T For Texas

あけましておめでとうございます。今年も「日々の散歩の折りに」をどうぞよろしくお願いいたします。

ということで2013年を振り返って良かったアルバムをとりあえず20枚。

Veronica Falls / Waiting For Something To HappenWaiting for Something to Happen
良い曲をジャストな演奏でジャストに録音、なセカンドアルバム。インディポップ、とかそういう言葉も全く関係なくしっかりとギター中心女声バンドのあるべき形の最高峰。
Crime And The City Solution / Amerian TwilightAmerican Twilight
まさかの大復活、21年ぶりのアルバム。アメリカ録音と言うことでスケールも大きく、Nick Cave関係者の中でも一番往年のハードボイルドな魅力に溢れた音で興奮。
Haim / Days Are GoneDays Are Gone: Deluxe Edition
3姉妹バンドのデビュー作。2010年代のメジャーなポップスの理想形なのでは。甘いメロディとバンド演奏主体ながら打ちこみとかも嫌味なく取り入れていて安心できる1枚。
Cut Copy / Free Your MindFree Your Mind
甘ったるいメロディと艶っぽいヴォーカルにダンスビート、はそのままに90年代初頭のセカンドサマーオブラヴみたいな快楽的な音に思いっきり舵を切った衝撃作。
Nick Cave And The Bad Seeds / Push The Sky AwayPush the Sky Away
毎回今までのアルバムと似てない音を出してくる、という点では多分彼は今唯一無二。今までで一番穏やかだけれど甘くない。
Tim Hecker / VirginsVirgins
アンビエント〜ドローン、という言葉がぴったり当てはまるけれども、重苦しさとかから解き放たれて美しい音の残像のみを残すアルバム。
Oneohtrix Point Never / R Plus SevenR Plus Seven [輸入盤CD / 豪華デジパック仕様] (WARPCD240)
上のTimとの共演盤を経て2人とも今までの路線の決定打みたいなアルバムを出してきた2013年。何ら安定した要素がないのにこれまた美しい優しい音の残像しかないアルバム。
Superchunk / I Hate MusicI Hate Music
もうこういうジャキジャキと、凛としたギターが鳴っていて、それでいて良い感じのスケール感、というのは貴重な存在だと思うのだよ。
Wolf Eyes / No Answer: Lower FloorNo Answer: Lower Floor
何か全体的にCabaret Voltaireの初期みたいなローファイだけど変なノイズとかを飛ばすことに血道を上げるような気合いを感じて感動。
Lloyd Cole / StandardsStandards
久々のエレクトリックギター炸裂のロックンロールLloyd Coleの帰還で嬉しい。唄心が全てを支配する音楽の復権
Billy Bragg / Tooth & NailTooth & Nail
どんどん渋い感じになりつつあるけれども、Joe Henryのプロデュースがばっちりはまって肩肘張らない境地にたどり着いたのかな。
Tropic Of Cancer / Restless IdyllsRestless Idylls
暗くダルい女声の歌が、果たしてどうしたいのか、というほど空間残しまくりの音に漂う、でも変な甘さに囚われるアルバム。
Primal Scream / More LightMore Light
結局好きなことやっているだけなのだろうけれども、遂に出来上がった、キャリア初の胡散臭くないけどストレートに恰好良いモダンでクラシカルなロックンロールアルバム。
The Pastels / Slow SummitsSlow Summits
久々のアルバムはキャリア初の温もりに溢れた明るい穏やかなアルバムで、ここまでの歩みを考えると意外な感じなのがまた良かった。
Vatican Shadow / Remember Your Black DayRemember Your Black Day
ミニマル4つ打ち路線に思い切ったのが清々しい。それでいて全体の不穏感は過去最高、という。
The National / Trouble Will Find MeTrouble Will Find Me
変拍子と大きいスケールのアメリカンロックと閉塞的なミニマル感とメロディアスなウタモノ、という矛盾が全て一つにまとまったアルバム。
Iceage / You're NothingYou're Nothing
ファーストよりも何をどうして良いかわからない感が加速して更にケイオティックになった圧倒の1枚。
Rhye / WomanWoman
滑らか過ぎて怖いけれども、それでいてハッとさせるようなフレーズが随所に埋め込まれていて飽きない1枚。
細野晴臣 / Heavenly MusicHeavenly Music
音の質感も含めて、気持ちの良い、楽しい、そして、勿論それだけでは終わらない怖さも、時代がわからなくなるトリップ感も全てある天上の音楽。
Blood Orange / Cupid DeluxeCupid Deluxe
インディR&Bとか評される音楽も沢山聴いたけれども、凄く滑らかな高級感とUKロックの湿っぽさが切ないメロディでまとめ上げられた1枚。Mansunのカヴァーとか、ねえ・・・。

多分あと20枚くらい良かったアルバムあるけれども無限に続いてしまうので、ここら辺で一区切り。思いだしたらまた記すと思います。

結局毎年、何らかの形で脳天を揺さぶる音楽には新旧問わず出会えているのでそれはとても幸せなことだと思う。でもまだまだ出会いたい、と思ってネットでリリースをチェックしたり、毎週タワーレコードに足を運んだりしてしまうのであった。リスニング時間の確保が難しくなりつつある昨今であるが、今年も死守して色々聴きたいし、色々語りたいなあ。

今日は昨日も貼ったけれどもTownes Van Zandtの「Sunshine Boy」を聴く。CDで出てるの認識していればよかった・・・。アナログ3枚組6500円ってやられたよね・・・。でも内容は全然それくらい出しても惜しくない充実の内容である。カントリーのりの不遇な(まあ、身から出た錆的部分がかなりあるけれども)シンガーソングライターの1971、2年の未発表のレアトラック集である。しかしこの時期は物凄い充実していた時期でもあるので、これ普通にアルバムとして出ていても名作だっただろうに、という作品である。彼の伸びやかな美声は楽しいのか悲しいのかわからない感じで、それこそカントリーミュージック、という気が私なぞはしているので、ある意味理想的な歌い手なのだけれども、ここでも泣ける美しいメロディに時に絶望的な歌詞が乗っかっていても決して沈み込むだけにはなっていない。Bo Diddleyのカヴァーとか、Primal Screamがカヴァーした「To Live Is To Fly」など、今まで聴いたことのないヴァージョンで入っているが故にマニア向けと言えばそうであるが、同時にこの時期のベスト盤的なたたずまいもある、という不思議なコンピである。しかし1曲「Pancho & Lefty」のストリングスとホーンの入っていないヴァージョンは私の友人である「歩くハイウェイ61」の所有している「The Late Great Townes Van ZandtLate Great Townes Van ZandtのCDには入っていて、果たして何故そのレアトラックが彼の所有しているエディションのCDに紛れ込んだのかは不思議である、とか話しているとかなりマニアのような話になってしまうのだが。それは抜きにしてもアルバム全部持っていても更に興奮できる新たな魅力発見のコンピである。