Glorious

csgb Vol.98

2023年6月9日(金)20:00~  @ Monet

Door: 2000yen

Guest DJ: tmym

DJ: Hirasho, Shinshin, 5atoru, tdsgk

もう今回はなんとなく、CDシングルメインで、いわゆるロック的かな、と私が考えたりする感じのものをかけ倒したい、と思っています!まあ出張なので、日中車の中に置いておくのになんかレコードいやだな、というのと、前回とあんまり間隔空いてないのでちょっと目先の違うことをしようかな、と思ったからなのですが。ということで、ちょいとある種の方々にとっては懐メロ担当かも、です!

 

AOBA NU NOISEのTシャツです!

aobanun

 

今週のお題「わたしのプレイリスト」

・・・ブログの編集画面に「お気に入りのプレイリストを教えて!」というものがあって、そこをクリックしていって、あれやこれやしているうちに今週のお題、というものがここに表示されるようになってしまった、というのがことの次第である。あまりお題に従って書いたことのない、かなり自由(というか適当)な拙ブログであるが、たまには良いのかもしれない。

 

私のように昭和生まれだと、カセットに自分なりに選んだ曲を詰め込んで、というようなコンピレーションテープ、というものをよく作ったものである。それを誰かにあげたり、とかそういうストーリーはよく読んだり聞いたりしたものだし、友人にも、コンピレーションカセットというものに関して一家言ある、というか爆笑のエピソードを多数持つ人もいる(それが今回のcsgbに出てくれるtmymさんなので興味を持たれた方はぜひご来場ください)。

 

そう、なんかコンピのカセットには単なる曲が詰まったもの、ということ以上の意味付けがなされがちであった。多分それは「もの」として存在しているものゆえにカセットのレーベル面にいろいろ工夫したり(私はそういうことしなかったが)、なんか実際に相手に渡す場面を設定したり、とかなんかドラマが生まれがちではないですか。

 

あと単純にめちゃくちゃ編集に時間がかかったので、その分思い入れもひとしお、であった。CDとかアナログ盤から1曲1曲カセットに入れていったらその分の時間は当然かかるわけでそりゃあ気合も入るし、選曲に関しても、完璧じゃね、とか思っていたら心変わりでもう一回やり直したり、とかそういう経験も一度や二度ではない。そうなってくるともうコンピカセットを誰にあげるか、という問題ではなく自分との闘い、と姿を変えてきて、かなりストイックな作業であったように思える。だから、例えば最初はなんかきっかけがあって女の子にあげる、とかそういう軽い気持ちで作り始めたのに、最終的にボロボロになるまで自分の内面と向き合い続けてしまった結果、もうよくわからない選曲になってしまってA.R. Kane「Baby Milk Snatcher」から始まってEinsturzende Neubautenに突入して、最終的にMomusからのThe Missionで終わる、という大感動のカセットを作ったけれども、結局何のリアクションもなかった、という苦い記憶が蘇ってきて穴があったら入りたい気持ちになった。だから多分The La’sのセカンドがずーっと30年以上出ない理由は、Lee Maversも同じようなことを自作曲でやってるからじゃないかな、とか急におこがましくもあの天才ソングライターを自分に準えて思ったりしたのだった。

 

それから時代が移り、コンピカセットが好きな人はコンピCDを作るようになったわけである。コンピカセットで狂気の淵を覗き込んだ人でも、こちらはよりカジュアルにさくさく量産できるので、結構やっぱり作ったなあ。やはり同じように狂気の淵を覗き込んだ友人にはコンピCDでも爆笑エピソードがあり(それが今回のcsgbのゲストのtmymさんで、一緒に夏コンピCDなんかを作って頒布とかしたりしてたのでぜひご来場ください)、なんなら私も違う意味での狂気の、80年代から現代まで自分が聴いて盛り上がった曲をまとめてしまったCD-R4枚組を止むに止まれぬ衝動に突き動かされるまま(解説つき)大量に生産して頒布したり実費で販売したり、とかやっていたので、「コンピ○○」に情熱を傾けた人はまあ、なんか大変な目に遭うのであった、メディアが変わったとしても。

