Debaser

えっ、Palais Schaumburg再結成!?

ご無沙汰している間にどんどん月日は流れて気がつくと師走のど真ん中に放り出されていた。今年も師どもはばたばた走りまわって不健康自慢、というか自己管理能力の欠如開陳大会になっているからそんなに自慢したいならそのまま突っ走ればいいのにそうもしないし、何より仕事もできないのに忙しいふりだけは一著前の連中ばかりだからこいつら一体なんなんだ、と日々思いながら過ごしてるのだが、まあそんなことよりもPalais Schaumburg再結成とか今年の流行語大賞のしょうもなさとかブクオフの500円コーナーとか250円コーナーの方が気になって仕方がない。

しかし流行語大賞ってなんで毎年毎年ああいう感じなのだろうか。なんか毎年毎年、流行というよりも、ねえ、という気がするのだが。そうそうこういう言葉あったよね、と少なくともあったかい気持ちになるような言葉だけにすれば良いのにな。どじょう内閣とか聞いて誰が喜ぶのか。風評被害とか聞いて誰が今年を振り返りたいと思うのだろうか。それだけ世相を反映していると言えばそうなのかも知れないのだけれども。

あともう最近「絆」とか「頑張れ」とか聞きたくない気がするのだけれども、それは風化させたいとかそういう問題ではなくてなんかどんどん安っぽくなってきているからちょっと封印してほしいものだな。個人レヴェルでは良いと思うのだけれども、何か大々的に言われるとどんどん不信感しかわかなくなってきてしまうのは、それは私が病んでいるのか。

でも一番嫌なのは「音楽の力で〜」という言葉だな、と思い当たった。これこそ個人レヴェルの話だから、ドヤ顔で大々的に、わかってますよ、的な勢いで言うのは本当に嫌だなあ。

2011年もこんな感じで不機嫌な感じはいつも通りだったかもな。それというのもPixiesの「Doolittle」のCDに思いっきり傷がついて3曲程通常再生不可能になったりしていたからだ。震災の爪痕。だからすぐさま注文して聴いていた。そうか、これリマスターで再発されていたのだね。我が家の、今回レーベル面から抉るような傷が貫通してしまったCDは89年のリリースのものだから、そりゃそうだよな、としみじみした。最初に聴いたPixiesのアルバムはこれだった。88年に「Surfer Rosa」Surfer Rosaが大層評判だったのだけれども果たしてどういう感じのバンドなのかインターネット以前の時代にはイマイチわからず、清水の舞台から飛び降りるつもりで89年に新譜でこれを買って聴いたのだった、こちらは最早大好きだったので安心して買えたThe Cureの3インチCDシングル「Lullaby」と一緒に。最初は全然このバンドがどういうバンドなのかを掴めなかったものだ。かっこいいのだけれども意外に実はヴァラエティに富んでいるし、あっちゅう間に曲は過ぎて行くしで。でもそういえば当時好きだったThat Petrol EmotionEnd of the Millenium Psychosisとかも何が何だかわからないぐらいヴァラエティ豊かだったし、当時狂ったように聴いてたMy Bloody Valentineの「Isn't Anything」Isn't Anythingもいまいちバンドの全体像を掴めないようなアルバムだったし、こういう風に「なんだろ・・・?」というところがあった方が当時中学生だった自分には知らず知らずのうちにツボっていたのだろう。結局その後全部アルバムを解散まで追いかけながら聴いて行くにつれて、あ、こういうなんか爆発的なわけわからなさがこのバンドの良いところなんだな、と気づくまでそう時間はかからなかった。でもそれにしてもやはりこのアルバムの腹に一物隠していそうな感じなのに、あくまでメロディにはフックありまくりでギターフレーズはアイディア一杯でヴォーカルの素っ頓狂な具合は八方破れで、という弾丸のような音楽は彼らの作品の中でもベストだと思う(世間的に評価がイマイチな「Bossanova」Bossanovaも大好きなのだけれども)。加えて音の鳴りが凄く良い。今回買い直して聴いているのがリマスター盤ということもあるのかも知れないけれども各楽器の分離が凄くよくて、とくにベースとドラムスの音が気持ち良い。でも当時はこのアルバムがその後もよく言及されるような名盤、という扱いになるとは想像もつかなかったけれども・・・。そしてそれから22年経った2011年にまたこうやって自分が熱に浮かされたように聴いているとは・・・。