Down Among The Wines And Spirits

平日の夜はもうそれはそれは目を覆わんばかりの惨状のボロ雑巾と化していることが多い私であるが、今日の夜は元気だ。

それはアンテナ不調とチューナー不調、というヘレン・ケラーに匹敵する勢いでトラブっていたスカパーが昨日復活して見れるようになったから、というのも大きいのだが、それでも帰宅してから見れる番組は今日は邦楽チャートの番組ばかりで、いやスザンヌ品川庄司のどっちかによるユニットの歌はもう良い(スザンヌは可愛いが)、とかSugar Soulの「Garden」をカヴァーしている奴はもう辛い(DJ KAORIってさあ)、とかDJ MAKIDAI青山テルマMariah Careyのカヴァーはもうやめい(何をどう見て聴いたら良いかわからん)、と本当にカラータイマーが点滅しそうな勢いの番組ばかり見ていたのだった。

これでは今夜もダウンだ・・・、と全ての終わりを確信した矢先のThe Mods特集で息を吹き返したのだった。ブレのないいつまでもぎゃんぎゃん、でも渋さも忘れない音楽とそのクリップの数々に徹底的にやられて覚醒した。ありがとう、The Mods!もうThe Clashがなくなっても生きていけそうな気がするよ!なんて青いことを言いたくもなるよ!「達っつぁん」って言ったら中村じゃないよ、森山だよ!!

と一気に沸点に達したので逆にクールダウンしたくなりElvis Costelloの「Secret, Profane & Sugarcane」を聴く。ソロ名義での新作である。レーベルもHear Musicに移籍したし、あら何が起きたのか、とか思ったのだがプロデュースはT Bone Burnettで、ナッシュヴィル録音で、ほぼ100%アクースティックのカントリー色濃い、というかほぼ一色のアルバムなのである。渋い。渋すぎるのではないか、という勢いである。そもそも昨今の彼の方向性は皆好きなのだろうか。Costelloなら全部好き、という人ならオッケーなのだろうが、そうではない人にはどうなのだろうか、とくにLost Highway移籍後の作品とかは。私はCostelloならなんでもオッケー、というファンでは残念ながら、ない。しかしカントリーは大好きなのでこの方向性は全然オッケーなのだけれども。曲の具合は変わらずで、それが実にストリップダウンされたアレンジで、今回はとくに哀愁漂う世界が展開されている。カントリーワルツ気味の曲に於ける抑制された感じなどはさすがで、普通に素晴らしい作品なのである。ボートラにはThe Velvet Undergroundのカヴァー入ってるらしいのだが、それよりも「Changing Partners」で終わるのが良いなあ、と思い輸入盤を聴いているのだが、このPatty PageとかBing Crosbyも歌った「裏テネシー・ワルツ」とでも呼べる名曲のカヴァーが兎に角素晴らしくて泣ける。相変わらずCostelloの声もぼえー、と炸裂しているしEmmylou Harrisも参加したりという話題もあったり、と聴き所は沢山あるのだが個人的にはこのカヴァーに尽きる。しかし何故こんな昔の曲俺知ってるんだろ、しかもしっかりと、と不思議に思ったがこれはおそらく幼少期に実家で聴かされ続けた結果なのであろう。げに恐ろしきは刷り込み、って奴か・・・。リンク画像は左(ジャケ写)が輸入盤、右(画像なし)がボートラ入りの日本盤です。