Transamorem-Transmortem

日曜日のAOBA NU NOIEにお越しの皆さま、ありがとうございました!私ソロDJはインチキ中華風音楽からのブレイクビーツからの結局インディ・ダンス(George Michael含む)、というありえない展開ですみませんでした。初めてsoundcloudなるものでiPhone使って録音して、臆面もなくtwitter上にアップ、とかいうことができるようになったので己の鉄面皮の成長に感心するあまりですが、人生短いから色々やってみよう。でも、多分人生で聴かなければならないもっと良い音楽がたくさんあるはずなので、別にtwitter上にアップしたものを積極的に聴くことをお勧めはあまりしません。

EVOLは段々、もうこの2人でやってれば何かけても面白いんじゃないか、とか思い始めるくらいのルースなノリが最近面白くなってきたので来年はもっともっとFairport Conventionとかかけていきたいです。こないだ「Million Dollar Bash」かけたら自分の中での異常な高まりとフロアの盛り上がりが呼応してて何だか狂いそうになった。これからもしつこいくらいかけたい、ってかそんなもんかけんなよ、という声も聞こえそうなんですがね・・・。

で、いよいよもう年末である。いい加減仕事を納めたいものであるが、まだある。来年も早々と仕事始めがある。もう永遠に納めたい、と毎年毎年思うものであるが、今年年末ジャンボ買い忘れたのでまだ平民は働かなければならないようである。

結局また来週なだけなのに来年、という呼称に変わっていくのである。よくよく考えれば年末も年始も単に数日の間の話なわけである。でも、この年末の焦燥感は嫌いになれないからまあ、そういう難癖つけるのはよくないのだろう。

しかし焦燥感の中で2011年を振り返った前エントリだが、慌てて振り返るのはよくない。色々取りこぼしがありすぎる。
Wilco / The Whole Love Whole Love凄く良く聴いた。現時点でのWilco、というものを全力で表していて清々しい。
Damon And Naomi / False Beats & True Hearts False Beats & True Heartsなんだか明るい表情、軽やかな感じもあって意外だったがもともとこういう空気はうっすらとこのお2人は持っていたのだよな、ということを再認識させられた、という表現が的確かも。
・Drake / Take Care Take Careこういう濃厚なヒップホップ〜R&Bって思えばMaxwell好きだから全然アリなんだよな自分、と気づく。
細野晴臣 / HoSoNoVa HoSoNoVa肩の力を抜いた感じを出すのがこのお方は本当に凄く上手い。毎回毎回血の滲むようなことをしていらっしゃるはずなのに。そして自分の三連ロッカバラード好きの血を再確認。
・Hercules And Love Affair / Blue SongsBlue Songs
インパクト的には前作の方が上だがトータルでの洗練度合いはこちらが最高だった。80年代後半的ノリが凄く新鮮に響いた。

その他にもEmeralds関連はむちゃくちゃ追いかけたし、カントリーの新作アルバムもたくさん聴いた。その一方で往年を彷彿とさせるようなインディのシンセポップもギターポップもたくさん聴いた。レーベルで言えばNot Not FunにAlga Marghen、Editions MegoにImportant、と面白いものもたくさんあって結局全然未消化のままである。めちゃくちゃに旧譜も聴きまくったし、再発見しまくった。要はいつもと変わらない年を過ごすことができたのだ。これはとても幸せなことである。とくに、あんなに酷いことがあった年だったにも関わらず。

その他にもまだまだ、アルバムとかに限らず振り返りたいのだが、怒涛の忘年会進行に突入していくのでどうなることやら・・・。また必ず、年内にはまとめたいところである。

で、年末になるとドローンが聴きたくなるし、ピキーという電子音が持続するものが聴きたくなる。無性に聴きたくなる。Eliane Radigueの「Transamorem-Transmortem」を聴く。1974年に初演された彼女の作品の初音源化である。1曲で70分近くあるからLP文化の時代には音源化できなかったらしい。これがですね、無慈悲なまでに何も起きない、と断言しても98%間違いではないめちゃくちゃシンプルにARPシンセを使って作られたピキーという音が延々続くわけで、最初はストーブがおかしくなったか、とかコンポ壊れたか、とか冷や汗かくこと請け合いなのだが、これに身を委ねてしまうと不思議と落ち着く。寧ろこれが鳴ってないと落ち着かない、とかそういうおかしな状況になってしまったりして危険極まりない。さすがPierre Henryの弟子でチベット仏教徒(この作品の頃はまだ改宗していないが)、ってよくわからない持ちあげ方だが。でも、この徹底的に禁欲的な持続音のみの作品には感服せざるを得ないし、何よりこのどたばたの年末を落ち着いて過ごすための必需品、と言い切りたい気持ちである。