I Remember That

なんか昨夜は突如衝動に駆られて『この子の七つのお祝いに』とか『悪霊島』とか『八つ墓村』とか『湯殿山麓呪い村』とか、往年のエグい日本映画の予告編を立て続けにyoutubeで見て興奮していた。大丈夫か俺。別にこの思いを共有したいとかそういうのはないのであえてyoutube動画は貼らないでおくのだが。

どっちかと言うと私はPrefab Sproutの「38 Carat Collection」の素晴らしさを共有したい。この2枚組CDは、それこそ上記八つ墓村みたいな殺戮を起こしかねない私の朝の荒んだ気分を見事に鎮めてくれるような、音楽の素晴らしさというものを感じる瞬間がめいっぱい詰まった素晴らしいベスト盤である、ってそういう観点からでは説得力なさすぎなのだが・・・。デビューアルバム前の「Lions In My Own Garden」からリリース当時(99年)までの選りすぐられた名曲38曲がこれでもか、と収められているから一瞬たりとてダレる瞬間はない。ファースト「Swoon」スウーン(紙ジャケット仕様)の何だか複雑なコード進行とやたら力の入りまくったPaddyのヴォーカルも何だか若々しい楽曲群から、もはや良い意味で熟練の道をたどり始めた以降のアルバムからの、バンドの体裁は残っていながらもどんどんゴージャスになっていく、それと同時に曲も物凄くソフィスティケイテッドされて行く過程をたどって、そして「Andromeda Heights」アンドロメダ・ハイツ(紙ジャケット仕様)からのロマンチックにも程がある楽曲に帰着する、という彼らの80年代と90年代を総括する意味ではこれ以上ない編集盤である。私はバンドとしてまだPrefab Sproutが機能していた頃の、バンドサウンドとそれに拮抗するかの如きアレンジのせめぎあいがたまらなく好きなので、ちょっと「Andromeda Heights」はトゥー・マッチかなあ、とかたまに思ったりもするのだが、それでもこんなに美しいメロディの楽曲ばかりなのだからまあ関係ないか、となってしまうのである、このコンピを聴くたび毎回。勿論このコンピ以降の2枚Gunman & Other StoriesLet's Change the World With Musicも素晴らしすぎるのだけれども、やはりPrefab Sproutの音、と言えばこの時期なのだろうか。そういう意味でもこのコンピがあれば手っ取り早く概要が掴めるのでお得と言えばお得。シングル以外の名曲群も入っているし。でも出来ればオリジナルアルバム全部聴いた方がもっともっと満足度は高いのは言うまでもない。このコンピ聴くとアルバム全タイトル聴きたくなるので、そういう意味でめんどくさい道への入り口でもあるのだった。