John Crow Moan

だからさ、もう「桜」のこと歌ったJ-Pop一切禁止。で、ついでに高校生たちの卒業間際の甘酸っぱい出会いとか別れとかを時代遅れな感じで描いたPVも一切禁止。

という風にスカパーのPV番組見てると思わざるを得ないこの季節である。でもこれって思えばヴァレンタインデーにチョコ、とかホワイトデーにはクッキーだのマシュマロだの、節分には全国的に恵方巻だの、時節ごとに商魂逞しい日本人であるから、春は桜に卒業式、それっ、という勢いで作っているんだろうか、と考えてしまう。

するとこれは日本人ならではの昔からの、ある意味長所を踏襲した金儲けの手法だったりするのでじゃあしょうがないのか、となってきた。デパートの地下とか特設会場がこの時期チョコレートだらけになったりするのと同じことなのか、と考え付いたら何だか凄く合点がいくのだ。要は慣れること、なのだな、と。

とか書いてると、売れ線J-Popなんて聴かねーぜ俺は洋楽とかその他気取ったのしか聴かねーぜでもPerfumeは聴くぜ最高だぜ!的なことを無自覚に書き散らしているブログみたいになってしまうのだが別にそう思われたらそう思われたで結構だったりするなあ、と図太く思い始める自分がいたりする(なんだか最近虫の居所が悪いみたいでご迷惑をおかけしております)。

とか書いていたらThe CrampsのLux Interior御大がお隠れになってしまった、とのこと・・・。お前、お前のせいだ(まだ虫の居所が悪いらしいみたいです)!しかし、享年60歳、ということはあの来日公演のムチャクチャなことやってたときは40歳くらいだったのか。自分、まだまだいけるんじゃないか、とAlan Vega御大生誕70歳という話に衝撃を受けた時以来にある意味励まされた。でも、ご冥福をお祈りいたします。

Sly Mongooseの「Mystic Daddy」を聴く。スチャダラパーロボ宙とのユニットThe Hello WorksPAYDAYも最高だった生演奏インストバンドの彼等のメジャー1作目である。私はmuleからの12インチは2枚くらい所有していてそれはそれは大好きなのだけれども、アルバムは実は初めて聴くのだった。ところでその12インチの話なのであるが、Padded Cellによるリミックスは格好良かったなあ、とか思い出す。というように結構ディスコダブ(ってなんだかよくわからないのだが)的な、4つ打ち的な音像だったのでそういう感じなのかしら、とか思っていたのだ。そうしたらこのアルバムの濃厚な世界にびっくりして興奮させられたのであった。何かこう、深ーいところで何かが蠢いているような、そういう妖しいグルーヴの渦巻くアルバムである。変拍子の曲も出てくるし、何だか地を這うような低音が強烈な曲もあるし、何だかこうP.I.L.の「Flowers Of Romance」The Flowers of Romance的な妖しさだなあ、とか思っていたら石野卓球ヴォーカルの曲ではハンマービートに乗っかる卓球氏の声がまるでJohn Lydonのように聴こえてびびったりした。かと思えば優しげなアクースティックギターの響きも清冽な曲もあったり、妖しさの中にもしっかりとヴァラエティがあって、というか最早全曲異なる表情の作品になっていて、何だかメリハリがしっかりついていて面白い。それにしてもこのグルーヴは強烈である。ヌメっとしたような妖しさなのにしっかりとこちらの身体を動かすようなツボが配してあってそれが実に巧妙なのでやられてしまうのであった。あ、そういや1曲以外全部インストだったね、とかやっと思い出させられるような勢いで飽きずに聴ける1枚。