Jim O'Rourke

ということで奇跡的にACアダプターが何とか生きているのでこうやってまた「日々散歩」を更新しているのである。ただ、膝の上ではないものの、中で断線しているようなので微妙につながっている状態のACアダプターを全く動かすことはできず、ACアダプターが置いてある辺りは全く触れていないし、何も動かしてはいけない、というTelevisionのライヴ状態の微動だにしない状態が続いている。

さて、友人の旦那様が新しくウェブのレコード屋さんを始めたので皆様よろしくお願いいたします。

http://takechas.com

というページです。アナログ中心で何か色々ジャンル広くあるので面白そう。既に私も2枚くらい注文しようと思うものがあるので、「皆様よろしくお願いいたします」とか言っておきながらそこは被って欲しくないものである。

そういえばアナログ、ということで思い出したのだがこの間我が街のレコフェアに行ってきたのだ。で、Peter Gabriel「Sledgehammer」12インチ、Steve Winwood「Higher Love」12インチ、2枚で400円、みたいな買い物をしたりした。他にも買ったものがあるが、まあ、良いではないか。今回はその2曲の話をしたいのである。

当然ながら上記2曲とも大好きで既に凄く聴いたことがある曲である、というかよく聴く曲である。しかし両方ともまだ聴いたことのない12インチ用のリミックス、ということで実に盛り上がるものである(勿論、ネタとして、とか世の中的に、とかでなく自分内で)。ということでワクワクしながらまずはPeter Gabrielの限定リミックス(とジャケに書いてある)に針を落としたのだが、はて、このリミックス、聴いたことがある・・・。あら?気のせいかな、とか思いつつSteve Winwoodの12インチに針を落としたが、この尺の長いリミックスも細部に至るまで聴いたことがある・・・。むむ、これは気のせいではないな、と思いながら頭を捻ったら、1つ答えが出てきた。その昔、それこそ20年以上前にNHKFMで夜23時から「クロスオーバー・イレブン」というラジオ番組をやっており、私はその番組を小学生当時『FMステーション』の番組表を眺めてタイマー録音していたのであった。

その番組では12インチリミックスがガンガンにかかっており、そこで録音して聴きまくっていたのだ当時。嗚呼、なるほどそれで上記2リミックスも聴いたことがあったのだ。時期的にも86年というのは思いっきりドンピシャであるから、間違いない。しかし20年以上前の耳から入ってきたものの記憶、というのがいまだに頭の中にはしっかりと残っていて、突如甦ったりするものなのだなあ。というか多分私の頭の容量というものは大体その時期、つまり20年くらい前にほぼいっぱいになってしまって、もう新しいものはそれ以降入ってくる余地もなかったんだろうなあ。成長ないもんなあ。34歳になっても「Sledgehammer」と「Higher Love」だもんな。

しかしながらそんなもう空き容量のほぼない頭ながらもTalibam!の「Boogie In The Breeze Blocks」を聴く。我が街の某タ○ーレコードの友人店員が激推ししていて、それに負けて試聴してみたらノックアウト、みたいな出会いの1枚である。ESP-DISKからのリリース、というのがまた何だか泣けるが2009年のESPも相変わらずやってくれるものだのう、と感心した次第である。この何とも言い難いジャケの2人がドラムスやシンセ等を操り、そこにベースやらホーンやらギターやら声やらのゲストが参加してわいわいやっている。ESPからのリリースということだが、フリージャズ、というわけではない。発想的には同じようなものなのかも知れないのだが、出てくる音は突如大爆発してノイズになったり、大乱闘のスピーディなジャズ風味、というかNaked Cityを思い出したりするようなナンバー、シンセのフレーズが否が応でもSuicideを想起させてくれるようなナンバー(しかもそれが1曲だけに止まらず数曲に於いてなんだな・・・)、女性ヴォーカルが歌い上げる(でも歌詞が何だかとんでもないぞ)ナンバー、というかなり自由な感じでごちゃ混ぜにどかー、とやっている痛快なアルバムである。アメリカ(ニューヨーク?)出身でこういうごちゃ混ぜな感じ、というとGang Gang DanceとかAnimal CollectiveとかAkron / FamilyとかBlack Diceとか沢山知られている存在はいるのだが、このTalibam!は何だか牛丼特盛り食べてでその後ケーキ食べ放題、みたいな物凄いこれでもかこれでもか、という勢いが圧倒的で痛快である。でも、それでいて凄く人懐っこい音なのである。この辺りは多分狙ってもできないようなものだろうと思うから、これは多分「センスが良い」とかそういう言葉で表現できることなのだろう。ジャケのセンスもそう考えるとアリに思えてくるから実に不思議なものである。多分今年の終わりくらいには何か大変な話題になってそうな予感ビンビンの1枚である。