Mono Valley

白と黒、M~XLのサイズ展開ですよろしく!2022年はAOBAできると良いなあー。その際には是非皆様このTシャツ着用の上でご参集いただきたい!
 
日曜日の夕方のお楽しみと言えば片寄明人さんがパーソナリティのNHKFM「洋楽グロリアスデイズ」なわけで、最近はスマートフォンのアプリで聴き逃し機能を利用して、つまりリアルタイムで聴かなくても後から聴けるようになっているので、毎週日曜日は大体18時過ぎから夕食を作成しながら聴いている。
 
先日も聴いていたらThe B-52'sの「Love Shack」が流れた。

この89年リリースのアルバムは持っているしもちろん彼らが歌うこのヴァージョンはお馴染みなのだが、はて、なんだっけな、違うヴァージョン聴いたことあるな、なんでかな・・・、と料理しながら思い返していたが、急にガーンと思い出した。それはあれだ、2003年に仕事でカナダに行った際に連れていかれたカラオケ付き中華料理屋で聴いたヴァージョン、だ。

 

そもそもなんでそんなカラオケ付き中華料理屋に行ったのか、と言えば。私がその2003年の滞在時にステイしていた家の斜め向かいに日本語が喋れない日本人が住んでいて(何世、という奴だね)、その日本人が、自分のお父さんがお世話になった韓国人の老女にお礼を言いたいんだけれども、彼女は英語がいまいちわからず韓国語と日本語しか喋れないから(それでいてカナダの施設にいる、ってのも凄い話だったけれども)、その日本語の喋れない日本人が話す英語を私が日本語に訳して、その老女と電話で話してくれ、そしてその老女の日本語を英語に訳してくれ、つまりいわば同時通訳的なものをしてくれ、と頼まれたのだった。

 

もう大事故の予感しかしない案件だったわけだが、案の定その韓国人のおばあさんは、いくら私が、その日本語が喋れない日本人がお父さんのことで感謝しているんだよ、と説明しても、大丈夫かな・・・、わかってもらえてんのかな・・・、そもそも何だか日本語も怪しくないかおばあさん・・・、という感じで、果たしてその試みはうまく行ったのかどうなのかは謎だったが、まあそのお礼で、何か食べに行こうぜビール飲もうぜおごるよ、ということでそんな中華料理屋に連れていかれたのであった。

 

その店はステージがあって、そこに上がってレーザーディスクのカラオケ(!)に合わせて歌うという、まあ日本の往年のスナック(行ったことないので想像だが)のような感じで、その地元では有名人だ、というトラックの運転手の歌う、"Come On"の回数が明らかに多すぎたThe Doorsの「Touch Me」


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とかで爆笑してたら、近所の日本料理店に勤めている中国人の女の子グループがその「Love Shack」


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を歌ってたのだ。そのやんちゃなヴァージョン(原曲もやんちゃだが)が強烈だったので、なんなら本家を超えるくらいのインパクトだった故に、脳裏に刻まれてしまっていたのだな。

 

かように音楽は色々な記憶のトリガーになりうる。ラジオで聴いたThe B-52'sの「Love Shack」のおかげでそんなことを思い出しちゃうわけだし。そしてついでに、そのカラオケ中華料理屋で勧められるがままに、空気の読めない奴だと思われるのも癪だしビールもたくさん飲んでいたし、ということで私がRoy Orbisonの「You Got It」


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を熱唱した黒歴史のことまで思い出したりしてしまったぜ。

 

でもその中華料理屋、2019年にそのカナダの町を再び訪れた時にはもうなくなってしまってて、それもまた猛烈に切ない記憶だな。

 

Movietoneの「Peel Sessions」はここ最近の一番うれしいリリースだったかも知れない。

Peel Sessions [Analog]

Peel Sessions [Analog]

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90年代半ばのブリストルと言えばMassive AttackにTricky、Portisheadと言ったいわゆるトリップホップ的な音楽とFlying Saucer Attackあたりに象徴されるようなアブストラクトな音楽、ということでめちゃくちゃ熱狂的に盛り上がらせられたものだが、そのFlying Saucer AttackやCrescent、The Third Eye Foundationなどのメンバーが、音がそれぞれ大分違うのに出たり入ったり、つながっている様も面白かった。このMovietoneもそんな中の1つで、テンションは低く、音量も低い、多分体温も血圧も低い、そんなlowなアシッドフォーク的なサウンドには本当にはまった。たとえ各楽曲の区別がなかなかつきづらくても、この音世界からは抜け出せるものではない。そんなKate Wrightを中心としたグループの未発表だったJohn Peel Sessionがリリースされるのだから生きていると良いこともあるわけだ。基本的にはリリースされている作品とは大きく変わらないノリなのだけれども、グラスを割る音やスクラッチ音などが最初(1994年)のセッションには入っていて度肝を抜かれた。まあそういうことやってるのはMatt Eliott(The Third Eye Foundation)だったりして、しかも彼はファーストアルバム出る前に脱退しているのに、このアルバムに収められている最後の1997年のセッションにもしれっと参加していて、何気にキーパーソン、である。久々に触れてみて、一見とても不愛想に見えて、且つ色々「低」ではあるが、このインティメットな感じは他にはなかなか類を見ない親しみやすさ、と言っても過言ではないな、と気づかされたし、まるでそこに置くかのように奏でられるピアノや木管楽器、ドラムの絡みが瞬間的にジャズ感を醸し出しているのが新鮮だったり、でやはりふとしたタイミングでこういうリリースがあると大変にうれしいものである。