Rising High Water Blues

本当は、昨日1日の間に積もりに積もった憎悪を、「在庫がない&戸籍謄本が必要と言われて家に取りに戻れば必要ないと言われたソフトバンクショップ編」「常軌を逸したしょっぱさ&不味さのつけ麺屋編」「飲み放題ビールが発泡酒&酒の味がしないハイボール&不味い料理の飲み屋編」という地獄トリロジーでつらつら書こうとか思っていたのだが、そんな下らないことに纏わる憎悪で彩られた文章を公開したところで一体どうするのか、という思いに今日になったら駆られたのでやめておこうと思う。いずれ私がブートレッグシリーズでもリリースする際には陽の目を見ることになるのだろうか。否、忘れてるべなあ。

しかし昨日は本当に、自分が行くべきところに行かなかった、いるべきところにいなかった1日、と総括することができる、そんな日であった。でも考えてみればいるべき場所、行くべき場所、なんてのは果たして今の今まで有史以来、発見できえた人はいるのだろうか、とか思ったりするのであった。

常に何かを求めて生き続けるのが人間と定義できるとするならば、昨日の私は実に人間らしかった、と言えるのであろう。ということは私の憎悪の対象になった3つの店も、自分、というか人間というものを考え直すキッカケを与えてくれた、ということで感謝しなければいけないのであろう。ありがとう、みんな!

えっとこういうこと書いてると自分で気持ち悪くなってきたのでやめたい。何か宗教開きそうな勢いだし。しかし憎悪封印と言っておきながらどうやらいまだに私の中では色々収まってはいないようで、そういう気持ちが持続するってことはまだまだいけるな俺、と一安心なのであった。

人間って難しい。Ramblin' Jack Elliottの「A Stranger Here」を聴く。今年78歳になる彼のことを私はよく知らない。そしてこの新作で彼がカヴァーしているブルーズや、トラディショナルナンバーのこともそれほどよくは知らない。そんな門外漢の私も十分に楽しんで聴けるアルバムである、ということくらいしか私は知らない。ANTIからのリリースでJoe HenryプロデュースでVan Dyke ParksやらGreg LeiszやらDavid Hidalgoやらが参加している、というのが私が食指が動くきっかけだったわけだが、これが実に聴き応えのある作品に仕上がっている。彼の歌声は勿論若々しいとは絶対に言えないのではあるが、張りがあってよく通る。そんな声で重いテーマのナンバーばかりを歌い上げているのである。Son HouseやらBlind Lemon Jefferson、Blind Willie Johnsonなど、ちょっとは私も知っている曲も交えつつ名手たちの過不足ないバッキングで結構淡々と進んでいくアルバムであるが、ついつい聴いてしまうのはこのアルバム全体に漂う良い空気感であろう。入って欲しいところに鍵盤の音が入り、すとんと来るところにスライドの音が入り、と何か満ち足りた気分で聴き終えることのできる、シンプルながら豊潤なアルバムである。Joe Henryのプロデュースって、あんまり際立って凄いな、って音作りではないのだがなんか全体的に良い空気感の音を作り上げるのが特徴なのだなあ、としみじみ実感させられる1枚である。