T.V.O.D

久々にドープな二日酔いで何か昼間を棒に振ったようだ。

しかし二日酔いだと「調子悪いなー」ということが全てを支配するので、他に余計なことを考える余地がなくなる。だから皮肉なことに結構平穏に過ごせてしまうわけで、万事塞翁が馬というか禍福はあざなえる縄のごとしというか。

とか余計なことを考えてこう書いている今はつまり、二日酔いの窮地から脱した、ということである。これから忘年会シーズンたけなわ(←紋切り型の表現)、気をつけたいものである。

ということで年末になってくると私の場合無性にボックスセットを聴きたくなるのだが、何故だろうか。わたしだけ?何かをまとめたい気持ちが働くのだろうか。ということで「Mute Audio Documents 1978-1984」を聴く。これ2007年リリースだから全然2009年をまとめるどころの騒ぎでもないのだけれども。さて、これはそのタイトルどおり78年から84年までのMuteレーベルからリリースされたシングルのAB面を全て(だと思う)収録したCD8枚とレアトラック集2枚の計10枚、という超弩級の箱である。しかしFactoryであれ、CreationであれこういうUKインディレーベルのコンピ、というものはえてしてよくわからないアーティストが入っているものである。出自の知れない、というか。ところがこのMuteはワンオフ契約が少ないのかどうなのか、よくはわからないのだけれども、わけわからんアーティストのリリースがない。音自体はわけわからんのがあったりするが・・・。そして基本エレクトリックである。最初の方で所謂ギターなどの楽器の音が聴こえるのは初期DAFとかThe Birthday Party最後のシングルくらいだったりするわけで、なんだか徹底しているのう、と頼もしくなる。Depeche ModeとかYazooとか出てくるとMuteってこういうイメージだよなあ、とか思ったりするがこのコンピの影の主役は極初期からずっとコンスタントにリリースしている、そして執拗に収録されているNONというかBoyd Riceと、Fad GadgetというかFrank Toveyだったりする。延々ループとかコラージュとかを嫌になるくらいリリースしているNONさんと、結構ポップなのにそのポップさ故にどうも地味な故Fadさんを味わうためにも実はこの箱は有意義だったりする。大体NONの回転数も関係なく、そしてセンターホールが2個空いているが故にぐにょぐにょにしてもかけられる7インチの音源をエディット収録とかしている愛情溢れる箱なのだから(初CD化らしいが、そりゃあのアナログならではのものだから当然と言えば当然なのだけれど)。個人的には1枚ずつしかMuteからはリリースされていないもののしっかり収録されているDie Doraus Und Die MarinasとかLiaisons Dangereusesなどのドイツ勢が不意に出てきて燃えたり、DAFのRobert Gohlのソロシングルが実は名曲なのを再発見したりして楽しんでいるのだった。ただ車で聴いているとNONが延々流れてきたりして結構どうしようか、という気になったりするが、それも含めて必携の箱。