The Road

もう5月なのか。

しかし朝っぱらから地上波でEXIL○の音楽番組の予告CMの「音楽で希望をプレゼント」系発言に衝撃を受け、その後スカパーを観ていたらPVと共に歌詞が出る番組をやっててそこでのナオ○・インティライミの歌詞に更なる衝撃を受けたので折角のお休みの日が台無しになった。というか連休なのだな。

私は幸運なことに暦通りの休みなのだが、とくに出かけたりする予定はない。これを自粛と取るか何と取るかは人それぞれなのだが、実は例年通りなのでそういうノリとも異なる、ということをわかってほしい、というか相変わらずの連休が過ごせることがこちらに住まう者としては幸せなのである。この連休を利用して私は、レコードボックスの中身をいったん全部出して、ボックスとボックスの間に滑り止めシートを敷き、また中身を戻す、という地獄の賽の河原の石積み、もしくはロシアの拷問のような作業をして、且つあわよくばCDラックもDIYな感じでやったろかと目論んでいるので責めないでいただきたい。そしてそれが達成できなかったとしても責めないでいただきたい。

本当は石巻気仙沼の親戚のところに行きたいのだが、元気にやっているようだし、被災地への立ち入りを控えてほしい的世の流れなのでそっちを自粛せざるを得ないのである。砂を噛むような思いではあるがしょうがない。もうちょいしたら電撃的に行こうと思っている。そういや、何か自分に出来ることは、とか自分でも役に立てることは、とかいう世の流れもあったし今もあるのだが、思えば震災前も別に自分、世の中に対してできることとか役に立ってること全然なかったよな、とか思い当たったのでこの連休は我が部屋を復興することに力を注ごうかと思う。何事も、気づく、ということが大事なのだな。

ということでEmmylou Harrisの「Hard Bargain」を聴く。3年ぶりの新作か。しかし今作は今までありそうでなかったアルバムなので、会心の一作、と言っても良いのではないかと思うのだが。ここ最近彼女のオリジナル中心の作品が続いているのだが、これもそうである。タイトル曲はRon Sexsmithのカヴァーだったするけれども。しかしどの曲も本当に粒ぞろいで、1曲毎にワクワクさせられるものである。今更彼女をカントリーという範疇だけで考えようとする人はあまりいない(ウチの親父くらいか)だろうけれども、ここまで軽やかにヴァラエティ豊かに取り揃えられると結構驚くものである。ギターがギャンギャンにフィーチャーされたロックンロールナンバーも、哀切なバラードも、ちょっとコミカルな趣さえある曲も、全部まとめてすっきりとアルバムの一部になっている。結構これまでと比べて重苦しい感じが薄れ、すっきりと、あっさりとした印象が強い。勿論これまでの濃密な路線も最高だったし、その残り香みたいなものはしっかりとこのアルバムでも息づいているのだけれども、とにかくこのアルバムは、良い意味であっさりと終わる感じが強い。実は13曲52分、とうことで決して短い、というアルバムでもないのだけれども。おそらくそれはどの曲もこちらをダレさせないほど曲が良いからだろう。とは言え、各曲のテーマを鑑みるに殺されてしまった黒人少年の話(このテーマってBob Dylanさんも歌ってましたよね?The Bootleg Series Vol.9)だったり、故Kate McGarrigle(Rufusくんのお母さん)に捧げられていたり、故Gram Parsonsに捧げられていたり、と決して軽い感じではない。それでもこのように良い意味でさらりとした作品に仕上げているのはさすがの貫録、なのか。兎に角1曲目の例のGramに捧げられた曲だけでもこのアルバムが名作でないわけがないことがビンビンにわかるのだった。