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Tシャツを買って、そして着ましょう。

白と黒、M~XLのサイズ展開ですよろしく!Tシャツは何枚あっても問題なし!
 
最近おじさんとかおばさんが昔の話をするだけでバカにされるような風潮があるようだけれども、おじさんおばさんでもバカにされるような話し方をする奴らがいるからそいつらが悪いし、まあなんなら言わせてもらえれば何でもかんでも昔の話する人をバカにする方がバカだと思うんだよな、という前置きからスタート。
 
昨夜はいやー(ある意味)良い世の中になったものだなあ、と自宅でもやし鍋を食べ、ビールを飲みながらサマーソニックの中継を観ていたのだった。
 
いや、正確にはPrimal Screamのライヴをお家のテレビで観ていた、ということである。フェス自体には全く興味ないけれども、「Screamadelica」

再現ライヴ、ってのはどんなものなのか、凄く興味はあったので本当にありがたい。

 
ゴスペル聖歌隊もいないシンプルな編成だったし、なんならMartin Duffyもいなかった(何故・・・)が、それ故にAndrew Innesキャプテンのギターが大活躍だったし、見た目は大分変ったけれども昔と変わらぬ顔だ、というのも中継ならではでよく確認できてうれしかった。Simone嬢のベースもしなやかで、Maniベース時代のごごごごご、という感じではないけれども今の編成だったら凄くニュアンス的に良いな、と思った次第である。
 
Bobbyさんはなぜこんなに変わらぬのか、という具合で無精ひげ剃ったら全くもってセカンドアルバムの頃と同じなのではないか、と思ったりしたがあの真っ赤なScreamadelicaスーツは当時は着れなかっただろうし、それは還暦故の余裕なのかな、という感想である。
 
ちょっと雰囲気の違うスタートの仕方をした「Movin' On Up」からスタートして、再現ライヴとは言え「Screamadelica」本編には間に合わなかったタイトル曲まで演奏され、しかもそれを歌うのはBobbyか!とまあ当たり前なのだが、故Denise Johnsonのヴォーカル(?)で慣れ親しんだ楽曲が新鮮に響いたのも面白かった。それは「Don't Fight It, Feel It」に関してもそうで、91年のシングルリリース当時、Bobby歌ってないじゃん・・・、と衝撃を受けた楽曲だったけれどもこうして今回のライヴで聴くと、嗚呼なるほどPrimal Screamの曲なんだな、と阿呆みたいだけどすとんと素直に納得したのだった。
 
でも「Loaded」、で「Come Together」、そして「Higher Than The Sun」からの「Don't Fight It, Feel It」、と90年頭から91年の夏まではPrimal Scream、シングルが全部衝撃過ぎて、しかも全部方向性が何だか大変なことになっていたので、もうよくわからなかった。今ではネットもあるので情報とかあるだろうし、ある程度系統立てて見ることもできるだろうけれども、当時は目の前のレコードの音源が全てだったので、かなり混乱したものである。
 
とくに「Loaded」が物凄く、何が何だかわからなかった。この前のアルバムがギンギンのロックンロールとトラディショナル(過ぎる)バラッドの作品でストレートだったのに、打ち込みになり、おおよそバンドサウンドとはかけ離れたものになり、ヴォーカルは数フレーズだけになり、そして7分もあり、今まで他のアーティストの12インチとかで聴いてきたリミックスとも似ても似つかぬ音で全てが謎だったし、Primal Screamの作品でなかったとしても謎だっただろう。多分あの時の衝撃を超える経験はその後もなかったように思える。
 
今だったらね、Andrew Weatherallと出会ってどうこう、という歴史に関してもよく知られているし、その後の「Screamadelica」に至るまで流れで振り返ればストーリーが見えるものだけれども、当時はシングル出るたびに青天の霹靂、みたいな感じだったので、そりゃあ、15、6歳くらいだったら、二度と抜け出せないようにさせられてしまうものである。
 
