Smear It

大切なものほど失くしがちである。おそらく現代社会に生きる方々が思い描く失くしがちなものって、ダントツでUSBのメモリースティックなんではないだろうか。と無理やり一般化してからであるが、私の場合ダントツにそうである。

私の場合、何も機密事項が入っているわけではないのだが、日常的によく使う(あ、仕事で)ネタが入っているわけで使用頻度が高い。使用頻度が高い、ということは四六時中PCにぶっささっている状態にある。で、帰宅する時とかよいしょ、と抜いてバッグのポケットとか職場の机の引き出しとかに入れるようにしているのだが、たまに急いで帰ろうとする時などは、ジャケットのポケットのコイン入れのところに入れて帰ってしまったりする。こういう場合物凄く無意識なのでその行為自体を忘れてしまっていて、でうおーメモリースティックがない、と上を下への大騒ぎになってしまったりするのであった。

先日もそうだった。バッグは全てひっくり返して探し、机の引き出しの中身も全てぶちまけ、ジャケットのポケットだって念入りに探した。車の中に落ちているかと懐中電灯まで動員して探した。でも見つからなかった。で、まあ良いや、割り切ろう、新しいスタートだ、とか思って最後にクローゼットにかかっているジャケットのポケットをもう一度探したらなんと出てきたのであった・・・。あんなに念入りにジャケットのポケット探って探ってないなー、ないなー、とかやっていたのになんとそのポケットにはコイン入れられるところが2箇所あったのだった・・・。ということを着始めて13年くらい経っているジャケットなのに先日初めて知ったのだった。

とまあ、笑い話で済むから良いのだが、ちょっと小さすぎるんじゃないか、メモリースティックって。なんかフロッピーくらい大きければもうちょい存在感あるのだが、これくらい小さくなられるとちょいとなあ、と思う。まず自分の注意力のなさを反省すべきなのは百も承知(珍しく素直に認める)なのだが、なんとかならないのだろうか。

しかし、なんとかなるのを待っている間にまた失くしそうなので大切なものには大切なものを、ということでむずび丸のストラップを着けてみた。これで本体が何処に行ったかわからなくても、むすび丸の顔を見てここか!と認識できるであろう。完璧である。まあ、その前にもっと注意力を、なんて言葉は聞き飽きたぜ!

半ば逆ギレ状態でJonathan Kaneの「Jet Ear Party」を聴く。SwansやTransmission、またRhys Chathamとの活動でも御馴染みの彼のソロアルバム、フロムRadium、である。彼はドラマーなのだけれどもそれだけでなくギタリストとしてもかなり良いギターを弾く。このアルバムでもブルージーな、スワンプな感じのノリが全体を覆っているのであるが、ドラムスもギターもベースもほぼ1人でこなしているのに驚く。勿論ゲストもいるし、中にはヴォーカル入りの曲もあるのだが、このルーズなグルーヴのライヴ感溢れる曲が1人での演奏って・・・、と驚くこと必至である。しかし彼の活動歴を考えてみればごっついものになるのは明らかなのだが、ここではそういう予想を裏切って凄く普通に楽しく身を委ねることのできるロックンロールが全8曲、長尺の曲もあればインスト主体なので飽きそうに思われがちだが、全然そんなことなくあっという間に終わってしまうのである。この軽やかさ、格好良いなあ、とか思ってカントリー〜スワンプ色濃いロックンロールを聴いているうちにあっという間に時間が、って素敵な体験だと思うのだが。Sonic Youthっぽい印象のナンバーからブルーズとミニマルが合体しちゃったような空気の曲もあったりして、凄くシンプルながらも聴き所満載の作品である。Sly And The Family Stoneのカヴァーとか、思わず口をあんぐりと・・・。ちなみにアナログだと2枚組でカラーレコードが1枚、片面エッチング入りの黒いレコードが1枚(つまり音は3面しか入ってない)、ポスター付き、ダブルジャケット、更にはMP3ダウンロードクーポンつき、というバカみたいに豪華なエディションなのでアナログ(上の画像リンクでは右側)がおススメ。