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AOBA NU NOISEのTシャツです!

aobanun

 

早いもので前回の更新から大分間が空いてしまった。今月の初めには色々と書きたいことがあって、それが時間との幸福な結婚を果たしたおかげで更新できていたのだが(あと蓮実重彦先生の文章に触発されたところも大きいか)、ネタの方の片思い、の日々が続いたのでここまで更新の間隔が空いてしまった。

 

前回の更新から何があったかな、と思い出すと7月5日の金曜のことは覚えていない。翌7月6日の土曜日は休みだったのだが、私が大いに話す仕事、言うたら講演会が午前に2回、午後に1回、という演歌歌手やらジャニーズやらも真っ青の昼夜3回公演、とでも言うべきハードデイで、終わってからは屍のようになっていて夜も廃人のようになって泥のように眠った。

 

次の日曜日も休みなのだが某検定試験の面接官、という、金のためにはしょうがないとは言えハードな仕事があって終日潰れ、しかしその日にはCorneliusの30周年ライヴが東京であり、おかげで我が家も大いに影響を受けて、夜には最近のレシピの検討事項であるパスタ料理、カチョ・エ・ペペの完成度を高めるべく実験的に料理し、結果なかなか美味しくできたので充実、であった。BGMはSpiritualizedアナログ再発シリーズの私が購入しなければならないタイトルとしては最後になる「Songs In A & E」

を聴きながら作成し、食べた。

 

次の月曜日から金曜日までは起床~仕事~帰宅~夕食~就寝、であったが、最早燃え尽きる、という表現が相応しい平日の夜には、月曜日に職場に届いた「European Primitive Guitar」

を寝落ちしたりしながらも、2枚組のアナログを5日間かけて聴き通して1週間を終えた。

 

昨日土曜日は休みにもかかわらずまたしてもtdsgk大いに語る、という講演会仕事があり、しかし今回は午後1発だけだったので気楽と言えば気楽、ではあったが朝っぱらから黒猫のクロちゃんに会いに、というか高校の同級生である、歩く偉大なる復活、と言うか歩く追憶のハイウェイ61、と言うか最近だと歩く明日なき暴走、という形容が相応しい彼の家に行きLone Justiceの「Teenage Kicks」7インチを引き取り、大急ぎで職場に向かいながらApple Musicで同曲を車で泣きながら聴いたりした後に午後を乗り切り、その後に実家の用事も済ませつつ、夜は中華屋で初手からフルスロットルで餃子、豆苗炒め、鶏肉とカシューナッツの炒め、水煮肉片、そして温い瓶ビールの黒ラベル、冷えた瓶ビールのキリンラガー、などなどを大量に消費しながら、後から振り返れば何も語っていないような会合、しかし何よりも有意義な時間、という夜を超えて今日は2週間ぶりの休みだったのである。

 

だから今日はRafael Toralの「Spectral Evolution」

を聴いたりしていた。ポルトガル出身の音響ギタリストの新作、である。音響ギタリスト、って形容もいかがなものか、とも思うのだがまさにその言葉が相応しい、と思うのだな。Jim O'RourkeのDrag City内のレーベル、Moikai(昔は再発物メインだったけどこうやって新作も出すのだね)からのリリースになる今作は、壮大にたゆたうギターによるアンビエント~ドローンの上で電子音や自作楽器(多分電子楽器なのだけど)がまるで生き物の対話のように絡み合う作品で、その絡み具合が、まるでライヴインプロヴィゼーションのようにスリリングで最初っから引き込まれて離れることができず、そしてアルバムもA面B面が上手く対になるようにできているトータルな作品として非常に一貫性、というかまとまりのある化け物のようなアルバムで、なかなかこういう作品に出会うこともできないと思うし、出会えてよかった、と思える稀有な作品、である。現時点での今年のベストアルバム、である。