Never More Than Was

POP TUNE!!! Vol.2 2010.4.4(Sunday)@CLUB SHAFT 18:00〜23:30 ADV \2000(1D+mix CD) DOOR \2500(1D)

SPECIAL GUEST/ 
藤澤志保(EAT RECORDS)http://www.myspace.com/fujisawashiho
CANDLES http://www.myspace.com/candlesmyspace

DJs/
geeepang(POPTUNE), tdsgk, HORI(RIPPLE), TATSUYA

VJ/gatotsu

CAFE/chise

入口で私の名前を出していただければ前売り料金で入れますのでふらりと!もしかしたら80年代末期のUKのソウル愛好ミュージシャンにハウスの与えた影響について考察するDJセットになるかも(要はまだ何にも決まってない、と・・・)。

さて映画「(500)日のサマー」を見てきたわけである。

そりゃあ皆様のご想像通り、ズーイー嬢はShe & Himだし、映画内にもThe SmithsPixiesThe ClashJoy Divisionだ、という様々な私が食いつくようなポイントが散りばめられているので、まあ見に行く前はそういうところで面白そうだなあ、という感じだったわけである。

勿論それら要素は最高にポイント高かったのだが、それ以上に何だか主人公トムと彼を振り回す(男目線の映画だったのでそうなるのだろうけれども)サマー嬢、どちらの気持ちも何だかビンビンにわかるわかる、という気持ちになってしまって冷静に見られなかった、という実にストレートに恋愛映画的要素がツボってしまったのであった。まあ、映画の冒頭で恋愛映画ではない、と宣言しているのだけれども。

別に関係にレッテルを貼りたくなくて友人で良いというスタンス、なのにとてもいろいろ一緒にやっちゃうサマー嬢と、だんだんその「わからない」関係に耐えきれなくなってくるトム、というありがちといえばありがちな感じなのだけれども、それでも両者の立場がとても明確に描かれているからより一層こちらにも「うわどうしたら良いんだべ」と迫ってくるわけである。そうそう、わかるわーとサマー嬢の姿勢に100%理解を示しつつ、次の瞬間には、あーそうだよなあ、とトムの立場も100%痛感、というある意味スリリングな観賞時間(?)が過ごせるわけである。

加えて、それが時系列に従って進行していたらそこまでではなかったかも知れない。しかし、そうではなくて、たとえばもう良い加減煮詰まってる関係末期のシーンの後に、付き合い始めのむちゃラヴラヴいちゃいちゃ的な場面になったりするわけで、それがまた切なさ、というかちょっと見てて辛いっす、という感情を掻き立てるのである。この手法はともすれば薄味のストーリーになっちゃいそうなこの映画を物凄く濃いものにするのに効果的だなあ、としみじみ感動したものである。

それに限らず、突如ミュージカルのダンスシーンみたいなものが起こったり、突如アニメが出たり、疑似モノクロヌーヴェルヴァーグ風劇中劇みたいなものが現れたり、実に映画ならではの手法がこれでもかこれでもか、と投入されているので鮮烈な印象を与えてくれるのである。見終わってから結構、なんかすごいもの見たなあ、という気持ちになったくらいにして。

多分、私のように恋愛に関して語る言葉なんざほぼ皆無に等しい人間でさえ色々感じさせられるわけなので、世の人々はもっとビンビンに感じて面白く見られるだろうし、そういうストーリー面を置いておいても上記のように何だか鮮烈な印象を与えてくれる映画だから、多分成人ならば誰でもそれぞれ思うところあるような映画だと思う。少なくともこんな恋愛不感症のような私ですら胸掻き毟りたくなる瞬間あったり、映画について詳しくない私でさえ、おもしれーなこの手法、と無邪気に楽しめたわけなのだから。

まあ、色々上記のように書いておいてなんだが、他にも色々語りたいような部分がまだまだ沢山ある。しかし、余りにもまとまらないであろうから控えておこうと思う。ただ最後に、個人的には、多感な時期に「英国産の悲しげなポップミュージック」にはまって「運命」を信じるようになってしまった主人公トム君の部屋のポスターがThe Smithsで、The Jesus And Mary ChainThe SmithsとPILのジャケット飾って、TシャツがJoy DivisionThe ClashでカラオケではPixiesThe Clash、って設定は、えっと、痛い、痛すぎる、という気持ちにさせられたので鮮烈な印象6割増し、というのは認めなければならないだろうなあ・・・。

ということでまたしても語りたくなるような映画を見てしまったのだった。まあ、既にとある友人(まあお馴染み、歩くTime Out Of MindというかTogether Through Lifeというか)とは鬼語りしてしまったが。しかし最近見に行く映画(あまり見には行かなかったりするが)、当たり多いな。しかも大当たり系。

まあ、そんな私はABCの「Up」というアルバムを聴こう。貴兄貴女はABCというバンド名を聴いてどんな音を思い出すだろうか。きらびやかなニューロマ風?ギターが結構ガツンとフィーチャーされたバンドサウンド寄り?ヒップホップみたいなビートの利いたダンスサウンド?それともきれいに面取りされたブルーアイドソウル風?どれも多分間違いではないが、この89年のアルバムではなんとハウスなのである。しっかし見事にスタイルがコロコロ変わるバンドだなあ、と呆れる向きもあるかも知れないが、どのスタイルでもしっかりとしたクオリティの作品作ってしまうのはさすが、の一言である。ということでハウスのビートが結構ファットな音作りで、そのハウスをソウル〜ファンク由来、と解釈したThe Style CouncilやThe Blow Monkeys同様(どれもハウスに手を染めたのは89年だなあ)、ソウルフルなMartin Fryのヴォーカルが乗っかり、ポジティヴなメッセージを伝える、という作品になっている。さすが曲はポップでキャッチーなフックが必ずあるし、シンプルながらも押さえるところはコーラスとかギターのカッティングをバシッとはめ込むアレンジもソツがない。ソツがなくてちょっとダイナミックさに欠けるところもあるかも知れないが、それでも当時の空気を今追体験したい、とか思う向きにはこの楽天的な空気感は最適かも知れない。そう、なんか89年頃のUKものの音楽にはどんなスタイルのものであれワクワクさせられてしまうのは多分に個人的な思いが絡んでいるのだろうと思うのだけれども、まさにこの作品もそうである。服装もまた、ダボッとしたラフな感じに変わってて見事なアルバム毎の変身ぶりなんだなあ。微笑ましい、というか何と言うか・・・。