Another Universe

ちょっとドライヴ用にCDでも編集しようと思ったら、ぱっと80年代(所謂)的音の質感のコンピ、なんてのが良いんじゃないか、と閃いた。余談だが、なかなかこういう閃きがないとCDを編集するのは難しいのである、ことに最近の私の場合。

で、色々我が家のCD棚から80年代にヒットした、もしくはヒットしていなくても何となくそういう感じ(この基準は実に曖昧なのだが、The Smithsとかは入らないのである、何故か)の音の奴とぽこぽこ選んで編集していたら、何と80分ギリギリに収録されたCDRが3枚も出来上がってしまったのだった。いやこりゃ参ったな、とか思いつつ、敢えて聴いた時に新鮮で楽しいように各CDとも一旦PCに取り込んでから非常にランダムに順番を変えて、全く各曲の繋がりの意味をなくすような編集にしてから焼いたので、試しに今日車で聴いたら何だか衝撃的な曲の繋がりと、嫌いな曲1曲もないことに(いや、当たり前なんだけどね、自分で選んでるわけだから)感動したのだった。しかし日頃編集CD1枚作るのでもひいこら言ってる私がこんなにすらすらと作ってしまうってのは何なんだろう・・・。

とか思いつつ、何だか25年から20年くらい前にタイムスリップしながら通勤しつつ帰宅したら、同居人が実家から持ってきた玖保キリコの『シニカル・ヒステリー・アワー』が茶の間にどーんと積み重なっており、そうなっていたら読むわけである。単行本が6巻くらいまであって、もうド直球で80年代の初期〜中期の頃の作品ばかりなのである。今日タイムスリップしていた私としてはもう駄目だ。お洒落な女性の髪形はワンレンだし、ポスターはDip In The Poolだし、Talking Headsの「Burning Down The House」に合わせて行進してるし、歌を歌ってテープをレコード会社に送る、とかいうエピソードでは夕食のメニューでそのレコ会社を決めるという展開になっていて「とんかつだったらクレプスキュール」という衝撃的な台詞まで飛び出す始末でもう戻れない。さようなら、2000年代。そろそろ私の髪の毛も伸びてきたところだったので、襟足真っ直ぐに横とそろえてワンレンにするわ・・・。どれ、カフェバーに行くとするか・・・。

しかしGolden Silversの「True Romance」聴いて現世に戻るとするか。期待のUK新人バンドのデビューアルバムである。ギターレスのキーボードとドラムスとベース、という3人組である。何かシングル曲が異常にタイトでこみ上げるメロディのソウル〜ディスコっぽい曲でとても気に入っていたのでアルバム聴いてみたのだが、いきなりメロウなスローチューンとかでスタートしていてびびった。しかし上記のような曲もあれば、ブラスをフィーチャーしたナンバーやら、どしゃどしゃと元気良く進む曲もあれば、王道な泣きのメロディのバラードとか、とても多彩な内容で良い意味で期待を裏切られたものである。何か流行りのバンドなんだべー、とか思っていたがどの曲も練られたメロディばかりで、普通に曲で勝負できる至極真っ当なバンドなのだなあ、と印象を改めさせられた次第である。それ故若干地味に感じられる瞬間があったりもするのだけれども、逆にそういう曲でもひるまず正攻法で攻めていて、久々に伝統的なUKポップ〜ロック(もしそういうものがあるとするならば)のアルバムを聴いたのう、という気になったりした。曲によってはThe Fallとか何故か初期のSuper Furry Animalsを想起させられたりしてちょっとこれは見逃せないバンドな気がする。