夕凪のとき

mthdrsfgckr2009-10-12


Rhymester忌野清志郎が共演した「雨上がりの夜空に」の35周年記念ヴァージョンを聴いた。たまたま聴いた。最後の方で清志郎が「35年なんてあっちゅうま」とかなんとかシャウトしていた。

そうだよなあ、と明日35回目の誕生日の私は頷いた。

浅川マキの「灯ともし頃」を聴いていた。76年の7枚目のアルバムである。何か一応アマゾンリンクは貼っておくがとんでもない値段になっているので黙殺して良いと思う。だったらレコードの方が良いと思う。さて、このアルバムは西荻窪のジャズ喫茶、アケタの店でレコーディングされた作品である。店の中に機材を持ち込んでのレコーディングは狭くて大変だったようだけれども、凄くリラックスしているような風情が漂っていてこのアルバム、最高だなあ、とか素朴に。つのだひろがドラムスだったり、坂本龍一がオルガンだったり、とか近藤等則が参加していたり、と豪華メンバーによる作品であるが、どの曲も抑制の効いた演奏が流石、である。オリジナルもカヴァーも収められているが、カヴァーの解釈がとくに出色でなかなかに豪快な空気もあって(とくに「それはスポットライトではない」)身体を揺らし、笑みを浮かべて聴くことまでできてしまう。しかし勿論マキさんのヴォーカルは鈍い光を放つような、暗く伸びやかな声で、それは全体をやっぱりビシっとまとめている。それはこのアルバムに限ったことではないのだけれども、この作品での何かリラックスした感じの中では特に光って聴こえるのであった。こういう風にジャズとかロックとかブルーズとかそういうジャンルにこだわらずにわっとやってしまっているような彼女の作品は、逆にジャズとかにこだわってやっている作品よりも凄く好みだし、そんな感じだからこそ彼女のヴォーカルの素晴らしさも輝いて聴こえるように思うのだが、今更若造が言ったところでどうこうなる話ではないのは百も承知である。あ、このアルバムとくに遠くで鳴っているようなドラムスの音が凄く良いのだけれども、それが全体の空気を作っているように思えるなあ。