Alma Matters

人間の体内にはタイマーがある。タイマーというか時限装置のようなものがある。間違いない。

昨日私は35歳の誕生日を迎えたわけだがまさにその昨日、仕事中に突如腰にピキッと鋭いが鈍く重たい痛みが走り非常に難儀した。別に歩けなくなったり動けなくなったり、とかそれほどの重症ではないものの、今日に至るまで何だか腰の辺りに違和感があり、ちょっとした身体の動きでいてて、となるのは絶対腰にしかけられた時限装置が35年経つと何らかの動きをみせるようにセットされていたからに違いない。

ということで手荒い洗礼を受けてアラフォー(←この言葉嫌いなんだけれども)界に突入してしまった私はMorrisseyの「Maladjusted」を聴く。元々は97年にリリースされた彼の6枚目のソロアルバムMaladjustedであるが、このたびリマスターされて曲順変更されて2曲消されて数曲追加されてジャケも変えられてリリースされたのであった。この間出た同様の変更が施された「Southpaw Grammar」Southpaw Grammarにしろ、この時期のMorrisseyはなんだか地味であった。現に97年にこのアルバムがリリースされてからずいぶん長いこと次の作品までブランクが空きまくったし。もしかしたら当人も振り返ってみてそう感じたが故の今回のような仕様変更なのだろうか。でも当時からこのアルバム、私は何だか好きであった。極端に振れがちだった彼のソロアルバムがやっとこさバランスが取れてきたような、そういう印象があったのだ。まあ、この後長い沈黙に入ってしまうのは皮肉としか言いようがなかったのだけれども。ゆったりめの曲が多く、そしてギター中心でなんかおおらかなメロディが印象的で聴きやすい。Morrisseyもヴォーカリストしての表現の幅が広がっているように思え、何だか優しい気がする。でもまあ歌詞は「社会不適応者(タイトル曲)」だの「悪魔が僕の魂を拒絶した」だの「ここはおまえの国じゃない」だの炸裂しまくりではある。2曲削られてしまったのは残念ではあるが、追加された曲も新たな曲順でもって新版「Maladjusted」を構成しており、新鮮に聴こえるし、あなるほど彼はこうしたかったのね、ということがうかがえるという意味でも入手して聴く価値のある作品である。しかしJoe Strummerがもともとプロデュースするかも知れなかった、とか、Steve Lillywhiteとはどうもウマが合わなかった、とかいろいろ書いてるセルフライナーが実は一番のポイントになっているのかも知れない。歴史に「もしも」はないのだけれどもJoe StrummerプロデュースのMorrissey、あまりすごいことには音的にならなかったかもしれないけれども聴いてみたかった気がする。