Black Sand

何だか無実なんだか有罪なんだかよくわからん人がロスで自殺したり、俳優が亡くなったり、インゲンから農薬が出てきたり、恐慌の恐れがあったり、とか世間は相変わらずざわついていて落ち着く暇もない昨今である。しかし、昨日のリア・ディゾンできちゃった婚発表に勝るニュースは今のところ私の耳に入ってこないので、これはもう解散総選挙という切り札を切ろうにも切れないこの間新しくなった首相も、一発ガツンとできちゃった婚とかすればもっと盛り上がるのではないだろうか、とザ名案が閃いたのだがどうだろうか。

でもそんな世間をざわつかせるニュースの陰でHector Zazouが亡くなっていた、というニュースが実にじわりと私には一番堪えたりしたのだった。Crammedの一時代も終わってしまったのだなあ。というかZnRをまた聴こう、とかそういうことを考えることしかできないのだが、これから月日が経つにつれ、こういうニュースが増えていくのかもな、とか思うと何だかちょっと辛いけれども覚悟をしっかりとしておかないとな、とか思ったりする秋の日。

Jenny Lewisの「Acid Tongue」を聴く。Rilo Kileyの歌姫の、ソロ2作目である。前作Rabbit Fur Coatは瑞々しくもちょっとした毒の感じられる、可憐な傑作であった。元々子役だったりするらしくて、可愛いし。そしてこのハイペースで届けられたセカンドソロは、また若干趣きの異なる作品に仕上がっている。去年のRilo KileyのアルバムUnder the Blacklight(いきなりの名作。あんまり話題にはなっていなかったっぽいが。)でも感じられたが、最早カントリー的な軽やかさはちょっと影を潜めてEagles的なロックンロールの色が大分濃い。なんつーんすか、カントリーロックとか言うのだろうか。しかし話がずれるが、フォークロックとかカントリーロックとかいう呼称って結構ざっくりとした呼称だよなあ・・・。まあ、それはそれとしてRilo KileyのメンバーやElvis Costello、M Ward、The Black CrowesのChris Robinsonとか良い感じのゲストも参加したこのアルバムではスケールアップしてどっしりとした音楽を奏でている。何かだから前作の軽やかな雰囲気が好きだった方々にはちょっと違和感が残るのかも知れないのだが、それでも曲のクオリティが凄く高いし、Jenny嬢のヴォーカルも相変わらず実に、実に伸びやかである。彼女の歌い方、というかメロディに歌詞を乗っけるやり方が結構独特で、それがまた実にクセになるのだが(主に声が伸びた後裏返ったり、そういうところなんだけれども)今作でもそのツボはしっかりと押さえていてやはりたまらない。そう、パワフルで良い意味でラフなアルバムに仕上がっていて、彼女のソングライターとしての才能は勿論のこと、新しい魅力もしっかりと感じられる傑作なのである、やはり今回も。何か加えて歌詞も結構捻ってて面白いし、これは当分愛聴盤になること間違いなしである。