I Can't Make Love To You Anymore

もう良い加減ヴァレンタインだなんだ、という年齢とかでもなくなったのだけれども、しかし世の中盛り上がっているのである。そりゃあ私だって、昔はそりゃあときめいたりもしたものですよ。さして大したこともなかったわけではあるが・・・。

ところでこの間テレビだったかラジオだったかで、「今年は絆ヴァレンタインと言うことで義理チョコの数が例年よりも多くなっているようで・・・」とかいうフレーズを聞いたのであった。

いやいや、これを言ってる人狂ってんじゃないか、と思ったりしたのだが皆違和感ないのだろうか。まず絆ヴァレンタイン、って。何ですかそれは。

そしてそれ以上に問題なのは、「絆」なのに「義理チョコ」である。結局今の「絆」、とかいう盛り上がりはせいぜいその義理程度のものなのだろうか。

そういうものなのだろう。しかし今こそReal Loveじゃないのか、とか言ってみたところでそのReal LoveというフレーズからThe Beatlesのアレではなく、Swansのライヴ盤のタイトルを真っ先に想起してしまう私が実は最もダメなんじゃないのか、と思ったりもする。

まあ、色々グダグダ言ってみたが、チョコレートは好きです。待ってます。気持ちのこもったチョコレートはもっと好きです。熱く待ってます。

さりげなくアピールをしてみたが、何だか空しくなってきたのでFeltの「Me And A Monkey On The Moon」を聴く。何だかんだ言って2ヵ月に1回くらいはFeltブームというのが来るのが人間なのだと私は信じて疑わないのだけれども、再結成とかって本当なんですか。まあ、あまり期待はせずにおりますが。80年代に10枚のシングルと10枚のアルバムをリリースして解散した彼らの、elレーベルから89年に出た最終作である。Cherry Red時代の華やかさとは無縁の、Maurice Deebankのギターをこれでもかとフィーチャーした音づくり、そしてCreationに移籍してのMartin Duffyのオルガンをこれでもかとフィーチャーしてキラキラとしていた音づくり、どちらも素晴らしかったなあ。加えて、Creation時代には2枚、それぞれ趣きの違うインストアルバムも出ていたし、88年にCreationからリリースされたシングル「Space Blues」では鍵盤とヴィオラとヴォーカルのみ、という相当変な音づくりだったしで、結構10年間の活動の間で音楽的には色々やっていた。しかしそれでもこのアルバムに於けるスティールギターをフィーチャーし、どこか牧歌的で大らかになっていた音づくりにはビックリさせられたものである。それだけにこれ以降の展開が聴きたかったものだけれども・・・。そういった音づくり、とラストアルバムということもあってか、何故か大層センチメンタルにならざるを得ない曲のオンパレードで、Lawrenceの呟きヴォーカルもどことなくエモーショナルに聴こえなくもない。ただ、メロディアスながらもやはりどこか冷めた感じ、というのは健在で本当にどこまでも格好良いバンドだなあ、と今更ながらまた盛り上がる。当時Primal ScreamのメンバーだったRobert Youngとか元The Weather ProphetsのPete Astorとか「Space Blues」に引き続き参加してる元Strawberry SwitchbladeのRose McDowallとかが参加し、プロデュースはThe Soundのメンバーの故Adrian Borland、とかなりの(当時基準の)豪華具合でたまらない。