Boy Boy

そういえばそろそろヴァレンタインデーではないですか。

しかしそりゃあね、昔はアテもないのに何だかそわそわしたものである。電話かかってくるんじゃないか、とか玄関に誰か来るんじゃないか、とか校舎の裏に呼び出されるんじゃないか(ヴァイオレントな意図ではなく)、とか。しかし30代も半ばを過ぎると、もう良い加減脂が抜けて最早無為自然な状態になっているのであった。

そもそもさっきテレビを見ていて話題になって、そうかヴァレンタインね、というくらいのもんであるからして。今更みんなして菓子会社の戦略に乗っかっちゃって、なんていう馬鹿なガキのようなことは思わずに客観的に面白いよね、的なスタンスなのだがその「客観的」というスタンスが、なんかもうヴァレンタインのわくわく感どきどき感から遠く離れた地平に来てしまった、ということの証拠でもあるんだろうなあ、と気づいてしまってヴァレンタインをきっかけに自らの枯れ具合を確認する羽目になるなんて思いもしなかったものであるぜ!

ということで逆に陰鬱な気持ちになってきたので寧ろなくなってしまえよ、と最早枯れの最果てみたいな気持ちになってきたところでLissy Trullieの「Self-Taught Learner」を聴く。新人女性シンガーのデビューミニアルバムであるが、彼女は実は可愛い。それ故に何かモデル業界からのオファーが、とかセレブも注目、とか密かにそういうことになっているらしい。現にZuccaのカタログ雑誌みたいな奴の表紙が彼女だったりしてちょっとびっくりしたものである。で、音もなんかそういう記号からイメージできるような、となっていたら凄くつまらないのだがこれがジャキジャキにエレキギターのカッティングが冴え渡る切れのある演奏と、彼女の凛とした歌声が印象的なインディギターポップ(うおおおこの表現!)なのであるから痛快である。何か実に素っ気無いくらいに硬派な感じで逆にとても新鮮なのだが、それでもメロディのセンスが凄く良いから飽きが来ないし、まるでThe Wedding Presentか(もちろんあんな鬼カッティングが入っているわけではないのだけれども)、と思わせられるような瞬間が襲ってくる。多分今作がミニアルバムなのはまずは小手調べ、的な意味合いがあるのかも知れないがもう十分イケてるからさくっとアルバム作って欲しいものである。ちなみにHot Chipの名曲「Ready For The Floor」のカヴァー、なんていう衝撃もあったりする。でこれがまたストレートにギターバンドな感じのカヴァーで、何かこういうのはいつになっても信用できるんだなあ・・・。