Almost Falling In Love

mthdrsfgckr2009-07-01


この間、メモリースティックの動作がどうにも不安になってきたので、全てが手遅れになる前に新調しようと新しいメモリースティックを買いに行ったのだった。

たしか、そのメモリースティックを買ったのは2年くらい前、256MBで確か2000円くらいだったと思う。まあ同じような奴で良いやー、という軽い気持ちで家電量販店に行った私は、そこで度肝を抜かれるような光景を目にすることになる。もう「〜MB」というメモリースティックは皆無で、「〜GB」の世界である。メガじゃなくギガの世界。モーリツィオ・ビアンキでなくギターブックの世界(下らないこと言ってすみません。思ったことをそのまま、ってよくないですね・・・)である。

その事態を受けていやいや、参ったな、まあ同じくらいの値段なら確かに容量はでかいほうが良いね、と軽く思った私は更に度肝を抜かれる。とくに凝ったのやごっついのを選ばなければ全然2000円どころか、1500円以下で買えてしまうのである。前のメモリースティック購入からわずか2年。こんなことになっていたとは・・・。

しかし文明の進歩って奴は凄い。でも、昔だったら「凄いなー」と感嘆する程度だったのに、最近だと何だか「どこまで行っちゃうんだろう」と逆に不安になってしまうのが不思議である。何かそれもそれで寂しい話であるが、技術の進歩と引き換えに失った云々かんぬん、と言う情報を知りすぎてしまったからだろうか。まあ、そういう時代なんだろうな。

それとも単に歳取っただけなんだろうか。Peter Astor And The Holy Roadの「Paradise」を聴く。1993年リリースのアルバムである。CreationからのThe Loft、The Weather Prophets(途中Eleveation移籍、ということもあったけど)というバンド時代、同じくCreationからソロアルバムを2枚出して、フランスのDanceteriaからリリースされた3枚目のソロアルバム、である。あ、一応バンド名義なのか、このアルバムも。まあ、それは置いておいて、確かに内向的な色合いが非常に強く、打ち込みを用いたりして実にプライヴェートな感じの強かったCreationからのソロとはかなり趣が異なり、バンド編成ということを全面に出したアルバムである。このバンドThe Holy Road(結局この名義はこのアルバム1枚で消滅)にはギターで元FeltのNeil Scottがいたり、と往年のあの時期のUKインディもの、所謂ギターポップもののファンにはたまらないわけであるが、ソングライターとしての才能が大爆発してしまったかのような、時折泣けるフレーズを挟み込んでくる名曲の数々が怒涛のように羅列されたこのアルバムには当時物凄くヤラれた記憶がある。で、17年経った今でもヤラれている。彼の場合その朴訥としたヴォーカルを無理なく活かしたメロディの曲が多いわけでわかってるなー、と唸らせられることしきりなのだが、歌詞もまたちょっとクスリとさせられるようなユーモアを湛えたものが多く、何だか肩の力が抜けていくようなそういう感覚を覚える。まあ地味、と言えば地味なのであるが、それでも一度聴いたら虜になってしまうようなメロディセンスの持ち主なので、是非一度触れることをおススメしたいものである。とは言え、この後このDanceteriaというレーベルが、彼がもう1枚ソロアルバムを出した後に倒産、という実に悲惨な話があって、彼のDanceteria時代の曲はRev-olaから出たベスト盤Injury Timeくらいでしか最近は入手できないのだろうか、もしかしたらこのベストも廃盤、なのだろうか。切ない・・・。