The Feeling

健康診断、というものはあまり好きではないものの、必要だから仕方がない、と毎年毎年甘んじて受け入れている私である。

しかし、今年は過酷な、あまりに過酷な経験をしたのであった。そう、それは胃検診である。例年だとせいぜい体重測るときに緊張、というか塞ぎこんだ気持ちになったり、血圧測られてドキドキしすぎて血圧高くなったり、血液検査のために血を抜かれる瞬間に緊張したり、問診されるときに医者にディスられる(煙草やめろ、運動しろ、酒控えろ、早く寝ろ云々)程度で済むのであるが、今年からは、もう良い加減私も良い歳なので胃検診デビューを果たしたのであった。

それがまあ、バリウムを飲んで色々回転する、という奴である。別にバリウムの味自体は飲むのに辛い、というものではないがゲップをこらえるのがまず第一の難関である。そのこらえた状態のまま、なんか鉄製みたいな、生じゃないほうの八つ橋のようなものの凹んでいる方に寝て、マイク越しに指示されるように体を回転させたり、どう考えても無理だろ、というポーズを取らされたり、頭の方が下になるような勢いで傾いた状態の八つ橋の上で、これまた『ゲームセンターあらし』のようなポーズ(なんていう名前のポーズだったっけ・・)を取らされたり、というあらゆるプレイ、あらゆる体位を試さなければ気が済まない、好奇心旺盛な彼氏に言われるがままになっている女子のような気分で数分を過ごしたのであった。

で、そのような刺激的なプレイ(多分別れるのは早いと思う、何かに目覚めなければ)の後には下剤を渡され、バリウムを体内から外に出す、ということになるのだが、これがまた実に、実に漫画のようなものなのだなあ、下剤って。人生で初の下剤体験だったのだが、本当にお腹がギュル、とか言うのだね。

しかし、それから結構な時間が経った今現在、いまだに何だか腹が落ち着かず、まだバリウムが体外に出きっていないような気がする。「食事すれば早いですよ」とかアドヴァイスされたものだが、俺はな、バリウムを外に出すために飯食ってんじゃねえんだよ、という無駄な反骨精神が頭を擡げて来てしまって、嗚呼こんな胃検診受ける年齢(数え35歳以上)になってもまだまだ大人げねえなあ、とかまたしても精神的な葛藤に苛まれた1日であった。それというのも胃検診のせいだぜ。

しかしこれでまた変な結果だったりして、また検査受けたりする羽目になったらそれもアレなので、やはり日頃から健康に気を使わねばならないのか。しかしそれでも毎年毎年胃検診は受けていかなければならないものであって、早くも来年の胃検診を思うと憂鬱だったりする私であった。もし、このバリウム回転プレイに変わる検診方法を発明(胃カメラはちと怖い)した輩がいたらば、それはまさしくノーベル賞候補だと思うし、私が個人的に金一封あげたいものである、あげれるものならば。

Peter Bjorn And Johnの「Living Thing」を聴く。前作ライターズ・ブロックに収録された例の口笛ソング、「Young Folks」で一躍人気者になったスウェーデンの3人組の新作である。あ、メンバーが手がけたBonnie PinkA Perfect Sky」のリミックス(シングルのカップリング)鐘を鳴らして(通常盤)目から鱗の清冽なリミックスに仕上がってたなあ。ということでこの新作であるが、前作でも見られたような打ち込みドラムスにシンプルだけど練られたアレンジのポップソングが乗っかる、という構成で進んでいくのである。上記口笛ソングのような激烈にキャッチーなナンバーには欠けるのかも知れないけれども、Televisionの「Adventure」Adventureが、「Marquee Moon」が入っていなくても傑作であったのと同様の理由で、やはり今作も凄く良いのである。何よりもどの曲も実にメロディがポップで、ストンと落ちて欲しいところに落ちてくるわけで、気がつくと頭の中をメロディが回っているのである。意外に甘さは控えめで、でも全くギトギトしていない、という大人向けと言えば大人向けのポップソングがギュッと凝縮されていて、大変に満足のいく作品である。しかし最終曲を聴いて真っ先に思い出したのはJoy Divisionの「Closer」Closerの最終曲「Decades」だったり、という軽くビックリの展開もあって目が離せなかったりする。