Lobo Bobo

思えば私のドラムス演奏は、おそらく公の場、というか職場関係とか酔っ払いイヴェント余興以外ではもしかしたらyumbo澁谷さんとのデュオ以来かも。あれは3年前か・・・。

「絶/世」2010/3/27(sat) at 第二公園スタジオ(山形)open17:45/start18:00/close20:00 adv/door¥500

[LIVE]camp、アベシュンスケ、濱田多聞(a.k.a The 浜田山!) with tdsgk

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今回もデュオですがよろしくお願いいたします!考えてみるとデュオ編成でドラムス、という機会が意外に多い私でありました。そしてありがたいことに仙台から見に来てくださる方も結構いらっしゃるようで嬉しい限りです。皆様お気をつけて!

さて実は明日から水曜日あたりまでまたしてもマザファカな用件で留守にしますが、用件等はメールでも電話でも大丈夫だと思いますのでよろしくお願いいたします。で、私はこのマザファカな用件が本当に嫌なのでめんどくせーな行きたくねーな、とか後ろ向きな気持ちでいたのだった。

しかし昨夜のMika Vainio、NHK、Rashad Beckerのイヴェントで何だか凄く清清しい気持ちになり、不思議と前向きになれたのでまあ何とか乗り切ってやろうじゃねえか、という気持ちになった。それほどまでに素晴らしいライヴだったのだ。ベーチャンのマスタリングとかやってたのかあ、としみじみ思わせられるRashad Beckerのライヴはビル全体が揺れてんじゃないか、というほどのド低音で、且つランダムにノイズっぽい音が出入りしているだけかと思いきやレゲーなバックビート的な刻みが感じられたし、NHKはどしゃーとかずしゃーとかいう音が次第にぶっといビートを刻み始め、あれはヒップホップだったんじゃないか、とか思わせられ、タトゥーばりばりの強面Mika Vainioは静と動、若しくは「耳に痛い」と「耳に優しい」の対比がしっかりとしていて、ノイズと言えばノイズのような音の羅列だったのだが一つ一つの音がしっかりとそのライヴセット全体の中での位置に意味があり、実は構成美の極地みたいなもんなんじゃないか、とか感じ入った。

東京からやってきたPakchee氏も構成、という点でも音の出入りの具合にしても面白かったし、直前にPCがクラッシュしてライヴできなかった wk(es) 氏のも聴きたかったものである。在仙Zero Charisma氏はビート強めのBPM速めで飛ばしていて日付変わるころから何だかヒートアップしたのであった。

DJはAbeくんのインダストリアル魂に乾杯、と言わざるをえない爆音セットに感動した、というかFoetusとかSPKとか爆音で久々に聴けて嬉しかった(我が家では結構よくあるシチュエーションなのだが・・・)。私は何故だか数日前から漠然とノイズととか電子音とフォークブルーズの組み合わせ、というアイディアが頭から離れなかったので(それは多分Ekkehard EhlersA Life Without FearとかRecoilBloodlineとかの刷り込みがあったからなのかも、と今になって思う)MBにBlind Willie Johnsonを乗っけたり、はたまたAnthony MooreにZNRを乗っけたり、XenakisにDiamanda Galas乗っけたり、とかしていたけれどどうだったのかなあ、とか半信半疑であった。

しかしNHKのお二方から私のDJセットを出演者全員が面白がっていた(!)という話を聞き、何だか恐れ多いような申し訳ないような気持ちでいっぱいである。やった甲斐がありました・・・。

集客的にはアレだったので、そこら辺は主催のデラくんには何故かこの街を肩代わりして申し訳ない気持ちだったりするのだが、私という人間はあの洪水のような音の一夜で結構ポジティヴなヴァイブ(使ってみたかっただけである)を得られたので感謝してもしきれない。良い機会を与えてくれて本当にありがとう。

という感じでノイズ(非常に大まかに言えば)で元気になった私はJoao Gilbertoの「Checa De Saudade」を聴いていた。1958年のデビューアルバムである。ボサノヴァの誕生、という感じの作品であるが、あまりボサノヴァに詳しくない私は多くを語れるわけがない。でも、Antonio Carlos JobimとかVinicius de Moraes等も参加したこの瑞々しい音楽は何だかその爽やかな佇まいでもってこちらを捉えて放さない。私はJoao Gilbertoと言えば「彼女はカリオカ」彼女はカリオカとか「三月の水」三月の水とかその手の何だか熱量が多すぎてそれが一回りして異常に涼しげになってしまったような、おっかないくらいの静けさが感じられるアルバムが大好きなのであるが、ここでの軽やかな感じは逆に私のような門外漢には新鮮で凄く楽しんでいるのであった。ささやくようなヴォーカルもここではまだ普通に静かで穏やかな声(それ自体が革新的であったことは重々承知であるが)、的な趣であるし、どこか気楽さ、ユーモラスさも感じられるので聴いていて微笑ましい。全体としてとてもスムーズであるし、関連作やEP等からのボーナストラックを加えてもその流れが崩れてはいないので実にお得な再発だと思う。しかしこういうアップテンポのサンバ風のリズムに乗っかった彼の声も良いもんだなあ、としみじみ普通の感想を。まあ、多分昨夜の音の奔流みたいなものと無意識のうちにバランスを取ろうとこのCDを私は棚から取り出したのかも知れないが、そういう状況は抜きにしてもこの軽やかで風通しの良い感じはある意味麻薬的なものである。

そしてこの作品がCherry Red傘下Elからのリリースってのがまた泣ける。今やCherry Redは再発のレーベルになってしまっているのだがそれぞれのサブレーベル毎にジャンル的な住み分けが出来ていて、しかもどれもこれも結構面白い再発ばかりなので、やはり間違いないのだなあ、と確信した次第である。