Spring Frost

AOBAに関してはちょっとまとまるまで少々お待ちくださいね。

 

さてこんな時だ。最早恐れと怒りと哀しみしかない、という昨今だが、そういう時は内省に限る。バカ政府にどうこう言われなくてもすぐにできる、内省。でも与党のあいつら本当にクズだ、と思うよ。

 

それはそれで内省すると色々思い出す。思えば私は物心ついてから部屋に異性の写真を貼ったことがあっただろうか、とか。小学校高学年の頃から音楽に夢中になってしまったので、部屋に貼る写真と言えば雑誌の切り抜きのBernard Sumner、Tom VerlaineWire、Johnny Marr。あ、Patti Smithが「Dream Of Life」

ドリーム・オブ・ライフ(紙ジャケット仕様)

ドリーム・オブ・ライフ(紙ジャケット仕様)

 

出した88年くらいには彼女の写真を切り抜いて貼ってたな。あと忘れてはいけない、Siouxsie Siouxの写真も貼ってたな・・・

 

・・・いや、そういうことではないのは重々承知である。もしかしたら私は大事な色々な目覚めの10代初頭の時に、Marc AlmondとかDead Or AliveとかCulture ClubとかPet Shop BoysとかCommunardsとかErasureとかに夢中になってしまっていて、最早異性とか同性とか、どちらが好きなのかよくわからなくなってしまっていたのかも知れない、潜在的に。

 

だから所謂アイドル的な女の子たちのピンナップやらを部屋に貼る、ということはしたことがなかった、そう彼女に出会うまでは。22歳当時、バイトしていたレコード店で、彼女の歌手デビューを告げる告知ポスターをもらってきて、生まれて初めて部屋に所謂「女の子」のポスターを貼った。それは彼女のデビューシングルの写真のアウトテイクみたいなもので、彼女がまぶしそうな表情をして、しかも楽しそうにジャックパーセルを洗う、というもので、所謂「渋谷系」的な表象を通過してきた世代の人間にとってみれば、何故だか凄く新しい時代が始まった感があった。当時彼女は16歳だったわけだが、驚くべきことに彼女の年齢とか、全く把握していなかった。とにかくそのポスター、そこでのショートカットの可愛い女の子、というものが私の中での彼女の全て、だったのである。初めて異性に触れたみたいな感動、それがそこにはあった。いや、勿論異性とのコンタクトはそれまで実世界に於いてはあったし、何なら色々あったけれども、なんとなくそういう感触、だったのである。それ以前とはある面で別の人間になってしまった、というかロボトミー手術を受けたような、というか・・・。

 

だからそのデビューシングルが短冊CDシングル(最早知らない方々も多いかとは思いますが、昔CDというものがありまして、しかもそのCDの普通よりも更に小さい3インチの大きさのCDシングルがありまして、日本では何故だか縦長のパッケージに入っていたものだから短冊CDシングル、と呼ぶ向きもあったのですよ)で発売された時にはすぐに買って、しかもその楽曲にはめちゃくちゃノックアウトされたものである。まるでIggy Popの「Lust For Life」

Lust for Life [12 inch Analog]

Lust for Life [12 inch Analog]

  • アーティスト:Iggy Pop
  • 発売日: 2017/02/17
  • メディア: LP Record
 

のようなモータウンビート(勿論誇張しすぎているのは認める)、更には当時の風俗を織り込みながらめっちゃ初々しいデートの模様を若々しく、変に癖のないまっすぐな歌唱法で、あのショートカットの可愛い女の子が、まるで笑顔を湛えながら歌っているかのような姿が思い浮かび、胸を掻き毟りながら夢中になったものである。

 

また、イントロで彼女は囁きながらカウントを取るのだが、曲の本編に入る際には男性の声で「Brothers and Sisters!」という叫びが入るわけである。それは私が当時大好きだったMC5の「Kick Out The Jams」 

