Plus Forty Seven Degrees 56'37" Minus Sixteen Degrees 51'08"

新しいインフルエンザが流行っても、どこかの国の最大野党の党首が辞任しても、どこかの国の閣僚級の人が女性問題で辞めても、凄惨な殺人事件が起きても、悲惨な交通事故が起きても、結局世の中恋愛なのかな、とポータルサイトとか、国内最大のSNSとか見てると思うのだが、それってうがった見方なんだろうか。

それともそういう見方をしてしまうのは、「草食系男子」とか「肉食系女子」とか「恋愛体質」とか「彼ごはん」とか「彼のケータイ見るのは罪?」とか「あなたの恋愛運」とか、そういうものと百万光年くらい離れてしまってるんだよ、ということになるんだろうか。

つまりもう、ネット上でうわーって勢いで流される情報のある部分を占める事柄とはもう関係なくなってるんだよお前、と言われているに等しい、ということになるんだろうか。何だか、恋愛どうこうには年齢関係ない、とよく言われるものであるが、祭りから締め出されてしまったような、そういう一抹のこの寂しさは何なんだろうか。

ということは結局Fenneszの「Plus Forty Seven Degrees 56'37" Minus Sixteen Degrees 51'08"」とか聴いてろ、ってことなんだろうか。2000年の作品の再発である(ちなみに上に貼ってあるジャケ写は再発のではなく、オリジナルのもの。今回の再発のジャケも凄く良いので貼れないのが残念)。昨年のアルバムも最高だったなあ・・・、という彼であるが、この作品に於いてはまだまだここ最近の(含む坂本龍一との共演作)作品で見られるある種の洗練とは違った世界の音が奏でられている。おそらくラップトップのみで作られているのだろうが、ここで聴かれるノイズ(という言葉で良いのだろうか)は快感である。水が噴出しているようなノイズにやかんのお湯が沸いたピーというようなノイズやら、ありとあらゆる「音」が奔流となってこちら側に迫ってくる。でも、ハーシュノイズとかそういう何だかぶん殴られて犯されそうなノイズっぷりとは異なって、あくまで品の良い、どこかロマンティックな感じすら全体を通して感じられる、って結局我が家のアンプのレヴェルメーターはつい先ほどの微弱なグリッチノイズの段階を経て、さっきからレッドゾーンに飛び込んだままなのだが。何か聴いてると、優しい気分になったりもできる、そういう不思議な作品である。落ち着くのだなあ、ってさっきからずーっとレッドゾーンに飛び込んだままなのだが。