Crosswinds

そうか、20年前の今日に昭和が終わったんだなあ、とふと思い出した。

当時の記憶としては、新しい元号がスタート、とかいう晴れやかな感じよりも、1人の人が亡くなったおかげで街中が静けさに包まれていた、という何だか異様な感じの記憶の方が強い。当時中学生だった私はまだ冬休みで、相も変わらずタワーレコードに出かけて行ったのだが、街中には音楽も何も鳴っておらず、新年の華やかな感じも全く消え失せてしまっていたのだった。

あれから20年経ち、何だか遠い昔の話のように思えるものである。街中も様変わりしたし、世の中も大分様変わりしたように思える。20年なんてほんの短い間、という気がするものであるが、その間の生活の変化、世の中の変化というものを考えてみると、意外に20年って結構な時間の長さなのかも知れない。

ただ、そういう20年前の日に私はThe Sisters Of MercyとA.R. Kaneとか買っていたりしたわけで、結局色々変わったかも知れないけど、私という人間は変わっちゃいないんだな、と深くため息をつくのだった、やっぱり。

今日も今日とてDif Juzの「Extractions」なぞ聴いているわけで。4ADの初期から活動していたインストバンドである。なんでもDuran Duranのオリジナルメンバーがいたらしい、という事実を最近知って大層衝撃を受けた。これは85年のアルバムで、プロデュースはCocteau TwinsのRobin GuthrieでLiz Fraserも1曲ヴォイスで参加していたりする。しかし当然ながらそれ以外は全てインストであるが、ギター2本の繊細な絡みとダブ的な匂いも感じるベースにやたら軽いドラムス、時折絡むサックスその他、という音は良く練られていて、全くダレたりすることはない。それどころか、何か一音一音が研ぎ澄まされていて凄く聴き応えがある。The Durutti Columnとかを瞬間的に想起させられたりもするのであるが、こちらの方はあくまでもバンドサウンドであって、どちらかと言うとTortoiseやEuphoneなどの、所謂ポストロックなぞという呼称で一括りにされてしまうような、ああいうインストのロックバンドの音に非常に近い鳴りが感じられて、久々に聴いたらちょっとびびった。このアルバムは音色的には当たり前のようにCocteau Twins的な感じに仕上がっているのだが、あくまでやはりバンドならではのダイナミックさに溢れていて結構興奮する。でも変にメリハリを無理やりつけてドラマティックにしたり、とかそういうことはなく自然な組み立てで淡々としながらもエモーショナルな感じになっているので、聴いていて飽きないし、寧ろいまだに新鮮なのである。この後ドラマーがThe Jesus And Mary ChainのツアーサポートやったりMooseに加入したり、という感じでバンド自体もゆるーく解体していくのだが、いつまでも聴き続けられるバンドであろう。だから再発すべきである!!