Paperhouse

ということでお盆休み中なのである。

この間の日曜日から休みが続いているのだが、最初の2日間を客人のもてなし、ということで殺人的に楽しく濃密に過ごしてしまったので(というか殺人的な酒量だったのか。否、量の問題ではない。真夜中のアブサン、しかもロック、のせいで何だか全ての精気を奪われた明くる日を過ごす羽目になっただけなのだ)、逆にここ最近は何だか祭が終わってしまったような、というよりも夏そのものが終わってしまったようなぼんやりとした日々を過ごしている。別に旅に出る柄でもないし、かといって完璧に室内に閉じこもってなんかするという柄でもない、という実に半端な私の傾向から行くと、こういうぽっかり予定がない(プラス金もない)という日々はちょっと何をどうしたら良いものか、と悩んでいるうちに1日が終わっていく、という感じで実に勿体無い。

とりあえずブックオフ行ったり、うどん食べたり、カレー作ったり、HD/DVDレコーダーに保存しっぱなしだった10時間に渡る「80年代洋楽ミュージックヴィデオ特集」を全体が55分になるまで編集したり、となかなか普段はできないことをする(ブックオフはそうでもないが)という点に於いては充実している。否、それで良いではないか。良いのである。良いとは思うのだけれども、何だか気が急く。これでは夏が終わってしまう、お盆休み終わったらまたくだらねえことしか待っていない日々になるのだから何かしたら良いではないか、と頭の中の私が私に囁く、というかせっつきまくるのである。

でも多分私のこういう傾向は死ぬまでこうなのだろう。後から振り返ってみれば充実した日々だったのう、とか思い返すことができるようになってもその真っ只中にいる間は、やばい何もしていない、という焦燥感にやられっぱなしなのである。死ぬときに「良い人生だった」とか回想(できるような状態ならば)するために生きているわけではないんだから何とかしたいものであるが、まあしょうがないのか。

とりあえずこの休みの間にCanについての復習を徹底する、という気持ちになってきたので「Tago Mago」を聴く。71年リリースのサードアルバムである。ダモ鈴木氏もすっかりバンドに馴染んだようで大活躍を見せるアルバムである。しっかし格好良い。何だか難しい言葉で色々形容されがちなバンドであるが、実は凄く肉感的なグルーヴを極限まで極めたようなバンドだったのだなあ、と改めて痛感させられるアルバムである。身体が勝手に反応するような、物凄くグルーヴィ、且つ比較的メロディアスでポップなナンバーが並ぶ。とくにJakiドラムとHolgerベースの絡みが異常に格好良くてミニマルなブレイクビーツの連発、とか誤解を招きそうな表現を使いたくもなる。しかし後半(アナログで言うところの2枚目)になると超長尺のインプロナンバーがどーんと迫ってきて、こちらではさっきまでしゃきっと細かいドラミングだったJakiドラムが思えばルーツはフリージャズでしたねえ、とか思わざるを得ない奔放なドラミングになっていて、且つIrminシンセがびっしゃーとかノイズを出しまくる、しかしそれでも決してグダグダにはなることなく緊張感ありまくりの演奏になっている。この2面性を上手いことまとめたのが後の2作品なのだろうと思うのだけれども、そのまんまでパッケージングしたこのアルバムの魅力はまさにそんまんまであるところなのではないだろうか。というかこの休み、Canまとめ聴きだけでも良いんじゃないか、と思わせる人生の充足(感)にマストなアルバム、な気がしてきた。