Put My Trust In You

遅れましたが、先日の日曜日の「Pop Tune」お疲れ様でした。私はVillalobosリミックス特集でちょっと、その後Roxy Musicリミックス〜Hell Featuring Bryan Ferry全ヴァージョン(除く7インチ、インスト)〜Roxy Musicリミックス、と聞こえる声は全てBryan Ferry、という至福の時間をお届けしたのですが出口なしだったかも。

さて、春というのは暖かくなって気持ちも上向きになると同時に、新年度ということもあって何だか落ち着かない日々だったりするわけである。上向きだった気持ちがいきなり下方修正、みたいなことも起きたりしてなんとも不安定だったりする。

ただでさえ春はそういう季節だというのに、職場の健康診断で体重の増加が露呈したり、という更なる凹むことが勃発したりして、昨日は最早一足早く五月病、みたいなテンションであった。ぼそっと死にたい、とか呟きそうな感じの。

しかし体重の増減程度でそんなに動揺するとは私もまだまだナイーヴなものである。というかそんな大騒ぎするほどの増加具合でもないのだけれども、やはり何だか暗い気持ちになったりするものである。

ならば、日頃からそうならないために頑張れば良いじゃん、という話もあるのだけれどもそれはそれで、ちょちょいとできるような人間だったらそんなに苦労はしないわけである。とか開き直ってしまうとまた来年の健康診断でうわー、とかなってしまってまた若干落ち込んでまた開き直って・・・、ということは目に見える。人生はループだ・・・。

あ、えっと、日頃から少しは気にして生きていきます、はい。しかしこうして考えると新年よりも、新年度の方がどちらかというと抱負を考えやすいのかも知れないのだな、うん。

っていうかこの程度のことってみんなツイッターで呟いてるのか。そうか。Mark Van Hoenの「Where Is The Truth」は何の気なしに聴いたら物凄くブッ飛ばされること請け合いの衝撃の傑作なのである。これは140字では収まらない。90年代半ばあたりにテクノとか好きだった人はLocustという名前に見覚えがあるかも知れない。あ、あのアメリカの「速い・うるさい・短い」のLocustではない。R&S傘下のApolloからリリースしていたユニットTruth Is Born of Argumentsの方である。というか彼はSeefeelの創立メンバーでもあって、その後のScalaとかにも絡んでいたり、Mojave 3とかのプロデュースもしていたり、と意外に陰でいろいろやっている人なのである。で、久々に本名名義でCity Centre Officesからリリースされたこのアルバムではまた新境地、というか久々過ぎてどういう境地だったのか覚えてなかったな、とかそういう勢いなのだが物凄い傑作である。冒頭の70年代後期のEno的な曲からしてまず引き込まれるが、全体を通してヴォーカルがフィーチャーされているにも関わらず、囁きなのか、それとも人間なのか機械なのか、という勢いなので最早単なる構成要素的な存在(ヴォーカルのクレジットが皆無なのがまた不気味だ)になってしまっているのが逆に印象的である。Locust名義での最終作Morning Lightがヴォーカリストをがっつりクレジットして各曲毎に異なっていたりしたのとは実に対照的である。しかもあんまりそのアルバム、半端な感じで好きではなかった、というのはここだけの話なのだが・・・。さて、今作には全体的に何とも言えない物悲しさのようなものが漂っていて、ただそれは決して悲痛なものではなくメランコリック、と形容できる類のものである。そこらへんも含めてFenneszに近いと思うのだが、あれほど振りきれてはおらずどこか丸っこい。多分にそれはギターのせいだとも思うのだが、まるでThe Durutti Columnのような響きのそれはSlowdive〜Mojave 3のNeil Halsteadが弾いているのだった。なるほど嫌いになれるわけがない、と言えば身も蓋もないのだが、それを抜きにしてもこの暖かくも喪失感に彩られたエレクトリック音楽はちょっと新鮮な響きで、これを聴きたいから早く帰宅したい、と思わせてくれるような中毒性の高い1枚なのだった。でも、なんか不安に駆られたりする瞬間があったりして、春の気分にはしっくり来るのだなあ・・・。