらりと流れていくようだったファースト
と比べるとより濃くなったけれども、彼女の澄んだ美声って冷静に聴こえるけれども実は凄くソウルフルなんだな、とちょっと多彩になったサウンドのセカンドで気づいた。
Charles Curtis「Performances And Recordings 1998-2018」
チェロ奏者の彼のCD3枚に渡るアンソロジーだけれども、ドローンから美しいソロ、チェロ叩いちゃう曲からバンドサウンド、めちゃくちゃヴァラエティ豊かながらもなんか幽玄な音色が支配していてそれが凄く気持ち良い。
Aksak Maboul「Figures」
まさかこの名義で40年ぶりの新作が出るとは・・・。まあ3枚目に予定されていた音源の完成版、というのもこの間出ていたけれども。
元々Aksak MaboulもThe Honeymoon Killersも「こういう音」というのがない、というか全てにおいて逸脱していた音楽だから、この新作もAksak Maboulらしい、と言えばそうなのだがどこがどういう風に、というのはよくわからない。でも色んな音楽が混ざり合って楽し気で、というところが実にAksak Maboulらしく嬉しい。
Aldous RH「Respect 4 Devotion」
元Egyptian Hip Hop、危険なまでに弛緩した緩すぎるブルーアイドソウル名盤。
Ann Margaret Hogan「Honeysuckle Burials」
Marc And The Mambas以来、80年代の間ずっとMarc Almondを支えた女性キーボーディストがDownwards(!)からリリースした、翳りありまくりの美しいピアノソロアルバム。
DJ Python「Mas Amable」
DJ Python - Mas Amable (Full Album - Official Visualizer)
どうもレコードは3月に再発になるみたいだけれどYouTubeに全部上がってた・・・。ジャケはこんな感じ
で、何だか霞の中のディープハウス、みたいなめちゃくちゃ浮世離れしたほわーんという中で突如強靭なキックが鳴り響く謎の音楽。
Einsturzende Neubauten「Alles In Allem」
ここまで「歌もの+面白いアイディア」というアルバムを出されると痛快。普通に名曲ゴロゴロしているけど、実はここ30年くらいはどのアルバムにもそういう曲、あったじゃん、ということを私たちに突き付けてくるのだ。
CS+Kreme「Snoopy」
オーストラリア→ドイツ、の2人組によるエレクトロなアンビエントだけれどもフリージャズも入って来てインダストリアルな空気もあって、ただ全体的に暗い、潜るようなサイケデリックなアルバム。
The Lemon Twigs「Songs For The General Public」
Songs For The General Public [輸入アナログ盤 / 1LP] (4AD0229LP) [Analog]
- アーティスト:ザ・レモン・ツイッグス,THE LEMON TWIGS
- 発売日: 2020/08/21
- メディア: LP Record
遂に突き抜けて名曲しかない、サードアルバム。変拍子ありまくりながらも凄くすっきりストレートに聴こえるグラムロック(!)になっているのはこの兄弟の逞しさの証。
Laura Marling「Song For Our Daughter」
架空の娘に向けて歌われたアルバム。これまでも意外に音楽的に変遷を重ねてきた彼女だけれども遂に色々と歯車がガチっと合わさったかのような名曲揃い。
Kelly Lee Owens「Inner Song」
Radioheadのカヴァーも含む、優しさとハードさを合わせ持つエレクトロニックミュージック。この分厚いシンセの響きにJohn Cale参加、とか面白くないわけがない。
Kevin Morby「Sundowner」
やはり曲が良いとアルバムはバシッとまとまるんだなあ、というダウントゥアースな名盤。
Alessandra Novaga「I Should Have Been A Gardener」
こちらで買えます。イタリアの女性ギタリストが故Derek Jarmanにインスパイアされたギターソロアルバム。彼がPVを監督したPet Shop Boysの「It's A Sin」
Pet Shop Boys - It's A Sin (Official Video) [HD REMASTERED]
のフレーズをもとにした曲まであって、かなり何層にも混みあった感じのトリビュート、という印象。Loren Connorsばりの幽玄さ。というかこの時代にDerek Jarmanの話題とかされると、更に彼の声まで入ってる、とかなるともうたまらず飛びつかざるを得ないのだ・・・。
Nicolas Jaar「Cenizas」
暗い。アンビエント~クラシック~ドローン~ミニマル、色々言えると思うのだけれども暗い、というのが一番的確な感じかも。
Fenne Lily「Breach」
こういう硬質なバンドサウンドで美しい女声ヴォーカル、ってどんな時代でも新鮮且つ気合入れられる。
ということで20枚(いや21枚)だったのだが、要は好き勝手に色々聴いてきた、ということである。今年もそんな感じで過ごしていきたいものであるが、何せ時間、これが問題だ・・・。どうなることやら・・・。
年末年始は部屋の片づけもやったりしながら色々引っ張り出してたくさん音楽を聴けた。こういう時間が大切だなあ、と痛感しながらThe Flying Burrito Brothersの「Burrito Deluxe」を聴いていた。
BURRITO DELUXE [SACD] (HYBRID CD/SACD)
- アーティスト:FLYING BURRITO BROS., THE (FEAT. GRAM PARSONS)
- 発売日: 2018/10/19
- メディア: CD
The Byrdsがカントリーにめちゃくちゃ接近した「Sweetheart Of The Rodeo」
で活躍したGram ParsonsとChris Hillmanが結成したカントリーロックのバンド、1970年のセカンドアルバムである。ファースト
THE GILDED PALACE OF SIN [SACD] (HYBRID DUAL-LAYER CD/SACD DISC)
- アーティスト:THE FLYING BURRITO BROS
- 発売日: 2017/11/03
- メディア: CD
が売れなくて、レコード会社からのてこ入れで人気曲のカヴァーをやれとか言われて色々レコーディングしたけど全部没にして低予算で作ったセカンド、ということでこの時期のGram Parsonsの酒浸り、クスリ浸りでThe Rolling Stonesとばっかり一緒にいたり、というダメダメな状態もあってファーストに比べるとどうしても評価が低いけれどもなんのなんの、そんなにグダグダな状態だったとは思えないスピード感あふれる軽快なカントリーロック(なんて安易な言葉、と思うけれども本当にカントリーとロック、なんだな)のアルバムで、久々に聴いてみたけれどもやはり楽しく聴ける。Bob Dylanの曲やら本家が発表する前だったThe Rolling Stonesの「Wild Horses」とかの消化具合とかを鑑みるに、本当に、たとえグダグダだったと言えども奇跡的な音楽の閃きが感じられる1枚である。Teenage FanclubとかThe Rockingbirdsもカヴァーした「Older Guys」も入ってるし。ところでこのアルバムを最後に抜けたGram Parsonsが大人気なもので、ここまでのThe Flying Burrito Brothersの評価が高いわけだが、彼が抜けてからのアルバムもその後のラストになったライヴ盤も
Flying Burrito Bros & Last of the Red Hot Burritos
- アーティスト:Flying Burrito Brothers
- 発売日: 2008/04/15
- メディア: CD
どちらも結局素晴らしいのである、ということもこの年末年始に再確認したので是非皆さんとも共有したい。