Boss Cat

ご無沙汰です。言いたかないけど激務でしてのう。

しかしそんな中閉店10分前のタワレコに駆け込んだり、とかそういう生活を送っておりました。そして、レコ屋に行く時に大事なのは、手持ちというよりも、寧ろ時間の余裕である、ということを痛感させられる結果になりました。時間ない中でおおおおお、という勢いで棚を見ると、これがまた大変なことに・・・。

しかしたまにネットで検索して出会ったブログなどを見ていると、その日に購入した音源だったり本だったりを淡々と記入しているブログがあって、むむう、こういうのもありなのかな、とか思ってしまう。いや、良い悪いの問題ではなくて、購入したものが淡々と羅列されているのって読んで面白いのかなあ、と素朴な疑問を持つのであった。

少なくとも私はできるだけ現実と向き合いたくない、逃避傾向の強い人間なので、そんな対峙させられるようなものを自ら残したくないから絶対にしないのだけれども、文章というよりは家計簿の晒し、みたいなものになっていると、なんか見てはいけないものを見てしまったような、そういう気になってしまうのであった。

勿論、「へーこういうの出てるんだ」とか「あ、これ俺も買ったけどやっぱ良いよなあ」とか思えるからそれはそれで楽しいのだけれども、何かこう、秘め事を覗きみてしまったかのような、そういう微妙な気まずさを見ず知らずの他人に対して抱いてしまうのであった。

まあ、Der PlanとSunn O)))とVinicius CantuariaとThe Sonicsとかをまとめて中古で購入とかやってるから、なんか公表するのがこっ恥ずかしい、というのもあるのだが。ということでここ最近の激務の中、自らの横っ面にパンチを入れるような気合いを入れるべくMarc And The Mambasの「Torment And Toreros」を聴く!まだSoft Cell時代のソロプロジェクトだったMambasの1983年リリースのセカンドアルバムである。2枚組、というえらい気合いの入りようのアルバムであるが、ヴォリュームだけじゃなくて音的にもガンガンに気合いが入っている。ギターとベースの絡み合いが印象的な比較的ロック(比較的、である)マナーなナンバー、ピアノ一本だけの切々と歌い上げるバラード、Foetus主導のガラクタオーケストラみたいなジャンクナンバー、ビゼーカルメン」を下敷きにしたツインドラムスが暴れまくるナンバー、などなど、実はSoft Cellの禁欲的な世界と真逆のベクトルのやりたいことやりつくしてます、的な世界がどかんと怪しく大爆発しているのであった。でもそれをびしっと締め、散漫な印象にさせていないのは大フィーチャーされまくっているストリングスの活躍と、勿論若き日のMarc Almondの表情豊かで伸びやかな美しいヴォーカルなのである。まあ、確かに昼日中からガンガンに聴いて盛り上がれるかというと盛り上がれない人の方が多いだろうし、今の時代取っ付きやすい音かと言えばそうとも断言できないような、そういう彼の世界観が全体をべっとりと覆っている作品である。しかし、ここに込められた熱量の半端なさを聴かずに生きているのは損だと思うのだあー。あ、失礼いたしました。まあ、でも中には眠くて疲労も抜けてないような朝にガツンと気合い入れるために爆音で車で聴く人間もいる、ということだけは覚えておいていただきたいものである。ちなみに「暗い日曜日」などとメドレーで歌われるPeter Hammillの「Vision」の切ないメロディとMarc様の熱唱はいつ聴いても胸締め付けられるものである。そしてついでに彼の最新作はカヴァーアルバムStardom Roadなのだが、そこでカヴァーしている楽曲の一節を既にこの作品で引用していたりとかして、ああ、この人はなんて不変で一貫しているのか、と感動の涙を流したりしたことは内緒である。