Baba Yaga

ところで今日ラーメン屋で週刊誌を読んでいたのだが、何だか気が滅入ってしまったのだった。凄惨な殺人事件の記事やら、芸能人のスキャンダルやら政治の裏側やら死体のスクープ写真やら(あとAKBか)、確かにネタとしては良いのだが、どうにもこうにも出口のないような記事ばかりであった。

いや、良いのだ。商売なのだから。でも、毎週週刊誌を買い続けたりする習慣のない人間としては、どういう人がこういう週刊誌を買い続けているのだろうか、とふと思った。どうも私はその週刊誌から発せられる黒いヴァイブにやられてしまったようなクチなので、なかなか想像がつかない。

おそらくその記事を受け止められるだけの余裕を心に持った方々なのだろうな、と勝手に想像する。もしくは世の中の情況をダイレクトに切り取ったものがあの黒いヴァイブの記事群だと思うので、世の中の情況をしっかりと受け止められる方々、と言い換えても良いのだろうか。

どうやら私はまだまだ心にそこまでの余裕がないらしいので、まあ週刊誌はラーメン屋で読む程度で良いのだろうな、という結論になるのだが。だから、週刊誌を毎週読んでも動じない大人、そういう大人に私はなりたい、ものであるが。

あ、グラビアは全身で受け止めました、はい、って別に言わなくても良い情報ですな、はい。

Amen Dunesの「Through Donkey Jaw」を全身で受け止める。このシンガーソングライターに関してあんまり詳しく知らないのだが中国からアメリカに戻って初のアルバム、らしい。これが何と言うか、ダウナーな具合のサイケデリックなウタモノのアルバムである。全ての音が遠くから聴こえてくるような、深層から鳴っているような、そういう音楽である。ギターのこのくぐもった感じ、初期のFeltがちょっとリヴァーヴかけすぎたような感じ、は私が最も好物とするような感じだから一発で気に入ってしまったのだが、Syd Barrettとかを彷彿させる無邪気に美しい切ないメロディも顔を出して、どこか全体的に胸掻き毟らせられるセンチメンタルな感じの作品である。ヴォーカルのこの感じは何だかGene Loves Jezebelを想起させられるなあ、とか思ったのだがそれは全くピンと来る人も少ないだろうな、という感じなのだが全体的にファーストアルバムを出す前のVerveをもっとダウナーにしたような感じ、という方が何となくピンと来るであろうか。基本的に全部1人でやっているようだが時折ドラムスやら何やらでヘルプの方々が参加していて、非常に小さい世界の中でもヴァラエティを出すことに貢献している。しかしこの徹底的に遠くから鳴らしてやるぜ、といったような感じはここ最近ではあんまり耳にしなかった感じであって、逆にエラく男気を感じて感動させられるものである。全く知らなかっただけにこういう出会いがあると実に嬉しいものだなあ。