In Lightning

AOBA NU NOISEのTシャツです!

aobanun

 

4月14日(金)

仕事を終え、松の屋でロースかつ定食を食べてから、20時からのcsgbへ。尋常じゃない数の消防車や救急車が定禅寺通りに並んでいる異様な光景に慄くが(ボヤだったのかな)、車で到着。坂本龍一関連多めでDJを2セット行う。白眉は「We Love You」のDNAリミックスからJBC(Jazz Butcherの変名)の「We Love You」に行って、そこから「戦場のメリークリスマス」のグラウンドビート教授セルフリミックス、という感じだったのだが、なんかBPM合わせたはずなのに微妙にずれたり、という野性の衰えを感じる瞬間が多々あったので鍛えなおさなければ、と思うのだった。

 

毎回最近はお客さんの数も少なめで、秘密結社的様相を呈しているのだが、まあ世の中色々な音楽があって、好みとか、また予定とかは人それぞれ、なのであまり気にならなくなってきた。とくに音楽の好みは人それぞれ、なので爆音で流れる坂本龍一「Sweet Revenge」からの楽曲とかVirginia Astleyとかに興味がある人ない人、それぞれいるわけである。

 

tmymくんの90年代前半ロック祭のような最高に大変な展開の中、翌朝のことも考えて12時くらいに辞し、帰路に就く。1時半くらいに就寝。

 

4月15日(土)

6時20分くらいに目覚め、朝食。7時40分くらいに出発し、yumboの皆木くんやあゆ子さんをピックアップして澁谷邸へ。澁谷邸で最終的に楽器その他を積み込み、総勢5人で東京に向けて出発する。

 

天気が東京に近づくにつれどんどん悪くなっていくのだが、車内はわいわいとしながら休憩を挟みつつスムーズに進み、首都高に入るところでの事故か何か由来のエグい渋滞をGoogleのナビのおかげで華麗に回避し、13時半くらいに試聴室に到着。前回3月の時は、渋谷のど真ん中のWWWだったので車で会場に横づけするのも物凄い難儀したのだが、試聴室は休日のオフィス街、故に穏やかに会場に余裕で横づけ、荷物を降ろしてから安い駐車場を近辺で探しながら回遊し、ラッキーなことに最大料金がまあまあ穏やかな駐車場が1台空いている場所を見つけて駐車。その後yumboメンバーと中華料理を食べてから、14時半頃、私は1人神田のホテルにチェックインしに向かったのだった。

 

向かったのだが、雨がとんでもなくエグく、またチェックインの時間が16時から、という衝撃の事実が水道橋駅で発覚したので、急遽予定変更して御茶ノ水ディスクユニオンで(しょうがないので、と言い訳しながら)時間を潰すことにする。水道橋駅付近ではback numberのバッグを持った人を見かけ、ほほう、そんなグッズが、と思いながら御茶ノ水へ。お客さんは沢山いて、皆何かを探しているのかいないのか、よくわからないが熱心に見ている。私も、なんかパッとしたのがないな、と思いながらも中古でCrime & The City Solutionの10インチと12インチ、また、どこかのウェブショップで見て結構欲しいな、と思っていたJFKのL.I.E.S.からリリースされた、まあ値は張るけれども3枚組だからしょうがない編集盤を新品で発見してしまったので、これは運命、と購入。

 

その後エグい雨の中神田駅まで移動し、それでもまだ時間があったので神田駅のスターバックスで本気で時間を潰しにかかる。カフェ・アメリカーノは名前が良いので(加藤和彦「ルムバ・アメリカン」のせいでそう思うのだ、多分)よくアイスで頼みがちだったのだが、この日の東京はガチで寒かったのでホットで注文する。こういうものなのだろうけれども、あまりのよく言えばあっさりとした、ぶっちゃけお湯みたいなコーヒーに本気で驚愕したので二度とホットは頼まない。

 

無事に16時の5分くらい前にホテルにチェックインでき、色々整理して、濡れたジャケットやら何やらを乾かす。乾かすがまた16時半くらいに出発し、水道橋駅まで電車で行って試聴室に向かった。道中、back numberの様々なTシャツやらパーカーやら様々なバッグを持った人々を見かけ、おや、と思ったら東京ドーム2デイズ公演の初日だったようである。

 

試聴室前には寒い雨の中お客様が既に大勢並んでおり、そうだソールドアウトだ、と再認識する。なので小さな試聴室内でスタッフ的な私の居場所を確保するのになかなか難儀するが、まず一番手のyumboのライヴを立って観て、ライヴ続きだったせいもあってしっかりとしたグルーヴのある演奏に不思議と身体が動く体験をする。バシッと最後まで「決まった」という表現はもしかしたらyumboには似つかわしくないのかも知れないけれども、この日はそういう演奏な感じがしたのであった。

 

その後もう良いだろう、とビールを飲みながら天井桟敷的ソファ席に座り、高いところからコルネッツのライヴを観るが、歌詞の素朴な言葉とメロディのシンプルな美しさが、華麗なテクニックと驚くようなアレンジで演奏され、またそんな凄みすら感じる音なのにも関わらず楽しすぎるMC、という全てが謎で本当に自分は今何を観ているのか、と呆然とした。が、トータルで胸を締め付けられるような美しさがあって、本当に驚愕した。驚愕したので、実はあの日以来ずっとコルネッツのことを考えている。

