Let There Be Music

stereo♪ vol.2 @ pangea  日時:9月26日(土) 20時〜29時  
料金:ADV.1500円(1DRINK),DOOR.1500円(1DRINK) おつまみ持ち込み可!!自由に持ち込んでください!

Genre:Post Rock,Electronica,Indie Rock,Indie Pop,Rock.Pop,J-Pop and more......

仙台の音楽好きの人が集まって DJが流す音楽を聴きながらお酒飲んではしゃごうというイベント。 踊るようなイベントではないし,DJもテクニックも何もなし,選曲するだけの形です。 お酒を飲んで新しいつながりを作ったり,話したりできたらいいなというイベントです。

DJ:MaHiRO、tdsgk、めぐる、ベックジラ、ツカサ、よらよら、わたる、石油王

次の日はおなじみAOBA NU NOISE、ということで久方ぶりのDJ稼業2連発になります。乗り切れるか!?ぜひ両方ともお越しくださいませ。

激しくファストライフを送っている私であるが、スローライフ的なこともしている。それは以前ここでも触れたアイスコーヒー作りである。

私はオールシーズン朝にはアイスコーヒーを飲む人間なのである。そりゃあ寒い朝は温かいコーヒーを飲みたいとも思うわけであるが、朝は何かと時間がない。お湯を沸かしてコーヒー淹れて、熱いのをフーフー冷まして飲んでいる時間がなかなか取れやしないわけである。まあ、その分早く起きろ、という話なのであるが。

とめっちゃくちゃファストライフ的前提のもとにアイスコーヒー作りに勤しんでいるわけであるが、これが一滴一滴ずつゆっくりゆっくり「自然な速さで」(参考資料より)ドリップしてくれるわけで、むっちゃくちゃ時間がかかるわけである。そして完成までには7時間、という凄い代物である。まあ、むっちゃくちゃ、と言ってはみたもののせいぜい20分〜30分、そして7時間と言えども夜に作って寝ている間に出来上がる、ということでそんなに時間はかかっていない部類なのかも知れないのだが、ファストライフな私として強制的なスローライフぶりでかなり忍耐の連続である。

多分昔の私ならば、その時間にしびれを切らして、もうこの水出しアイスコーヒーのポットなぞ棚の奥底にしまいこんで市販品のアイスコーヒーをボトル買いしてきたであろうところなのだが、気がつくと台所にしゃがんで一滴ずつ落ちていくのを見つめていたりする。ふとそんな自分の姿に気づき、何やってんだろう俺、と思うと同時に、あ、これが自然なのかな、と思うようになってきた昨今である。

要は今までがファスト過ぎた、これがスロー、というかナチュラルなのだな、とか思い始めてきたわけである。勿論いまだにそういう自分に対して違和感を覚えそんなんじゃないだろ、とか思ったりもするものであるが、まあ甘んじて受け入れようではないか、となってきているわけである。歳のせい、と割り切ってしまうのは大変に簡単なことなのだけれども、もしかしたらやっとこさ真人間になる機会が訪れているのかも知れない、と思い今夜も台所にしゃがんではコーヒーが一滴一摘滴り落ちていくのを見つめているのであった。

そんな夜のBGMにはPrefab Sproutの「Let's Change The World With Music」が似つかわしい。実に8年ぶりの新作である。その間にPaddy McAloonのソロ名義のアルバムがあったり、「Steve McQueen」のデラックスエディションSteve McQueen発売とかがあったりしたわけであるが、私としては待望の1枚と言っても良いように思う。何せその間に入ってきたニュースとしてはPaddyがメニエール病のせいで、聴力が落ち、更には視力が落ち、というものであったわけで果たして新作が出るのか実に気を揉む日々だったわけである。で、こうして新作が届いたわけであるが、もともとは90年の「Jordan: The Come Back」Jordan: The Comebackの後、92, 3年くらいに作ろうとしたアルバムの曲を集めた作品だったりするようで、一応新作ではあるが、実はロストアルバム、まるで「Protest Songs」Protest Songsのようなもの、なのかも知れない。で、音なのであるが、全ての演奏をPaddy1人でやっているだけあって、打ち込みの多重録音作品である。そりゃあね、最初聴いた時はいかにも打ち込みですよ、しかもチープですよ、と声高に宣言しているようなリズムやシンセの音色に猛烈に違和感を感じましたよ。何せ1曲目ではラップ的な展開があったりするわけで。で、その気持ちを抱きながら聴き続けたわけであるが、アルバムが終わりに差し掛かる頃にはそんな違和感は全く関係なくなっている、という不思議な体験をした次第である。決して音色がアルバムが進むにつれて変化していくわけでもないのだが、そうそうこのメロディだよなあ、この声だよなあ、で、この全体がPrefab Sproutなんだよなあ、という気持ちで全てが覆われてしまって満足して聴き超えることができる、という何だか奇跡的なアルバムである。音の感触としては「Andromeda Heights」Andromeda Heightsからゴージャスな感じを除いた感じ、と言えば伝わるであろうか。いずれにせよ稀代のメロディメイカーPaddyの才能をいやと言うほど見せ付けられるアルバムであるし、今後もまた作品のリリースが続くことを心から願わざるを得ない、感動の1枚なのである。またライナーではThe Beach Boysの「Smile」のエピソードに魅せられた話とかが書いてあったり、「本当はこのアルバムをMartinやNeil、Wendy、Thomasと作りたかった」とかいうコメントまであって、嗚呼泣かずにいられようか、否ない、と断言できるのだ。大体アルバムタイトルや「I Love Music」、「Music Is My Princess」とか「Sweet Gospel Music」とかいう曲のタイトルの羅列にはこういうことを正面切って言って嘘くさくならず、またそのタイトル群に負けることない曲を作れるのはこの人なんだよなあ、という思いを新たにさせられるのだった。しかもそれは上記のような大病を経てからのものだったりするわけで、いやあ、何というか実は鬼気迫る迫力が背後には蠢いている、それでいて美しいアルバムなのだ。とりあえず色々良いアルバムは今年も沢山リリースされたけれども、個人的には一番グッと来た次第である。