Yesterdays Tomorrows

ところで疲れが溜まると足の裏が大変痛くなる私であるが、ここ最近もなかなかに足の裏が痛い日々である。

「師走」という字の如く、まさに走り回る日々が続いているわけで、そうなって来ると足の裏をマッサージしてもらいにどこかに行く、というのも億劫になってしまい、最早セルフケアしか道はないだろう、と思うわけである。だから寝る前に、眠気に打ち負かされてしまわない時にはすりこぎのような棒状のもので足の裏を押すようにしているのだが(しかも足裏のツボマップみたいなものを参照しながら、という念の入りようなのだが)、なかなかにドラスティックな改善は見られないままである。

足の裏に貼る樹液シートも素敵な一品ではあるが、なかなかにコストパフォーマンスがよろしくないように思われるのでそうそう手も出せない。ならば、あれか、足の裏マッサージ機とか昔あったよなあ、今もあるのかな、とか思い出した矢先に、足裏マッサージ機で窒息事故が頻発、というニュース記事が目に飛び込んでくるものだからやり切れない。

しかし足の裏のマッサージで窒息、ってどういうことなんだ、足の裏のツボを攻めすぎると『北斗の拳』に於ける秘孔のようなものを突く羽目になってしまって「ひでぶ」とか言いながら窒息死するのか、と妄想が止まるところを知らなかったが、なんでも正しい使い方をせずに肩揉み、首揉みに使った結果の事故、らしい。

遣る瀬無い、あまりにも遣る瀬無い。多分人間、閃きが何か上手いことにつながることって結構あると思うのだけれども毎回そう上手く行くとは限らない、ということをこのニュースから痛いほど教えられる。普通に足の裏だけに使っていればよかったものの、やはり人間、快楽には貪欲なのだなあ、と悲しい性(さが)を感じて切なくなった。

で、結局何が言いたいのか、というと大脱線に次ぐ大脱線を経てしまったわけだが、要は温泉行きたい、ということなのである。もしくは百歩譲って足裏マッサージ。見果てぬ夢であるのう・・・。

じゃあせめて心のマッサージを。Tindersticksの「Hungry Saw」で心のマッサージ。あの馬鹿みたいに人数が膨れ上がっている日本最大のSNSでのコミュニティ参加人数が29人、という衝撃のバンド、Tindersticksである。このアルバムは随分久々だなー、とか思っていたら何と5年ぶりらしい。その間ヴォーカルのStuart A. Staplesはソロ活動を頑張ったりしていたのだが(アルバムLeaving Songsがめちゃくちゃ良かった)、なんでも実は活動を止めるかどうかの瀬戸際だったらしい。そんな曲折紆余を経て出来上がったこのアルバムではメンバーが3人編成になってしまっている。しかし、にも関わらず、安心して聴ける傑作である。Stuart氏の低音ヴォーカル(半端なく低く、そして震える美声なのだ)は相変わらずだし、メロディも叙情的で美しい。しかし、ソウルっぽいアプローチ自体はOdysseyのカヴァーなんて入っていた1999年の「Simple Pleasure」Simple Pleasure以来ずっと続いている感じだが、今作ではより研ぎ澄まされた、すっきりした表情を見せているのが印象的である。意外に今まで見られなかったような軽やかなナンバーも際立ち、効果的に挟まれるインストナンバーも実にアルバムの雰囲気作りに一役買っている。そういやサントラも手がけていたりする彼等であるから本領発揮、的な感じではあるのだけれども。冒頭に述べたようなmixiのコミュ人数だったり、日本盤は出なかったり、更に最早我が地元ではどこにも入荷すらしておらず、とかそういう状況だったりするのだが、ここまで来たらもう一生ついて行きます宣言をしたくなる、そういう快心の一撃、であることは間違いない。