 

ライヴも21時前には終わり、小降りの雨の中何往復かして車に機材などを積み入れ、私は7インチの入ったリュックを背負ってyumboの皆さんとは別れて、back numberTシャツ渦巻く駅から中野駅へ、back numberバッグやパーカーやらTシャツだらけの総武線で移動。ちょっと時間的にWaikiki Championsのライヴには間に合わないかなあ、と思いながらも中野駅で降りててくてくとMoonstepまで歩く。結構な距離、しかも微妙に駅からの坂道で挫けそうになるが、頑張ってMoonstepに到着。

 

到着したら、タイムテーブルが相当押していて、まだWaikiki Championsがセッティングしていたので、通常だったら萎える事態にも関わらず、何たる幸運、とホッとする。久々にライヴハウスで観るWaikiki Championsは良い意味で出音に塊感があって、クラブとかで観るときとはまた違った魅力がある。そして多分初めて観るお客さんにはかなり衝撃なんじゃないかなー、とか思っていたら外国人の方を筆頭にフロアが結構大変なことになっていたので、自分が演奏しているわけでもないのに、ほらね、と思う気持ちになる。

 

その後2階のフロアでのんびりニューウェイヴの7インチをかけながらビールを飲んでおしゃべりなどをしつつ、12時10分くらいに翌日のことを考えて主催のIan Martinさんにご挨拶してMoonstepを辞す。今回はIanさんと沢山お話しできてとても楽しかったな、と思いながら中野駅に向かいながら乗換案内を見てみたら、電車がない。朝4時までない。東京の電車ってもっと遅くまで走ってる、というイメージがあったのだが、神田までの終電を逃してしまった。どうした東京の電車、とかどっかの誰かのフレーズが頭をよぎるが、あまりの空腹もあったのでもう腹を括って中野駅近くのなか卯で親子丼を食べる。もう頭に来たので小うどんとサラダのセットにしてわしわし食べて、タクシーで神田まで。

 

車内のメーターの上がり方の俊敏さに泡を吹きそうになりながら、もしくは「もう止めてくれ!」と言いたくなる衝動を抑えながら神田駅に到着して、レア盤1枚、と昔は言っていたものだが今では新譜のアナログ1枚分くらいの金額を払ってタクシーを降り、お茶を買ってホテルに戻り、2時くらいに就寝。

 

4月16日(日)

のんびり寝てやるぜ、と意気込んで寝たものの、悲しき習性でいつもの6時20分に起床。しかし悔しいので久々に惰眠を貪る快楽を得て、8時半くらいに床を離れる。支度して9時50分くらいにホテルをチェックアウトし、近くのドトールでモーニングセットを食べる。

 

神田駅からback numberのTシャツがまだ溢れている水道橋駅まで行き、駐車場に置いた車内に荷物を置き、身軽になって再び水道橋駅から新宿駅までback numberのTシャツと話題で一杯になっている総武線で向かい、ディスクユニオン3店舗に行く。最近再び熱く盛り上がっているThe New Blockaders関連2枚とLAFMS関連1枚を購入し、フレッシュネスバーガーで昼食。

 

それからback numberTシャツで溢れかえる水道橋駅でyumbo澁谷さんあゆ子さんと待ち合わせをして快調に東京を抜け、ロングドライヴも物ともせず楽しく仙台に帰ってきたのであった。

 

この週末、本当に色々な音楽を聴いたし、土曜日の東京ではBob DylanEric Clapton、back numberにyumboにコルネッツ、Waikiki Champions、などなど色々な音楽が生の演奏で溢れていたようである。でもおそらくその土曜日に武道館や東京ドームで鳴っていたであろうような音は私の人生になんら影響を与えないようなものだろうけれども、少なくとも私が生でその夜に体験した音楽はどれも大切だな、と思ったし、仙台に帰って帰宅して真っ先に爆音でレコードで聴いたThe New Blockadersの音も、これまた実に大切なものなのであった。

 

まあ好きな音楽を聴ける選択肢がきちんとまだあるのは、このなんとも酷い世の中で残された最後の希望の砦なのかも知れないな、とか思いながらFeistの「Multitudes」を聴く。

Multitudes [12 inch Analog]

Multitudes [12 inch Analog]

  • アーティスト:Feist
  • Interscope Records
Amazon

6年ぶりの新作である。この間に父親を亡くし養子をもらい、という感じで生活面では変化があったようだが、相変わらずのあの声は健在、である。冒頭の「Feist音頭」みたいな相当暴れん坊な曲に度肝を抜かれるのだが、それ以降はアクースティックギター主体の、素朴に聴こえるが決してシンプルではなく、多重録音コーラスバリバリではあるがどこまでもFeistの声を中心に据えたすっきりとした楽曲が並ぶが、1人コーラスが今作ではかなり印象的でPrinceの「Sign 'O' The Times」というのは例えとしては極端ではあるが、それくらい密室感がある、が親密な感じ、とも言えるので実に聴きやすい。1人ブルガリアン・ヴォイスみたいになってる曲もあれば急にドラムがどかどか響くラウドな曲まで飛び出して、アルバム全体として謎ではあるが、その謎がこのアルバムに魅力でもあるのだった。ついでに叫びまで出てくるから、かなりFeist全開、な1枚。しかし良い曲だらけなのでアルバム全体通してめっちゃ聴きやすいのも、これまた謎、である。