Best Friend

あっという間に7月になっていた。先週末まで怒涛の激務だったのでなんだか振り返る余裕もなかったが、もう1年も半分が過ぎたのだなあ。

まあ別にあっという間に時が流れる、というのは今に始まったことではなくもう何年もあっという間に過ぎ去っているような感覚だ。その速度は毎年毎年速くなっているように感じるのだけれども、その積み重ねた月日というのは確かにあるようで、我が家に毎月送られてくる雑誌『WIRE』もどんどん積み重なっていく。これは由々しき事態である。

なんか大抵の音楽雑誌は古くなれば、もう良いかなーとか言って適当に売りとばしたりしてきたのだが、この『WIRE』、後々読み返してみると、あ、これ載ってたんだ、とか言ってもう一回読んでみたり、ということが凄く多くてちょっと捨てられないのだ古くなっても。別に、資料性が高いからさ、とか偉そうなことを言う気はさらさらないのだけれども気づくと6年分くらいの『WIRE』が部屋の中に積み重なっていたりするのである。

この山がなければもうちょい我が部屋もすっきりするのだろうけれども、これがなかなか・・・。もしかしたらこの蒸し暑さが続いたりしたら、なんかすっきりしたくなって何年分かまとめて処分したくなったりする勢いになるのかも知れないが、それでもその作業の途中にSunn O)))インタヴューとか発見したり、衝撃のカヴァー曲特集とか目に入っちゃって絶対作業が中座するんだ、そして結局捨てられない、とか言って戻してしまうんだ、目に見える。あー。捨てられる人になりたいものである。

とか言いながら多分そういう人になれるチャンスは今まであったけど、意識的に黙殺してきたような感じでもあるからあまり説得力がなかったりする。それでも部屋の整理はしたい、しかし捨てたくない、という永遠の無間問答ループに陥ってしまう熱帯夜一歩手前の深夜。The Drumsでも聴くかのう。全然、積極的に新しい音楽を聴かなきゃ、という姿勢でもないのだけれどもついつい手にとってしまったのだった。なんか話題になっていたのは知っていた(というかこのシンプルすぎるバンド名はなかなか忘れられないし)が、アルバムが出てから聴いてみようと思ったのだった。ベースがいなくて何だか軽い音だなあ、と最初聴いた時は思ったのだった。大体バンド名がこんななのにドラム、打ちこみだよなあ、多分、とか色々ちょっと違和感があったのだ。しかしその後、ベッドルームで録音した、とかお金がなくてベースが調達できなかった、とか知るにつれなんとなく納得し始め、そして逆に軽い音故にさらっと聴ける、ということに気づいたら何だかふっとこちらに寄り添ってくるような、そういう感覚に囚われ始めたのだった。まあ、別に周辺情報だけで音楽を聴いた気になったり、些細な周辺情報だけで鬼の首とったみたいにわあわあ言って有頂天になっている人間は本当に死んだ方が良いと思うのだけれども、今回は自分でも最初は何だか変に先入観とかあったんだなあ、と反省したのだった。曲は60年代ポップスばりのキャッチーなフックを持った曲ばかりだし、何より爽やかである。でも歌詞を見てみると、ちょっと上手くいってない感じだったり、悲しかったり、となかなかに切ない気持ちにさせられたりして、そう考えると確かに曲中の爽やかな中にもちょっとダークな表情を見せる瞬間があったりすることに気づかされ、とか聴くたびに新しい発見があって楽しい。次のアルバムがどうなるのか、とか気が早いけれどもまた違う感じになっているのかな、とかそういう楽しみも感じさせてくれる、デビューアルバムとしては実にこの上ない1枚なのだった。