Act Of The Apostle

ところでこうも鬱陶しい天気が続くと、うおー身軽になりたいどうすれば身軽になれるのか、という風なことばっかり考える傾向が貴兄貴女にはないか!?世の中的にもそうではないのだろうか!?

そうでもないのだろうか。否、何だか纏わりつく湿気っぽさが本当に耐えがたくなり、そこから「纏わりつくもの=悪」と思考が直結し、ひいては俺を捕えるもの、それは悪だ、世の中を変えてやる!とかならないものだろうか。多分連合赤軍だって赤い旅団だってバーダー・マインホフだってこの時期に結成されたに違いない。何、史実と違う?違う、史実は「実」ではないのだ!

とかおかしくなってしまう。もう何もかも纏わりつくものを捨ててしまいたい、という強迫観念がこうさせているのである。そして今目に飛び込んでくるレコード棚。おお、今までレコード大量処分はこの初夏とか夏ばっかりである、と今気づいた。なるほど、私に纏わりついているものはこれだったか・・・。

しかし当然ながら全てを捨ててはいないわけであって、今後も全てを捨てはしないのは確実である。しかしちょっとまた整理ムーヴメントがやってきていて、嗚呼何だか俺という人間の面倒くささが一番自分に纏わりついているのではないか、という思考に囚われている今夜、「God Help The Girl」を聴く。Belle And SebastianのStuart Murdochが自分以外の人に自分の曲を歌ってもらおう、主に女の子に、というプロジェクトである。なんでも映画とか作る、とかそういう話も聞いたが本当なのだろうか。ということで、オーディションやったりして選んだ数人の女性ヴォーカリストや、The Divine ComedyのNeil Hannon、そして結局本人が歌う、という企画盤が出来上がったようである。Belle And Sebastianの曲も再録されていたりして、しかもそれが当然ながら全く違和感ないところからも分かるとおり、結局はあの曲、あの音の世界なわけである。ストリングスが結構豪勢に入っていて、実に往年のポピュラーミュージックぽい、とか思ったものだが、よくよく考えてみればBelle And Sebastianだってそういう側面あるしな。ということでBelle And Sebastian好きなら間違いなく、ありえないぐらい間違いなくドンピシャの作品である。で、女性ヴォーカリストたちも物凄く透明感のある声質の方々ばかりでこんな季節には間違いなく重宝されえる清涼感溢れる作品である。しかし今作のブックレットの写真はどれもこれも、実に60年代風、というか素敵な写真ばかりなのだが、その「素敵」という概念は間違いなく90年代の渋谷辺りから発信されたものを刷り込まれた上での「素敵」の概念だったりするわけで、そこら辺が実にナチュラルにこちら側にすっと入り込んでくるのかも知れない、って世代的なものなのか・・・。まあ、それは良いとして、ブックレットにショートストーリーが載っていて、それがまたべらぼうに面白い、単純と言えば単純な話なのだけれども。これで映画作っても良いのでは、と思うのだがそれにしては淡々としているのかな・・・。ま、色々抜きにしても本当にこういう流麗なメロディとアレンジ、歌が畳み掛けるように出てくるアルバムは無条件で傑作なわけである。