Ice Eyes Eis

豆苗、というものが最近どうも流行っているようである。なんでもエンドウの若菜らしいのだが、最近スーパーでもよく見るので我が家でもよく食べている。もともと豆が好きで、もやしが大好きな私であるからこれは一発で気に入った。というか、カイワレっぽいフィールもあるのだが、アクがないし、シャキシャキしているし、ほのかな甘い香りとかするし良いね、と。

サラダに入れて生で食べたり、ごま油で炒めたりして食べていたがたまたま買ってきたのが根っこがついているものだったので家の中で育ててみることにした。実に簡単に栽培できるようだし、まあものは試しだ、ということで。

これが驚異的な生長を遂げているので唖然としている。2週間弱でわしゃわしゃと最初買ってきた時の量に近い豆苗が収穫できてしまったのだった。で収穫祭を行い、また育てているのだがこれがまた順調に伸びて来ているので近いうち我が家は豆苗に浸食される。気がつくと蔦のように我が家の周りには豆苗が絡まり、豆苗で覆われてしまった室内からは豆苗化した私が発見されるのだ。

まずい、これはあれだ、ドラえもんバイバインで増殖し続けた栗まんじゅう状態になってしまって宇宙に送らねばならないのではないのか、とか思ったりもしたのだがあれほどスピード速くないから大丈夫か。しかし豆苗vs人間の戦争は多分近いうちに勃発するであろうから豆苗には注意が必要だ・・・。

まあ、そんなことにはならないだろうけれども、豆苗、美味しいし家で増やせるしで良い食材ではないか。もともと高級食材だったらしいのだが、その有難味を微塵も感じさせない手軽さも良い。私は普通に油炒めとか好きだな。加熱するとくしゃっと小さくなっちゃうところも愛しいのう。

とか豆苗ラヴを語っていたら「特に2008年のリーマンショック以降、豆苗の需要は急速に伸びている」との表記がウィキペディアにはあり、暗澹たる気持ちになってきた。一時期の「節約でもやし」的な需要なのだろうか・・・。ま、それはそれで素晴らしいではないか。安く美味しく、というのは何よりもありがたいことだし。

しかしバイバイン、怖いよな・・・。ということでHTRKの「Work ( Work, Work )」を聴く。オーストラリアの(元)トリオの2011年作である。何故「元トリオ」なのかと言うとメンバーが1人自殺してしまったからである。前作Marry Me TonightがRowland S. Howardプロデュースで注目して聴いていたらそのRowlandが亡くなり、それからメンバーが1人亡くなり、と言うことで相当な状況だったんじゃないかと思うのだがそれを物ともせず作品を仕上げたのだから気骨がある、というか何だか残りのメンバーの心情を慮ると辛い気持ちになるのだが。で、今作はGhostly Internationalからのリリースであるが、音楽的には相変わらずの回転数間違ってんじゃないのか、というくらいのスローな打ちこみの上で決して晴れやかな気持ちにさせてはくれないダウナーなメロディが乗っかり、さらにクール、というかダルいJonnine嬢の呟きのような歌声が乗っかり、という感じなのである意味安心である。先行シングルでSuicideのカヴァーやっててなるほど、とか思ったのだが、延々盛り上がる瞬間の訪れないSuicideの現代版、的な感じもあるんだなあ、ということがわかる。でも今作はなんだかその世界に若干の叙情性が、昨今のシンセポップとかチルウェイヴとか言われてるような感じにも共通するような叙情性が仄かに見え隠れするところが何だか感動的であるし、あんなに無愛想に思えた曲と音と声が実は体温をしっかりともった人間から発せられてるんだなあ、ということまで感じることができたりして、実は今後の大きなカギを握る作品なのではないか、と思うのだが。決して皆で楽しく、的な音楽ではないし、車の運転中に聴きたいか、と問われれば答えに窮する音楽ではあるのだが、それでも、それでもやはりサヴァイヴするためにはこういう音楽が絶対に必要なのである。