The Hills Of Abruzzi

AOBA NU NOISEのTシャツです!

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そう言えば今日は母の日、であった。最早我が家には私と血が繋がっている母1人しかいなくなってしまったので(父の日は関係なくなってしまった)、実家の母と、まあたまたまなのであるが、お昼ご飯を共に食べた。

 

以前もこちらの拙ブログにはちょこちょこ登場してファンを掴んでいる私の母であるが、今日も私の嫌いだった小学校時代の教員の悪口から始まり(「私も本当に嫌いで何なのこの先生、と思ってた」)、「プーチンを逮捕して斬首」とか相変わらずの絶好調ぶりだったことはこちらでご報告させていただきたい。

 

さてこの雑誌を買って読んでいた話をそろそろしたい、と思うのだけれども。

レコードの話は好きだし、この雑誌も面白く読んでいたのだけれども、はて、じゃあ一体何故私はレコードが好きなんだろう、ということを考え始めたら物凄く考え込んでしまった。

 

勿論音楽が好きだから、というのは当然の話である。あとレコード再生装置もある、ということも前提としてある(なんか再生装置なくても結構買っている人がいる、というのはアメリカだかどこだかの事情で読んで、マジ意味わからん、と思ったけれども)。いや、CDもストリーミングもあるのになぜレコード買ってるんですか、ということである。

 

あ、しかし私はCDもカセットも買ったりするので、まあ音楽ソフトを所有して聴くのが好きなのである、ということは簡単な話である。でもCDとレコードが出ているものをCDで買うのかレコードで買うのか、という線引きが結構自分でも謎、で昔は何となくDJでもよくかけそうだから、と言ってレコード買ったりしていたものだが最近別に関係ないので本気でそれもよくわからない。最近新品で買ったCDはコルネッツで、これはCDしかないので何も悩ましいことはない。

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その前はLa Monte Youngになるのだが、これは非常に厄介な問題で、CDとレコードを買っているのである。

これは、それ以前にブートのレコードを持っていたのでCDというフォーマットで聴いてみたい、というのとリリース元限定でクリア盤のレコードが出ている、というのでええい、と円安とか高い送料とか諸々の懸案事項を脳内で葬り去ってリリース元から買ったのであった。

 

もうかなりわからない。わからないが、その理由を紐解こうと上記『POPEYE』を更に読んでみた。もう一つの特集の時計に関しては、まあここで紹介されている価格のような時計は到底手に入れようとか考えたこともないけれども、私は腕時計がないと落ち着かないし、好きな腕時計はデジタルではなく、丸い文字盤で、なるべく薄めで、ベルトは金属じゃないものが望ましい。所謂ミリタリータイプ、とか呼ばれるものであろうが、今3本持っている腕時計は結局全てこの条件を満たしているので、「私がこの腕時計が好きな理由」というのは「パッと見て時計の針で時間がわかる」「薄いからどこかにぶつけたりひっかかったりしにくい」「金属でないベルトだから軽い」とかつらつらと挙げることができるのであった。

 

さあ、問題はレコードである。上記腕時計のようなことはまったく当てはまらず、いやー、なんなんだろうな・・・。多分もう私の場合、「好きな異性(同性)のタイプ」とか「好きな色」とか「好きな食べ物」とかと同じような、「説明しようがないけどなんか好きなもの」なのだろうな、というなんでもない結論になるのであった。「見ると心安らぐ」とか「ターンテーブルに載せるとわくわくする」とか、そういうものである。CDは好きだけれども、あまり店頭で見ても心安らぐ、という感じはしなかったりする。しかしその理由、となるとやっぱりわからん。デジタル?アナログ?そういう違い?いや、わからない。レコードの音はレコードの音で好き、しかしCDの音はCDの音で好きだし、うん、そういうことだ。

 

昨日のエントリで「謎」が好き、ということを書いたがこれも「謎」でまあ、良いんじゃないか。もしかしたら本当はそんなに好きじゃない、とかいう可能性もあるのか、と一瞬思ったけれども連休終わってから今日まででレコードは6枚、届いたりブックオフで買ったりして増えたので、それはさすがになさそうである。

 

だって、今日も今日とてレコードでSimon Fisher Turnerの「Caravaggio 1610」を聴いたりしていたのだから。そして、嗚呼全然雑誌の内容に触れずにここまで来てしまったな、結局。

Simon Fisher Turnerが1986年にリリースした、Derek Jarman映画のために作り上げた音楽集、である。サントラ、というよりは撮影風景の際の音もそのまま素材として使用して映画制作進行のいわばドキュメント的な側面も持っているようであるのは、ここに収められた様々な自然音のことを考えると実に合点が行く。密やかな弦楽器のアンサンブルや合唱、リュートやフラメンコギター、などの音が出入りして海の音とかと溶け合ったりして、まさにカラヴァッジオの絵のような、そして、Derek Jarmanのこの映画のような光と陰が表現されているような、そういう音楽集、である。映画と切り離しても一個の作品として非常に聴きごたえがあって、実に美しい。しかしリリースがelレーベルで、The King Of Luxemburg名義での煌びやかなひねくれたポップス作品のこともあって、意外に当時は売れたんだろうなあ、ということは中古でよく見かけた記憶からも伺えるのであった。しかしSimonさん、本人名義の作品はもちろん子役時代の頃の作品以外はどれも一貫してアブストラクト、しかも冷徹な感じの作風でいまだに最高だな、とか思うのであった。それはこの作品もしかり、である。

 

ちなみに私が四半世紀くらい前に買ったこのレコード、B面の頭にちょいとノイズが入るのだけれども、まあ、レコードだしな、って許容できるのでレコードが好きだとなんか寛容になれたりもする、と個人的には思う。まあ、逆の人もいるのだろうけれども。