 

それに対してプレイリスト、というものは私はごくたまに、なにか事情がある時しか作っていない。でも、今年に入ってから結婚パーティ用、そしてyumboとの東京ツアー用2回分、みたいな感じで3つは作っていたことに気づいた。もうカセットやCDと比べても楽すぎて、そう逆に楽なのは良いのだが過剰なまでに楽過ぎてあまり燃えない、というのが実情である。頭の中に曲が浮かぶ→検索→追加、ということでほぼ無限に苦も無く作れてしまうので、良いと言えば良いのだけれども、そう、何かこう、ドラマがなくてね、とか今思いついたもっともらしい理由を述べてみた。

 

でも、逆に今の私にはなんかプレイリストしか作れないのかも知れない。コンピカセットやコンピCDは何と言うか、手持ちの音楽ソフトがコントロール下にあって内容もしっかり把握していて、それから抽出していたような気がする。今は何かレコードがまた強烈に増えた、というのもあるしCDも一部は倉庫にあるし、何よりも時間、というものが決定的に不足していて新規ソフトの内容をがっつり把握できているのか、と問われればちょっと答えるのに躊躇する、というのが実情である。つまり、全てがアンダーコントロールだった時代の幸福な産物として私の場合、コンピカセットやコンピCDがあったのではないか、とか思ったりもするのであった。

 

これは正直に認めねばならない。ここで嘘をついても仕方がない。すべてがアンダーコントロール、と嘘をついた人間を私は知っているが、その後の末路も考えるとロクなことにならない、ということも私は知っている。しかしやはり震災後に結構コントロール不能に私も陥ってしまったことは何となく、色々な理由があるにしても認識しているので、まあ、あれから変わっちまったよね、色々、とかまとめることはできるのであった。

 

しかしそれでもyumboとの東京ツアー用に編集したプレイリスト、「なんとなく80年代の好きだった名曲プレイリスト」は間違いなく楽しいおすすめできるプレイリストだったが、最初に作ったプレイリストは9時間超え、というどうかしている代物であった。4月に行った2回目のツアー用に再編集して、2つのプレイリスト、7時間と4時間、というものに落ち着いたけれどもそれでもトータル11時間超え、という狂気以外の何物でもなかったので、結局「コンピ○○」で狂気に突入した人間はこのプレイリストの時代に於いても、最早アンコントローラブルな狂気に苛まれている、ということの良い例と言えるのではないだろうか。

 

いや、みんな私(とか)と一緒にされたら迷惑だろうから過度な一般化は避けるべきであるが、何かプレイリスト、直線的な思いに突き動かされて、という側面がイマイチ個人的には感じられないので、物狂おしさは健在ながら、さして燃えない、というのが正直なところなのであった。

 

・・・あれ今週のお題は・・・。まあ、良いや、The Breedersの「Pod」を聴こう。

当時PixiesのKim Deal、当時Throwing MusesのTanya Donelly、当時Perfect DisasterのJosephine Wiggs等からなる、ある種スーパーバンドの1990年リリースのデビュー盤である。いや、こないだのコーチュラフェスの動画を観て現在でもめちゃくちゃかっこいいじゃん、とThe Breedersブームが再燃していたのだが、やはりこのデビュー盤に止めを刺す、とか言うと怒られるのであろうか。Steve Albiniのレコーディングによって信じられないくらいボトムスのしっかりしたドラムスを中心に据えた、生々しいにもほどがあるアンサンブルに素っ気ないヴォーカル、The Beatlesのカヴァー、誰も話題にしていないThe Wolfgang PressのMichael Allenの客演、とか多分ラフに作り上げられたが故の瑞々しさがあって、人懐っこいメロディも映えまくりで、Pixiesの90年以降なんかよりも全然かっこよい(あ、暴言でしたか)。そして殺気みたいな緊張感とのバランスも素晴らしくて、以降紆余曲折、メンバーチェンジも経ながらの道程のスタートを飾るに相応しい名作。