Burning Airlines Give You So Much More

そういえば気がつくと立冬も過ぎ、最早季節は冬に向おうとしているのである。

時間が経つのが早い、という話を以前のNag3時代からことあるごとに記してきた私であるが、ここでもまた声を大にして言いたい。早すぎる。いつの間にか1年とか余裕で過ぎてしまう。春も夏も秋も確実に過ごしてきたはずなのに、以前感じられた長さの2分の1くらいしかないように思える。

多分に歳を取るにつれて刹那的な傾向が私の中で強まったからかも知れないが、その日暮らしでぜいぜい言っている間に何もかも過ぎてしまうのである。これはどうしようもないのかも知れないことなのだが、この速度は何とかならないものなのだろうか。

でも速度が大事、とか言っていたサックス吹きの男はとうの昔に凄い速度で人生を生ききってしまったわけである。生ききったかどうかはわからないが、少なくとも終えてしまった。そんな加速に全てを賭けた人生を生きたいわけでも、別にだらだらと生きたいわけではないのだが、少なくともこの速度をもうちょい緩めたいものである、と日々、ここ数年思いながら暮らしているのだけれども、ますます加速する一方でほとほと困り果てている。でも30歳過ぎると、本当に加速度をつけて人生の速度は増すばかりである。ここをお読みの方にはオーヴァー30の方々が多いと思われるので同意を求めたいところである。

まあ、また温泉にでも行くか、という話である。もう一生温泉で生きていても良い、とか最近とみに思うのだが、それは要は逃避したいだけなんだろう。でも何と言われても良いから、また行きたいなあ。

ということで温泉に入ったのと同じような安らぎとか何とかを得るがためにレコードを聴いている今日も。Eno「Taking Tiger Mountain ( By Strategy )」を聴いている。ソロ第2作目である。リマスターCDも出ているこの2008年にLPを購入する、というのも(しかもIsland原盤でなくPolydor盤、という。まあ30年以上前のプレスなんだけども)渋いなあ自分、とか自己評価を高めてみる。ファーストソロヒア・カム・ザ・ウォーム・ジェッツ(紙ジャケット仕様)(ちなみに上の画像もここの画像も敢えて紙ジャケを貼ってみた)も勢いで久々に聴いたが物凄いバッドトリップな音楽であった。何だか物凄く気持ち悪い音世界で、疲れた時にはあまりおススメしない。大名作なんだが。それに比するとこのセカンドはもうちょい牧歌的な感じがしたりして実に気持ちよく聴けて、Enoさんのうたものソロの中では一番好きかも知れない。結構、入ってくる音が整理されて、メロディもより一層甘いほんわかした曲が増えているのが特徴で、何だか凄く安らげる、側面もあるにはある。しかし同時に物凄くギラギラした大暴れナンバーもあったりして、良い意味で混沌度が増しているのも特徴であろう。Eno氏のヴォーカルも自らの声質を活かせる場を発見したかの如く、凄く瑞々しい魅力に溢れている。Robert WyattやらRoxy Musicの面々、Phil Collins等豪華な参加陣もそれぞれしっかりこの音世界を構築するのに一役買っている。今更言うまでもなくBauhausのド迫力カヴァーで御馴染み「Third Uncle」も入ってるし、あのBurning Airlinesのバンド名の元ネタになった曲や、A Certain Ratioのバンド名が取られた歌詞を含む曲、など実はその後の音楽シーンを考えた上でとっても重要なアルバムだったりもする。いやー何百回と聴いたはずなのにまたしても大興奮。まあ、変な音は至るところに散りばめられてはいるのに安らげる、ってのも何だか凄いわけである。