話が盛大に逸れたけれども、ライヴ観ながらそっかDeniseもこの世にいないし、Robert Youngもこの世からいなくなってしまったなあ、大体Andrew Weatherallまで、とライヴ後半「Higher Than The Sun」辺りから、とくにJah WobbleのベースパートをSimone嬢が弾いて、ライヴならではのめちゃくちゃかっこ良い展開になってきた辺りから涙腺もやばくなってきてたところで、最後「Shine Like Stars」で後ろのスクリーンにどどーんとAndrew Weatherallの写真が映し出されて、もやし鍋食べる手が止まって泣きそうになった。
 
思えば、Terry FarleyとかKris Needs、Jagz KoonerにDavid Holmes、Hugo NicholsonとかThe Chemical Brothersもか、とずっと「Screamadelica」以降もAndrew Weatherall絡みの方々と作品を作ってきたわけで、本当にここに至るまでのPrimal ScreamAndrew Weatherallがもたらしたものって単にプロデューサーとかリミキサーとかいうものだけではなかったんだよなあ、とメンバーが引っ込んでも後ろに映し出されている彼の写真を見ながら、ずーっと思っていたのだった。
 
そのあとのアンコール的な「Loaded」からの流れはまあ、お馴染みのテンション高めのナンバー連発で楽しかったし、何よりもこんなにベテランなのに不思議と毎回危なっかしい感じがもうPrimal Screamの持ち味なんだろうな、と確信するに至ったのだった。毎回やりたい感じがしっかりとあるからこそ、ちょっと演奏面とかハマってないように思える瞬間があっても説得力があるんだな、と不思議なバンドだなという思いを新たにしたのだった。
 
Primal Screamとしての新作ももうずいぶんと出ていないし、もしかしたらバンドとしてのピークも過ぎているのかも知れない。でも、それでもなんかやってくれそうだなあ、と今回の31年前のアルバム再現ライヴでは逆に思わせてくれたので、やっぱり面白いバンドだなー、彼らは。
 
で、微塵も関係なくPaul Kingの「Joy」というアルバムをこの夏は激しく聴いていた。

UKで80年代半ばに大人気だったKingというバンドがあり

Love & Pride: Best of King

Love & Pride: Best of King

  • アーティスト:King
  • Columbia
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そのバンドを解散させてソロデビューした彼の、87年リリースのソロアルバムである。これが全然売れなくて結果これ以降のソロアルバムもなく、そもそもPaul Kingはその後どうしたのかな、って調べてみたら作品とかは出してないけれども、MTVとか色々関わって一応業界の人、ではあるのかな・・・。まあそういうわけで全く売れなかったこの作品ではあるが、Paul本人がより自分の影響を受けたのに近いような音楽を自分の歌いたい言葉で、という意図のもとに作ったようなのでまあ悔いはないのだろうか。Dan Hartmanプロデュースでホーンやらコーラスもふんだんに取り入れた、非常によくできたブルーアイドソウルアルバムである。Nona HendryxにCarlos Alomarやらも参加している、実は。Paulさんのヴォーカルは、まあソウルフルと言えばソウルフルな感じで伸びやかで絶好調ではある。あるが、ちょっとやはりきらびやかな音で映えるヴォーカルなのかな、と言う気もする。したがってこのアルバムでも、アップテンポのナンバーだと独特の節回しも冴えまくってかなり100%の力を出しているような気がするんだな、今更ながら。でも全体として地味めながら手堅く粒ぞろいな楽曲を揃えているのにな、Kingの余韻が残っている時代だとちょっと出すタイミングが悪かったのかな、という不遇な作品である。でも、Dan Hartmanが実は私は大好きなんじゃないか、とうすうす気づき始めた人間にしてみれば逆に今のタイミングで出会えて良かったアルバムで、今年の夏のサウンドトラック、とまで言い切れる自信まであるくらいに、聴きまくったな・・・。。