In Amber

AOBA NU NOISEのTシャツです!

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一応仕事をしているので、私のような者でも名刺というものを持っている。

 

で、今の部署はめちゃくちゃ対外的な用件が多い部署なので(しかも私1人)、会いたくもないけれども沢山の人に会う。会うたびにこの名刺がどんどんなくなっていく。今年度に入ってからまだ3カ月なのであるが、昨年度から持ち越した30枚程度の名刺がなくなり、その後100枚作り、そして今その100枚がなくなりそうなので新たに100枚追加で作っているところである。

 

一度はあまりにも一気に人に会いすぎて(東京の会合に出席したのだが、その会合自体が名刺キラーと呼ぶにふさわしいほどの人数と名刺を交換する会であった)名刺が底をついてしまい、慌ててiPhoneのアプリの「マイ名刺」というものをダウンロードして、残った1枚の名刺を写真に撮ってローソンでプリントアウト、などという羽目にも陥った。1枚100円もしたのだが、8枚作ってもちろん職場に請求した。

 

このマイ名刺、まあ急場をしのぐ、という意味では良いのだが、写真印刷用の紙でてかてかしているし、出来上がりが若干サイズも小さく、そしてなんだか解像度も低い、往年のブートレッグ盤のような、そう、私がレコード屋で働いていた20世紀末によくリリースされていたブラジル盤のブート専門レーベル(?)、Rare Brasilから出たElis ReginaとかEgberto Gismontiの諸作のような仕上がりで、ちょっとほっこりとした、というのは大嘘で、なんだかなー、という気分になったものである。

 

しかしこの「名刺」というもの、いまだに社会人というものに慣れていない私としてはどうにも不思議なものである。単に名前と職場と肩書と連絡先が書いてある紙、ただの紙なのに。会った人の記録、というだけのものだと思うのに。時になんだか水戸黄門の印籠のような、そういう重みまで持たされる紙、何なんだろうな。

 

名刺などに頼らずとも私のことを認識させたいものである。そのためには、ロマンポルシェ。の説教のように肩書は男、以上、みたいな感じで会った人に「tdsgkはtdsgkである」と直接脳に語りかけることができるくらいの輩にまでのし上がらなければならないのだろうか。

 

まあ結局別にどうでも良いのであるがね、所詮は仕事の話であるし。大事なのはDIIVの新作がすげー良い、ってことである。

Frog In Boiling Water [12 inch Analog]

Frog In Boiling Water [12 inch Analog]

  • アーティスト:DIIV
  • Universal Uk
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5年ぶりの4枚目のアルバムはCaptured Tracksからではなくメジャーからのリリースになった。もちろんここまでどのアルバムもとても良かったけれども、今作はかなりのブレイクスルーなのではないだろうか。とは言え、速い曲は姿を消しどの曲もミドルテンポくらい、で一聴すると地味な感じもあるのだけれども、その分独特のコード展開、全体的に糖衣がかったようなメロディとギターのレイヤーに相変わらずの隠れがちなヴォーカル、ということでバンドの魅力がこれでもか、とじっくりと味わえてしまう充実作、なのである。ここから思いっきり凡庸な話をさせてもらうが、Rideのセカンドまでと再結成以降の3枚、dipMy Bloody ValentineLoveless」のシングル曲や速い曲以外、が想起させられるが、よくあるような「シューゲイザー」的な感じの音よりも圧倒的に「包み込まれる」感が違っていて、それが実に心地よい。一方で歌詞は資本主義や現代社会への不安、やらで不穏な感じなのだが、この音から想起させられる甘いメランコリーが圧倒的すぎて・・・。