Kick Out the Jams

Kick Out the Jams

  • アーティスト:MC5
  • 発売日: 2000/03/13
  • メディア: CD
 

のタイトル曲の冒頭の叫び声「Kick Out The Jams, Motherfucker!」が「Kick Out The Jams, Brothers and Sisters!」に差し替えられたりもした、ということへのオマージュか、と思い込み、これはThe Stooges(というかIggy Pop)とMC5へのオマージュソングなのではないか、だって曲は「Lust For Life」だし曲名略したら「MK5」だし!やばい、デトロイトの血がここに・・・!とかいうくらい聞き込み過ぎて妄想爆発してて、MajiでKi狂う5秒前だったものだ・・・。

 

ということでその後の彼女の音楽活動もフォローしていって、まあ佳曲が続いたりもしたし、アルバム

ARIGATO!

ARIGATO!

  • アーティスト:広末涼子
  • 発売日: 1997/11/19
  • メディア: CD
 

だってまだ当時フロアがめちゃくちゃ広くて最高だった仙台駅前のHMVでFlying Saucer Attack

New Lands

New Lands

 

 と一緒に買ったし、なんならそのアルバムの後に出たシングル

ジーンズ

ジーンズ

  • アーティスト:広末涼子
  • 発売日: 1998/10/07
  • メディア: CD
 

 はかなりの名曲で当時サポートでドラムを叩いていたバンドでコピーしてライヴで披露する一歩手前まで行ったし、ということでかなり熱いことは熱かったのだが、やはりデビュー曲「MajiでKoiする5秒前

MajiでKoiする5秒前

MajiでKoiする5秒前

  • アーティスト:広末涼子
  • 発売日: 1997/04/15
  • メディア: CD
 

(おい、画像!レンタル落ちだぞ!)には敵わなかった。

 

なんならその後作者である竹内まりやの唄うヴァージョン、などというのも聴くことができる世の中になったりもしたが、世の中全部敵に回す勢いで言うけど、やはり広末涼子のヴァージョンには敵わないよな、と思っている。だからそんな曲が2020年にアナログ7インチでリリースされる、とかってもう、まあ、私に言わせてもらえれば、今更、だよね・・・、とかスカしたいところなのだが本当はそのニュースを知って、うおおお23年待ったよ!一体何回DJの際に、あーこの曲を7インチでスピンしたい!と思ったことか・・・、と人知れず涙し即予約したのだった・・・。生きてるとこんなこともあるからこれからも頑張って生きていこう、ってちょっと思ったりもしたことは内緒である。

 

あれ・・・、広末涼子の可愛さを語るつもりが結局音楽の話に・・・。ということで#StayTheFuckHomeの中、長文でグダグダ失礼いたしました。Roger Eno And Brian Enoの「Mixing Colours」

ミキシング・カラーズ

ミキシング・カラーズ

 

を聴く。弟Rogerが弾いたピアノ音源を兄Brianに送り、Brianが加工したりして、またRogerに送り、とかそういうやり取り(何か15年くらい前のもあるとか)を経て生まれた、初の兄弟名義のアルバムである。リリースがDeutsche Grammofonなのにはちょっとびっくりしたが、まあ関係ないか。音的には意外性の全くない、というと聞こえが良くないが、期待を全然裏切らない、静謐なアンビエントのりの18曲が収められている。意外性のない、と書いたが実はこんなにメロディアスな楽曲だらけのアンビエントノリのアルバム、というのは少なくともEnoの名前ではなかったように思う。Harold Buddがからむと結構これに近いノリはあったけれども、ここまでクラシカルな雰囲気の漂うほどに、鍵盤のメロディが際立つ作品もなかったなあ。というのが実に面白い。またいつもの感じでしょ、というのりを実はいつも軽やかにさりげなく裏切っているEno(兄)だがここではEno(弟)と一緒にさらりとやってのけているのが痛快である。って言うかちょっと沁みる、んだなこの季節には。