ああっ、滝口順平氏が亡くなってしまった・・・。
私が地上波で唯一見ている(というか録りためて後で見ている)番組、「ぶらり途中下車の旅」のナレーションを担当なさっていた声優さんである。あの声のないあの番組、というのはこれまでにも何度かはあったのだがその時はどうも物足りなさが先行してしまって番組の内容に没入できなかった記憶がある。
あのとぼけたような優しい声が聞けなくなるかと思うと、あのレポーターが美味しそうな料理(主に肉料理)を食べ始める瞬間に被さる「ひゃあ〜」という声が聞けなくなるかと思うと、何だか悲しくなる。おそらく新しいナレーションと共に番組は続いて行き、いずれ違和感も薄れて行くのだろうが、それでも、あの番組を完璧たらしめていたパーツの巨大な一部が欠けてしまったことに変わりはないわけでこの喪失感は測り知れない。
っていうかもうこうなったらこれを機にもう我が家のテレビを地デジ対応にしなくても良いんじゃないか、とか思い始めている自分がいるのだった。あ、被災地は来年の3月までアナログ放送延長なのですよ。
あまりにも失ったものが「ぶらり〜」愛好家には大きすぎるのだが、ご冥福をお祈りいたします。HDに録りためている震災以降の「ぶらり〜」を見よう見ようと思ってまだ見ていなかったのだが、なんか見るたびに泣いちゃいそうだな・・・。
その巨大な哀しみを胸にTV Victorの「The Ways Of The Bodies」を聴く。思えばTresorからのリリース作品買うのは初めてだな。寡聞にして今まで知らないアーティストだったのだが、これは2000年と2002年に制作された音源の初リリース作品らしい。しかもCD3枚組である。しかも3枚組で収録時間めいっぱい使って(70分1曲という鬼曲も含め)全5曲である。ディスク1は配布用音源、2,3は未発表のようである。どれも共通しているのはとにかく延々同じ展開が続くのである。途中シンセがフェードイン / アウトが、とかピアノが、とかパーカッションが、とかの音の抜き差しはあるものの基本的にずーっとダウンビートで突っ走っているのである。でもそれがやたら気持ち良い。それは音色が優しいし、どこか叙情的な旋律が明滅する光のように入ってきたり出て行ったりするからなのだろうけれども、音のバランス具合が凄く良いのだ。聴いていて何だか緊張を強いられないし、且つグダグダで飽きちゃうような感じでもない。そしてビートがしっかりと刻まれているが故によくあるアンビエントのりで持って行かれる、とかそういう感じでもない。そのどこかひんやりとしていてでも柔らかく、且つ背筋が伸びるような感じはSkylabのファーストを想起させる、とか言っても今の世の中どこまで通じるのだろうか・・・。しかし先ほど言及したようになんだか音が凄く良いな、とか思っていたらMax LoderbauerとMoritz Von Oswaldがミックスだのマスタリングだので参加しているのか・・・。なるほど。流石だなあ。