I Should Be Sleeping

世界は寒い、とBrigitte Fontaineのように呟き続ける毎日であるが、本気で寒い。冬は寒いものだけれど、今冬はマジで半端ないなあ、と今PCを打ちながら足元が冷や冷やしてくるのを感じつつ書いている。

我が家の暖房はエアコンとストーブの二本立てなのであるが、エアコンの暖房ってまあ、ないよりはあった方が良いのだけれどもなぜあそこまでパーシャルで非力な暖かさになってしまうのだろうか。朝は眠る前にタイマーをセットできるから使っているのだけれども、震えながら朝食を毎朝食べている。

その点ストーブは本気で素晴らしい。我が家のはダルマストーブ式の形状のなかなか優れものなのだがこれが暖かい。昨年の震災時も石油の備蓄があった故にこのストーブで暖を取りつつ煮炊きを行ったりしていた。我が家の宝物ナンバーワンに近いところに位置している、と言っても過言ではない。

しかし快適に生活しようとするとなんだか後ろめたい気持ちになるのは何なんだ。電気を使おうと思えば節電節電と言われ、石油を燃やそうとすれば化石燃料の備蓄はあと何年後かには枯渇する、と言われ。なんかこう、楽な暮らし(これは大袈裟な表現だが)をしようとすればするほど罪の意識に駆られる時がある。別にめちゃくちゃ使っているわけでもないのに、なんか使っちゃダメなのかなー、あるのになー、ってやるせない気持ちになる。どうやら人間は原罪ってものを背負って生きているとある方々は仰っているわけなのだが、もしかしたらその一番ポップでキャッチーなヴァリエーションがこういうことなのかなあ、とかぼんやり思ったりもするのだった。だから今私の背後で燃えているストーブでは、一番弱めのチロチロいう炎が踊っているのだった。

寒い。しかしSea Lionsの「Everything You Wanted To Know About Sea Lions But Were Afraid To Ask」を聴く。名前自体は知っていたし、7インチも聴いていたがSlumberlandに移籍してのファーストアルバムである。彼らの音楽をインディのギターポップ、で済ませることはとても簡単である。録音の状態はローファイに毛が生えたようなくらいだし、どこかヴォーカルはくぐもっていて淡々としてるし、演奏だってちょっとどこか頼りない感じもあったりするし。しかし、そういう冷静なこと言ってる場合じゃないくらい全曲イントロのギターの音色、カッティングで胸が高鳴って、そのワクワクのまま1曲1曲が過ぎてあっという間に日本盤シークレットトラック(またこれが「To Love Somebody」のカヴァーで最高なのだ)まで含めてアルバムが終わってしまう(実際短いし)。で、また聴くとまた同じようなワクワクが蘇る、という実にアンチエイジングに効きそうなくらいときめくことが約束されているアルバムなのだ。どの曲も淡々としていながらポップなメロディだし、どこかつんのめるような演奏でパタパタと駆け抜けていくし、何よりも凄く良い音色でギターが鳴ってて、更にはカッティングが性急なのでスピード感はあるし、そんなところがどこか初期Creationの優れたバンド群(The Jasmine MinksとかBiff Bang PowとかFeltも少し、とか)を思い出させたりもしてくれるのであった。古いとか新しいとか関係なく、いつだってこういう音楽を聴くとがつーんと殴られたみたいな、そういう痛みにも似たような感動を覚えちゃうのはもう、どうしようもないのかなあ、ここまで来ると・・・。

そして更にはこのようなアルバムが地元のタワレコで買えたということも感動である。これは日本盤になってる、ってことが大きいと思う。だからずっと彼らを応援して、紹介してくれたViolet & Claireにも最大級の感謝を!